短編
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「だからねェ、ぼかぁ言ってやったんれすよ」
「はぁ」
「あれ?なんて言ったんらっけ」
「チョロ松くん、飲み過ぎですよ」
スーツを着込んだ松野チョロ松の目は完全に据わっている。
呂律もまわっておらず、上半身はほとんどカウンターテーブルに突っ伏された状態だった。
ここはとあるバー。
たまには1人で飲みたい気分だった名前と、就活帰り(と言ってもスーツでハロワに行っただけ)のチョロ松が店前で鉢合わせ、せっかくだからと連れ立って入ったのだ。
名前とほとんどまともに話したことがない上に2人きりで話すのも出会った時の一度きり、ましてやこんな雰囲気の良いバーなど人生で足を踏み入れたことのない三男は浮かれに浮かれ、緊張も相まって飲めない酒をガバガバ煽ってこの始末。
しかも調子に乗ってロングアイランドアイスティーを彼女に勧め、下心丸出しにした上で潰れかけていた。
残念ながらザル通り越してワクな名前はロングアイランドアイスティーぐらいでは潰れない。流石に酔ってはいたけども。
あぁ、こういう知識だけはあるのだなぁ、と美味しいアイスティーの味がするめちゃくちゃ強い酒をチビチビ飲みながら、もはや何言ってるかもわからなくなってきた隣の男になんとか水を飲ます。多分トッティ辺りがもう少し上手くやる術を持っているはずなので一度教えてあげれば良いのに。下手くそすぎる。
チョロ松とはオタクな話が出来そうで、こっちに来てからそういった話が全くできていなかった名前としては、こっちの世界のオススメアニメとか漫画とか聞きたかったのになぁ…と思いながら、ムニャムニャ言い出したチョロ松を見下ろした。あー幸せそうな寝顔。
……ん?寝顔?
「えっっ!?!?ちょっとまって、チョロ松くん!起きて!寝ないでください!」
「んん〜〜」
どうしよう、爆睡だ。
時計を見ればいつの間にやら日付が変わり、良い時間。
こんな深夜に連絡するのは気がひけるが…カラ松に電話してみるもいつもなら2コール目には出るのに一向に出ない。トド松に電話してみるも同じ。流石にみんな寝ちゃってるだろうか。毎日朝から働いているお父様も寝ているだろう松野家の家電を鳴り響かせるのは気がひける。黒電話ってエグい音鳴るもんね…
とりあえずこのまま置いて帰る訳にも行かず、途方に暮れたままその場でピロピロ笛を吹いた。
◇◇◇
「んん…?あたまいた…きもちわる…ここは…?」
パリッと張られた清潔なシーツ。
いくつも並べられた枕。
4人は軽く眠れそうな大きなベッド。
そのベッドの真ん中で松野チョロ松は目を覚ました。頭がガンガンする。吐き気も酷い。眉間に皺を刻んだまま上半身だけ起こし辺りを見渡す。
全く見覚えのない部屋。
室内にはこの大きなベッドとソファ、その向かいに大きなテレビ。それだけ。
ここってまさか。
ガンガンする頭でぼんやり考えていると、ドアが開いて名前ちゃんが現れた。濡れた髪をタオルで拭きながら。待って。
「あ、チョロ松くん起きました?」
「え…あ……」
「調子は如何ですか?」
よく見れば彼女はバスローブを着ている。今湯上がりしたばかりと言わんばかりにホカホカして頰もうっすら上気していて可愛い。
あまりに刺激的な姿に鼻血が出そうになって下を向けば、なんと全く同じバスローブを僕も着ていた。待って。待って。
「えっっ」
「あっ!?大丈夫ですか!?」
慌てて寄ってきた名前ちゃんからはシャンプーのいい匂いがする。あ、鼻血出ちゃった。
ベッドサイドにあった箱からティッシュを何枚か取ると、ベッドに浅く腰掛けた名前ちゃんはそれを僕に手渡してきたのでありがたく受け取って鼻に詰める。ちょっと格好悪いけど今はそれどころではない。
「え、えっと名前ちゃん…ここは…」
「チョロ松くん昨日お店で寝ちゃって…覚えてますか?」
「え、ご、ごめん」
「みんなに連絡したんだけど誰も出なくて…置いて帰る訳にもいかなくって…それで…」
それでラブホ!?!?
酔っ払いお持ち帰りの定番の!!!!
この場合寝てしまった僕がお持ち帰られていることは置いておいて!
「……エッえっと、昨夜はもしかして…お楽しみでした…か…?」
「…はい」
「〜〜!!!!」
「私ももっと楽しみたかったんですけど…」
「!?!?!?!?」
ええええええどう、どういう…!?!?
「えっ!?僕何か粗相を…!?」
「あ、いや、気にしてないので」
「すみません初めてだったもので…!!!!!」
どうしようどうしよう!?!?
祝!脱童貞ではあるけど、初めてだったしそりゃあ何かしら不備はあるよね…!覚えてないけど…!クソッなんで覚えてないんだバカ!!!!せっかくの脱童貞…しかも名前ちゃんと…
「あ、そうなんですね…すごく早かったので…これからは気をつけた方が良いですよ」
よし、死のう。
元々1人でしてても早い方だとは思ってたけど、初体験の相手にこんなこと言われたら生きていけない…
「あっ、あ!で、でも上手くコントロール出来るようになれば問題ないと思いますし…これから!知っていけば良いと思いますよ!」
「…それはこれに懲りずまたお相手をして頂けると…?」
「はい、チョロ松くんさえ良ければ。私も楽しかったので」
楽しかったの!!!!
え、え、名前ちゃんって実は意外と遊んでる…?
いや、そんなことはどうでもいい!!!!僕の失態にも関わらずまたしてくれるって…今度こそ記憶がある時に…!!!!
って違うだろ僕!?!?
そんな行きずりからのセフレみたいな…!そんなのダメだよ!!不純だよ!!!名前ちゃんは酔った勢いと思ってるかもしれないけど僕はちゃんと本気で…彼女のことを…しかもこの慣れた態度!!もしかして彼女、こんなこと初めてじゃないの…?ダメダメダメダメ無理無理無理無理!!!!!!僕だったから良かったものの、他の兄弟ともこうなる可能性があるってことでしょ!?!?無理無理無理無理ダメ!!!!!!彼女は僕が守らなくちゃ!!!
「あのっ!!!!名前ちゃん!!!!」
「は、はい」
「きっ昨日はなりゆきでこんなことになっちゃったけど、ぼ、僕、本気だし、ちゃんと責任も取るから、僕以外とこんなことしないでほし…」
「あっ!起きただジョ?」
「!?!?!?!?」
名前ちゃんが出てきた扉から何故かハタ坊が出てきて、混乱のあまり声にならない叫びを上げた。えっっっまさかの3P!?!?
◇◇◇
「あ、チョロ松くん起きました?」
「え…あ……」
「調子は如何ですか?」
昨日はあれから大変だった。
ピロピロ笛で迎えを呼んで、一応松野家に寄ったものの、やはり明かりは消え寝静まった様子。インターホンを一度押してみたが静かなまま。絶対全員寝ている。もう一度鳴らすのは憚られたため、諦めてそのままフラッグコーポレーションへと連れ帰ったのだ。
ハタ坊が会食で遅くなるというのでひとり飲みに出かけていたわけだけど、さすがにこの時間には彼も帰宅していて、ちゃんとリムジンを呼んで帰ったからそこまで怒っていなかったけれど、日付をまたいだことに関してはお小言をちょうだいした。
そこまではよかった。
車内に松野チョロ松を積んでいることがバレてからは、そりゃあもう怖かった。眠りこける彼を磔 にして火あぶりにしそうになるハタ坊を必死で宥めて、なんとかゲストルームに泊める許可を得て、旗の人の手を借りて部屋へ運ぼうとしたらうっすら目覚めたチョロ松が盛大に吐いた。ほぼ全部私にかかった。うわあまじか。再び眠りこける彼を再び磔 にして火あぶりのために着火したハタ坊を必死で宥めて、消火して、ゲストルームへ運んで、旗の人たち(火あぶり派)に必死で頭を下げてゲロで汚れた彼の服をバスローブに着替えさせてもらい(私がやるわけにはいかないし…)、ベッドに寝かせ、誰もやってくれないので廊下のゲロを片付け、明け方近くになってようやく風呂に入れた。かかったゲロが乾いてかぴかぴになっててちょっと泣いた。これ洗濯するの私じゃなくて良かった。申し訳ないけど。そう思いながら汚れた衣類をランドリーBOXに投げ入れた。
シャワーで汚れを落として戻ればちょうどチョロ松が目を覚ましたところだった。まだぼんやりしている彼に声をかける。
「えっっ」
「あっ!?大丈夫ですか!?」
こちらを向いたチョロ松が口を抑えたのでまた吐くのかと思って駆け寄ったが、鼻血が出ただけだった。この人会うたび鼻血出してるな…
ベッドサイドにあった箱からティッシュを何枚か取ると、ベッドに浅く腰掛け、手渡す。躊躇無く鼻に詰めるから少し笑ってしまった。男らしいな。
「え、えっと名前ちゃん…ここは…」
「チョロ松くん昨日お店で寝ちゃって…覚えてますか?」
「え、ご、ごめん」
「みんなに連絡したんだけど誰も出なくて…置いて帰る訳にもいかなくって…それで…」
「……エッえっと、昨夜はもしかして…お楽しみでした…か…?」
「…(チョロ松くんべろんべろんだったし)はい」
「〜〜!!!!」
「私ももっと(お酒を)楽しみたかったんですけど…(寝ちゃうから…)」
「!?!?!?!?」
目を白黒させるチョロ松。
「えっ!?僕何か粗相を…!?」
「あ、いや、気にしてないので」
「すみません初めてだったもので…!!!!!」
寝たこともゲロぶっかけたことも許してあげる私やっさしーい。
それもこれも大好きなむつごだからであって、会社の上司とかだったら殴った上に通報してると思う。
なるほど、バーとか初めてだったんだね、そうだよね最底辺ニートだもの…行ったこと無いよね。浮かれて飲みすぎちゃっても仕方ない。
そもそも、彼がお酒強くないのなんてアニメ見てなんとなくわかってたんだから、出会った時点で別のお店に行かなかった私のミス。
「あ、そうなんですね…(酔いつぶれるの)すごく早かったので…これからは(お酒)気をつけた方が良いですよ」
そう言えば、この世の終わりみたいな顔をされたので慌ててフォローする。
「あっ、あ!で、でも(酔いを)上手くコントロール出来るようになれば問題ないと思いますし…これから!(自分のキャパとか)知っていけば良いと思いますよ!」
「…それはこれに懲りずまたお相手をして頂けると…?」
「はい、チョロ松くんさえ良ければ。私も楽しかったので」
なんだかんだあまり話したことなかったから嬉しかったし。
勝手にいろいろべらべら話してくれて面白かったし。
キャパさえ守ってほろ酔い程度なら全然かまわない。
「あのっ!!!!名前ちゃん!!!!」
「は、はい」
「きっ昨日はなりゆきでこんなことになっちゃったけど、ぼ、僕、本気だし、ちゃんと責任も取るから、僕以外とこんなことしないでほし…」
「あっ!起きただジョ?」
「!?!?!?!?」
ハタ坊の登場に声にならない悲鳴をあげたチョロ松。
さ、3P!?とかなんとか叫んだせいでハタ坊から殺気が。
えっちょっと待って、何言ってるの?
「どういうことだジョ?」
「わ、私が知りたい…!」
「な、なんでハタ坊までいるの!?」
「自分んちにいて何が悪いジョ?」
「自分んち!?ハタ坊、ラブホまで始めたの!?!?」
あー、うん、おっけー、わかった。
二次元お約束の勘違い朝ちゅんが起こってるな、これ。
まさか自分が体験するとは…
「…チョロ松くん、あのね、ここはハタ坊のおうちのゲストルーム、残念ながらラブホじゃありません」
「えっ!?!?嘘!?!?!?」
「嘘じゃないよ、よく見て、ラブホならこんな大きな窓無いでしょ」
「知らないよ!!!!!ラブホなんか行ったこと無いもん!!!!!!」
おっと、今のは失言だった。
口を滑らしたのをハタ坊が咎める前に話を進める。
「チョロ松くん寝ちゃってね、お店に置いて帰るわけに行かないし、カラ松くんもトド松くんも電話でないし、一応松野家のチャイムも鳴らしたけど誰も出ないから連れて帰ったの」
「えええ、じゃあ、じゃあなんでバスローブ…」
「チョロ松くん盛大に吐いてね、服汚れちゃったから着替えさせたの」
「な、なんで名前ちゃんまでバスローブ…」
「ああ、これはまたゲロかけられてもダメージ少ないように羽織っただけで…下にTシャツとショーパン履いてるよ」
そこまで言えば、がっくりとうな垂れてしまった。
ハタ坊に「また名前にゲロかけたら承知しないジョ」とナチュラルなトーンで恐ろしいことを言われ、死にそうな顔したチョロ松が「ぼく、名前ちゃんにゲロかけたの…」と蚊の鳴くような声で聞いてきた。
「ああ…うん…でもさっきも言ったように気にしてないから…」
「……さっきのってそういう…うわあああ、ほんっとごめん、死んで詫びる…」
「そうするといいジョ」
ニュートラルな表情で殺しにかかるハタ坊を抑えている間に、窓の外が白みだした。
昼過ぎになって、夜中の着信はなにごとか聞いてきた次男と六男に、帰宅した三男が殺されかけるのは、また別の話。
9万打リクエスト
「夢夢設定でチョロ松とアンジャッシュ並みのすれ違い会話」
これはね、ヒロインも悪いと思います。笑
「はぁ」
「あれ?なんて言ったんらっけ」
「チョロ松くん、飲み過ぎですよ」
スーツを着込んだ松野チョロ松の目は完全に据わっている。
呂律もまわっておらず、上半身はほとんどカウンターテーブルに突っ伏された状態だった。
ここはとあるバー。
たまには1人で飲みたい気分だった名前と、就活帰り(と言ってもスーツでハロワに行っただけ)のチョロ松が店前で鉢合わせ、せっかくだからと連れ立って入ったのだ。
名前とほとんどまともに話したことがない上に2人きりで話すのも出会った時の一度きり、ましてやこんな雰囲気の良いバーなど人生で足を踏み入れたことのない三男は浮かれに浮かれ、緊張も相まって飲めない酒をガバガバ煽ってこの始末。
しかも調子に乗ってロングアイランドアイスティーを彼女に勧め、下心丸出しにした上で潰れかけていた。
残念ながらザル通り越してワクな名前はロングアイランドアイスティーぐらいでは潰れない。流石に酔ってはいたけども。
あぁ、こういう知識だけはあるのだなぁ、と美味しいアイスティーの味がするめちゃくちゃ強い酒をチビチビ飲みながら、もはや何言ってるかもわからなくなってきた隣の男になんとか水を飲ます。多分トッティ辺りがもう少し上手くやる術を持っているはずなので一度教えてあげれば良いのに。下手くそすぎる。
チョロ松とはオタクな話が出来そうで、こっちに来てからそういった話が全くできていなかった名前としては、こっちの世界のオススメアニメとか漫画とか聞きたかったのになぁ…と思いながら、ムニャムニャ言い出したチョロ松を見下ろした。あー幸せそうな寝顔。
……ん?寝顔?
「えっっ!?!?ちょっとまって、チョロ松くん!起きて!寝ないでください!」
「んん〜〜」
どうしよう、爆睡だ。
時計を見ればいつの間にやら日付が変わり、良い時間。
こんな深夜に連絡するのは気がひけるが…カラ松に電話してみるもいつもなら2コール目には出るのに一向に出ない。トド松に電話してみるも同じ。流石にみんな寝ちゃってるだろうか。毎日朝から働いているお父様も寝ているだろう松野家の家電を鳴り響かせるのは気がひける。黒電話ってエグい音鳴るもんね…
とりあえずこのまま置いて帰る訳にも行かず、途方に暮れたままその場でピロピロ笛を吹いた。
◇◇◇
「んん…?あたまいた…きもちわる…ここは…?」
パリッと張られた清潔なシーツ。
いくつも並べられた枕。
4人は軽く眠れそうな大きなベッド。
そのベッドの真ん中で松野チョロ松は目を覚ました。頭がガンガンする。吐き気も酷い。眉間に皺を刻んだまま上半身だけ起こし辺りを見渡す。
全く見覚えのない部屋。
室内にはこの大きなベッドとソファ、その向かいに大きなテレビ。それだけ。
ここってまさか。
ガンガンする頭でぼんやり考えていると、ドアが開いて名前ちゃんが現れた。濡れた髪をタオルで拭きながら。待って。
「あ、チョロ松くん起きました?」
「え…あ……」
「調子は如何ですか?」
よく見れば彼女はバスローブを着ている。今湯上がりしたばかりと言わんばかりにホカホカして頰もうっすら上気していて可愛い。
あまりに刺激的な姿に鼻血が出そうになって下を向けば、なんと全く同じバスローブを僕も着ていた。待って。待って。
「えっっ」
「あっ!?大丈夫ですか!?」
慌てて寄ってきた名前ちゃんからはシャンプーのいい匂いがする。あ、鼻血出ちゃった。
ベッドサイドにあった箱からティッシュを何枚か取ると、ベッドに浅く腰掛けた名前ちゃんはそれを僕に手渡してきたのでありがたく受け取って鼻に詰める。ちょっと格好悪いけど今はそれどころではない。
「え、えっと名前ちゃん…ここは…」
「チョロ松くん昨日お店で寝ちゃって…覚えてますか?」
「え、ご、ごめん」
「みんなに連絡したんだけど誰も出なくて…置いて帰る訳にもいかなくって…それで…」
それでラブホ!?!?
酔っ払いお持ち帰りの定番の!!!!
この場合寝てしまった僕がお持ち帰られていることは置いておいて!
「……エッえっと、昨夜はもしかして…お楽しみでした…か…?」
「…はい」
「〜〜!!!!」
「私ももっと楽しみたかったんですけど…」
「!?!?!?!?」
ええええええどう、どういう…!?!?
「えっ!?僕何か粗相を…!?」
「あ、いや、気にしてないので」
「すみません初めてだったもので…!!!!!」
どうしようどうしよう!?!?
祝!脱童貞ではあるけど、初めてだったしそりゃあ何かしら不備はあるよね…!覚えてないけど…!クソッなんで覚えてないんだバカ!!!!せっかくの脱童貞…しかも名前ちゃんと…
「あ、そうなんですね…すごく早かったので…これからは気をつけた方が良いですよ」
よし、死のう。
元々1人でしてても早い方だとは思ってたけど、初体験の相手にこんなこと言われたら生きていけない…
「あっ、あ!で、でも上手くコントロール出来るようになれば問題ないと思いますし…これから!知っていけば良いと思いますよ!」
「…それはこれに懲りずまたお相手をして頂けると…?」
「はい、チョロ松くんさえ良ければ。私も楽しかったので」
楽しかったの!!!!
え、え、名前ちゃんって実は意外と遊んでる…?
いや、そんなことはどうでもいい!!!!僕の失態にも関わらずまたしてくれるって…今度こそ記憶がある時に…!!!!
って違うだろ僕!?!?
そんな行きずりからのセフレみたいな…!そんなのダメだよ!!不純だよ!!!名前ちゃんは酔った勢いと思ってるかもしれないけど僕はちゃんと本気で…彼女のことを…しかもこの慣れた態度!!もしかして彼女、こんなこと初めてじゃないの…?ダメダメダメダメ無理無理無理無理!!!!!!僕だったから良かったものの、他の兄弟ともこうなる可能性があるってことでしょ!?!?無理無理無理無理ダメ!!!!!!彼女は僕が守らなくちゃ!!!
「あのっ!!!!名前ちゃん!!!!」
「は、はい」
「きっ昨日はなりゆきでこんなことになっちゃったけど、ぼ、僕、本気だし、ちゃんと責任も取るから、僕以外とこんなことしないでほし…」
「あっ!起きただジョ?」
「!?!?!?!?」
名前ちゃんが出てきた扉から何故かハタ坊が出てきて、混乱のあまり声にならない叫びを上げた。えっっっまさかの3P!?!?
◇◇◇
「あ、チョロ松くん起きました?」
「え…あ……」
「調子は如何ですか?」
昨日はあれから大変だった。
ピロピロ笛で迎えを呼んで、一応松野家に寄ったものの、やはり明かりは消え寝静まった様子。インターホンを一度押してみたが静かなまま。絶対全員寝ている。もう一度鳴らすのは憚られたため、諦めてそのままフラッグコーポレーションへと連れ帰ったのだ。
ハタ坊が会食で遅くなるというのでひとり飲みに出かけていたわけだけど、さすがにこの時間には彼も帰宅していて、ちゃんとリムジンを呼んで帰ったからそこまで怒っていなかったけれど、日付をまたいだことに関してはお小言をちょうだいした。
そこまではよかった。
車内に松野チョロ松を積んでいることがバレてからは、そりゃあもう怖かった。眠りこける彼を
シャワーで汚れを落として戻ればちょうどチョロ松が目を覚ましたところだった。まだぼんやりしている彼に声をかける。
「えっっ」
「あっ!?大丈夫ですか!?」
こちらを向いたチョロ松が口を抑えたのでまた吐くのかと思って駆け寄ったが、鼻血が出ただけだった。この人会うたび鼻血出してるな…
ベッドサイドにあった箱からティッシュを何枚か取ると、ベッドに浅く腰掛け、手渡す。躊躇無く鼻に詰めるから少し笑ってしまった。男らしいな。
「え、えっと名前ちゃん…ここは…」
「チョロ松くん昨日お店で寝ちゃって…覚えてますか?」
「え、ご、ごめん」
「みんなに連絡したんだけど誰も出なくて…置いて帰る訳にもいかなくって…それで…」
「……エッえっと、昨夜はもしかして…お楽しみでした…か…?」
「…(チョロ松くんべろんべろんだったし)はい」
「〜〜!!!!」
「私ももっと(お酒を)楽しみたかったんですけど…(寝ちゃうから…)」
「!?!?!?!?」
目を白黒させるチョロ松。
「えっ!?僕何か粗相を…!?」
「あ、いや、気にしてないので」
「すみません初めてだったもので…!!!!!」
寝たこともゲロぶっかけたことも許してあげる私やっさしーい。
それもこれも大好きなむつごだからであって、会社の上司とかだったら殴った上に通報してると思う。
なるほど、バーとか初めてだったんだね、そうだよね最底辺ニートだもの…行ったこと無いよね。浮かれて飲みすぎちゃっても仕方ない。
そもそも、彼がお酒強くないのなんてアニメ見てなんとなくわかってたんだから、出会った時点で別のお店に行かなかった私のミス。
「あ、そうなんですね…(酔いつぶれるの)すごく早かったので…これからは(お酒)気をつけた方が良いですよ」
そう言えば、この世の終わりみたいな顔をされたので慌ててフォローする。
「あっ、あ!で、でも(酔いを)上手くコントロール出来るようになれば問題ないと思いますし…これから!(自分のキャパとか)知っていけば良いと思いますよ!」
「…それはこれに懲りずまたお相手をして頂けると…?」
「はい、チョロ松くんさえ良ければ。私も楽しかったので」
なんだかんだあまり話したことなかったから嬉しかったし。
勝手にいろいろべらべら話してくれて面白かったし。
キャパさえ守ってほろ酔い程度なら全然かまわない。
「あのっ!!!!名前ちゃん!!!!」
「は、はい」
「きっ昨日はなりゆきでこんなことになっちゃったけど、ぼ、僕、本気だし、ちゃんと責任も取るから、僕以外とこんなことしないでほし…」
「あっ!起きただジョ?」
「!?!?!?!?」
ハタ坊の登場に声にならない悲鳴をあげたチョロ松。
さ、3P!?とかなんとか叫んだせいでハタ坊から殺気が。
えっちょっと待って、何言ってるの?
「どういうことだジョ?」
「わ、私が知りたい…!」
「な、なんでハタ坊までいるの!?」
「自分んちにいて何が悪いジョ?」
「自分んち!?ハタ坊、ラブホまで始めたの!?!?」
あー、うん、おっけー、わかった。
二次元お約束の勘違い朝ちゅんが起こってるな、これ。
まさか自分が体験するとは…
「…チョロ松くん、あのね、ここはハタ坊のおうちのゲストルーム、残念ながらラブホじゃありません」
「えっ!?!?嘘!?!?!?」
「嘘じゃないよ、よく見て、ラブホならこんな大きな窓無いでしょ」
「知らないよ!!!!!ラブホなんか行ったこと無いもん!!!!!!」
おっと、今のは失言だった。
口を滑らしたのをハタ坊が咎める前に話を進める。
「チョロ松くん寝ちゃってね、お店に置いて帰るわけに行かないし、カラ松くんもトド松くんも電話でないし、一応松野家のチャイムも鳴らしたけど誰も出ないから連れて帰ったの」
「えええ、じゃあ、じゃあなんでバスローブ…」
「チョロ松くん盛大に吐いてね、服汚れちゃったから着替えさせたの」
「な、なんで名前ちゃんまでバスローブ…」
「ああ、これはまたゲロかけられてもダメージ少ないように羽織っただけで…下にTシャツとショーパン履いてるよ」
そこまで言えば、がっくりとうな垂れてしまった。
ハタ坊に「また名前にゲロかけたら承知しないジョ」とナチュラルなトーンで恐ろしいことを言われ、死にそうな顔したチョロ松が「ぼく、名前ちゃんにゲロかけたの…」と蚊の鳴くような声で聞いてきた。
「ああ…うん…でもさっきも言ったように気にしてないから…」
「……さっきのってそういう…うわあああ、ほんっとごめん、死んで詫びる…」
「そうするといいジョ」
ニュートラルな表情で殺しにかかるハタ坊を抑えている間に、窓の外が白みだした。
昼過ぎになって、夜中の着信はなにごとか聞いてきた次男と六男に、帰宅した三男が殺されかけるのは、また別の話。
9万打リクエスト
「夢夢設定でチョロ松とアンジャッシュ並みのすれ違い会話」
これはね、ヒロインも悪いと思います。笑