夢だけど夢じゃない
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「名前、付き合ってくれ」
突然のそれにヒュッと息を飲んだものの、物の見事にそれはお約束のアレだった。
引きずられるように連れて行かれた携帯ショップ。はいはいはい、そっちの付き合ってくれね。はいはい分かってましたよーだ。勘違いなんかしてません。
突然スマホに興味を持ったらしい彼は店員のセールストークを熱心に聞きながらあれやこれやと最新機種を吟味している。
重たい灯油タンク片手に寄り道する場所じゃないと思う。ここ十何年間か機種変か乗り換えしかしてないから新規手続きがどのくらいかかるかわからないがちょっとコンビニくらいの短時間で済む買い物じゃないはずだ。
既に灯油が切れて冷えた部屋で待たせている5人(特に寒がりの十四松)がどうしてるか気が気じゃない。
私だけでも灯油持って帰った方が良くない?
そう思って声をかけようとしたところで真横にあるサンプル機に目がいく。
あ、これ私が使ってるやつ…
なんとなしに値段に目をやって目を剥いた。
「名前!名前の使ってるやつはどれだ?」
「………………」
「ん?これか?…たっっっっか!?!?」
うん、代弁ありがとう。
流石お目が高いそちら最新機種でして〜とセールストークがこちらに向くが入ってこない。
現実世界で買った時は既に型落ちな上に直近に最新機種発表を控えて安くなっていたモノだったはずのこの機種は、この世界では最新機種で、しかも元の世界の最新モデルよりゼロが3個くらい増えた値段になっていた。スマホの最新機種なんて元々高いのに分割ですら手出ししづらい値段が堂々と掲示されている。この世界のスマホ価格帯可笑しい!!だからむつごはトッティしか持ってないのか?トッティのも見たところ型落ちだったし!というかスマホ欲しがったらすぐこれ買ってくれたハタ坊、やばくない…!?いやハタ坊にとってははした金もいいとこだろうけど…!!!!
急にポケットの中のスマホがめちゃくちゃ高価な物とわかってそわそわする。落としたらやばい。
私とお揃いにするのは諦めたらしいカラ松は一番安いので良いですと言ってキッズスマホを勧められそうになっていた。
「ま、待って、それ宛先3件とかしか登録出来ないやつですよね?それじゃ困るでしょ」
「?いや、名前だけ登録出来れば良いからこれで充分だが」
あまりの唐突な爆弾発言に息の仕方を忘れた。
倒れなかっただけ褒めてくれ誰か。
えっ…ええ、困るでしょ…私とトッティと自宅と多分松蔵さんも携帯持ってるだろうしトト子ちゃんとかチビ太くんとか登録したいでしょ…?
ドギマギしながら、でもこれLINE出来ないし、と言うと、そうなのか?じゃあこれじゃダメだ、とあっけなく却下された。LINEがしたいのか…まぁ何も持ってないよりLINEアカウントある方が逆ナンも捗るだろうし…
何もわかってない彼はカモにされそうになっててセールストークは要らない機能を盛り盛りに盛ったものになってきていたので慌てて格安スマホはありますか?学生じゃないんですけど無職でも契約出来ますか?と割って入る。
店員は一瞬笑顔を固まらせたが、端末代が10万以下でしたら現在収入が無い方でも契約可能です〜と笑顔で続けた。
この世界のスマホはやたら高い。10万以下の物なんて片手で数える程しかなかった。とりあえず写真撮ったりLINEと電話が出来れば良いと伝え最低限のネット契約だけして格安スマホを手に入れた。
初めて持つスマホをキラキラした目でずーっと見つめているカラ松が可愛い。
片手に灯油タンクを持ち、片手でスマホを握り締めて真っ暗な画面を見つめているからフラフラ歩いていて危ない。気持ちはわかるけど前を見てくれ前を。
ハラハラと真横で障害物に気を配りながら歩いていると突然パッとこっちを向いた次男がスマホを激しく降りながら笑顔で迫ってきた。な、なに。
「こうすると連絡先交換できるんだろう?トド松がやってた」
「あ、あー…画面ついてない状態でやってもダメだよ、まずLINEをダウンロードしてアカウント作ってから…」
頭上に?を浮かべている次男からスマホを預かり操作する。あっという間にアカウント作成して友達追加画面を表示して振るように指示する。返されたスマホをキョトンとしたままフリフリする次男を微笑ましく思いながら自分のスマホも同じモードにした。
二人でフリフリしていると手の中でブブッとスマホが震えた。
カラ松、と書かれたアカウントが表示されている。
相手のスマホにも私のアカウントが表示されたらしくパァっと明るい笑顔でこちらを見てきた。犬みたい。可愛いなぁ。
「友達追加を押して」
「押した!」
「はい、これで友達になったよ」
「?元々友達だろう?」
「ふふっ…うん…そうだね…」
この人本当にかわいいなあ!!!
スマホの中でも友達になったんだよ、これでトークも出来るし電話もタダで出来るよ、あっ自宅にかける時は電話機能を使ってね。
歩きながらざっとスマホの説明をする。
今迄ガラケーも持ったことないみたいで色々説明していると不意に自身のスマホが鳴った。
見れば先ほど友達追加したばかりのカラ松のアイコン(デフォルトキャラのままだ)が表示されている。しかも電話。
「……もしもし?」
「もしもし」
目の前に立っているのに電話している。
左耳からは直接目の前の人物の声がして、スマホを当てている右耳からは電子を通した声がする。変なの。
「…これでいつでも電話出来るな」
「っ…!」
心底嬉しそうに笑って言うカラ松の声が左耳から直接、右耳から電話越しに少し掠れて聞こえて、思わず赤面する。この人は…!!!
無言で通話を切って、なんとか「そうだね」とだけ返して歩き出した私の横をニコニコ嬉しそうに見下ろしながら次男がついてくる。
「毎日電話していいか?」
「えっ…」
「メッセージも毎日送るな」
「あ、うん…」
「名前も毎日おはようとおやすみは送ってくれ」
「………多分起きる時間だいぶ早いけど良いの?」
まるで恋人みたいな欲求にドキドキして上手く息が出来ない。おかげで可愛くない返事をしてしまったけど、名前なら構わないと笑われてもうどうしたら良いかわからない。
どうせトクベツナシンユウだからなんでしょう。
なんて残酷な男だろう。
それでもこんなに嬉しいなんて、私も安い女だなぁ。自重気味に笑ったのをどう勘違いしたのか心底幸せそうに笑ったカラ松が見返してくるから、つられてこちらも幸せな笑みを返した。
幸せだから、まぁいっか。
突然のそれにヒュッと息を飲んだものの、物の見事にそれはお約束のアレだった。
引きずられるように連れて行かれた携帯ショップ。はいはいはい、そっちの付き合ってくれね。はいはい分かってましたよーだ。勘違いなんかしてません。
突然スマホに興味を持ったらしい彼は店員のセールストークを熱心に聞きながらあれやこれやと最新機種を吟味している。
重たい灯油タンク片手に寄り道する場所じゃないと思う。ここ十何年間か機種変か乗り換えしかしてないから新規手続きがどのくらいかかるかわからないがちょっとコンビニくらいの短時間で済む買い物じゃないはずだ。
既に灯油が切れて冷えた部屋で待たせている5人(特に寒がりの十四松)がどうしてるか気が気じゃない。
私だけでも灯油持って帰った方が良くない?
そう思って声をかけようとしたところで真横にあるサンプル機に目がいく。
あ、これ私が使ってるやつ…
なんとなしに値段に目をやって目を剥いた。
「名前!名前の使ってるやつはどれだ?」
「………………」
「ん?これか?…たっっっっか!?!?」
うん、代弁ありがとう。
流石お目が高いそちら最新機種でして〜とセールストークがこちらに向くが入ってこない。
現実世界で買った時は既に型落ちな上に直近に最新機種発表を控えて安くなっていたモノだったはずのこの機種は、この世界では最新機種で、しかも元の世界の最新モデルよりゼロが3個くらい増えた値段になっていた。スマホの最新機種なんて元々高いのに分割ですら手出ししづらい値段が堂々と掲示されている。この世界のスマホ価格帯可笑しい!!だからむつごはトッティしか持ってないのか?トッティのも見たところ型落ちだったし!というかスマホ欲しがったらすぐこれ買ってくれたハタ坊、やばくない…!?いやハタ坊にとってははした金もいいとこだろうけど…!!!!
急にポケットの中のスマホがめちゃくちゃ高価な物とわかってそわそわする。落としたらやばい。
私とお揃いにするのは諦めたらしいカラ松は一番安いので良いですと言ってキッズスマホを勧められそうになっていた。
「ま、待って、それ宛先3件とかしか登録出来ないやつですよね?それじゃ困るでしょ」
「?いや、名前だけ登録出来れば良いからこれで充分だが」
あまりの唐突な爆弾発言に息の仕方を忘れた。
倒れなかっただけ褒めてくれ誰か。
えっ…ええ、困るでしょ…私とトッティと自宅と多分松蔵さんも携帯持ってるだろうしトト子ちゃんとかチビ太くんとか登録したいでしょ…?
ドギマギしながら、でもこれLINE出来ないし、と言うと、そうなのか?じゃあこれじゃダメだ、とあっけなく却下された。LINEがしたいのか…まぁ何も持ってないよりLINEアカウントある方が逆ナンも捗るだろうし…
何もわかってない彼はカモにされそうになっててセールストークは要らない機能を盛り盛りに盛ったものになってきていたので慌てて格安スマホはありますか?学生じゃないんですけど無職でも契約出来ますか?と割って入る。
店員は一瞬笑顔を固まらせたが、端末代が10万以下でしたら現在収入が無い方でも契約可能です〜と笑顔で続けた。
この世界のスマホはやたら高い。10万以下の物なんて片手で数える程しかなかった。とりあえず写真撮ったりLINEと電話が出来れば良いと伝え最低限のネット契約だけして格安スマホを手に入れた。
初めて持つスマホをキラキラした目でずーっと見つめているカラ松が可愛い。
片手に灯油タンクを持ち、片手でスマホを握り締めて真っ暗な画面を見つめているからフラフラ歩いていて危ない。気持ちはわかるけど前を見てくれ前を。
ハラハラと真横で障害物に気を配りながら歩いていると突然パッとこっちを向いた次男がスマホを激しく降りながら笑顔で迫ってきた。な、なに。
「こうすると連絡先交換できるんだろう?トド松がやってた」
「あ、あー…画面ついてない状態でやってもダメだよ、まずLINEをダウンロードしてアカウント作ってから…」
頭上に?を浮かべている次男からスマホを預かり操作する。あっという間にアカウント作成して友達追加画面を表示して振るように指示する。返されたスマホをキョトンとしたままフリフリする次男を微笑ましく思いながら自分のスマホも同じモードにした。
二人でフリフリしていると手の中でブブッとスマホが震えた。
カラ松、と書かれたアカウントが表示されている。
相手のスマホにも私のアカウントが表示されたらしくパァっと明るい笑顔でこちらを見てきた。犬みたい。可愛いなぁ。
「友達追加を押して」
「押した!」
「はい、これで友達になったよ」
「?元々友達だろう?」
「ふふっ…うん…そうだね…」
この人本当にかわいいなあ!!!
スマホの中でも友達になったんだよ、これでトークも出来るし電話もタダで出来るよ、あっ自宅にかける時は電話機能を使ってね。
歩きながらざっとスマホの説明をする。
今迄ガラケーも持ったことないみたいで色々説明していると不意に自身のスマホが鳴った。
見れば先ほど友達追加したばかりのカラ松のアイコン(デフォルトキャラのままだ)が表示されている。しかも電話。
「……もしもし?」
「もしもし」
目の前に立っているのに電話している。
左耳からは直接目の前の人物の声がして、スマホを当てている右耳からは電子を通した声がする。変なの。
「…これでいつでも電話出来るな」
「っ…!」
心底嬉しそうに笑って言うカラ松の声が左耳から直接、右耳から電話越しに少し掠れて聞こえて、思わず赤面する。この人は…!!!
無言で通話を切って、なんとか「そうだね」とだけ返して歩き出した私の横をニコニコ嬉しそうに見下ろしながら次男がついてくる。
「毎日電話していいか?」
「えっ…」
「メッセージも毎日送るな」
「あ、うん…」
「名前も毎日おはようとおやすみは送ってくれ」
「………多分起きる時間だいぶ早いけど良いの?」
まるで恋人みたいな欲求にドキドキして上手く息が出来ない。おかげで可愛くない返事をしてしまったけど、名前なら構わないと笑われてもうどうしたら良いかわからない。
どうせトクベツナシンユウだからなんでしょう。
なんて残酷な男だろう。
それでもこんなに嬉しいなんて、私も安い女だなぁ。自重気味に笑ったのをどう勘違いしたのか心底幸せそうに笑ったカラ松が見返してくるから、つられてこちらも幸せな笑みを返した。
幸せだから、まぁいっか。