夢だけど夢じゃない
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ヒュルルと冷たい木枯らしに首を竦めて顔をふわふわのコートに埋める。
最後、部屋を出る時目があった一松くん、悪い顔して笑ってたなぁ〜親指グッてサムズアップしてたし…グッ!じゃないよ全く!!絶対ストックないの知ってて灯油入れろって言わせたでしょ。
私は負担の少ない当たり障りのない命令を教示されたくて助けを求めたんだけど…こんな寒空の下外出させることになってしまった。
私の気持ちを知った一松くんは多分気を利かせて私とカラ松くんを二人きりにさせようとしてくれたんだろうけど…ついてこようとしてたチョロ松くんに脚引っ掛けて転ばせてたし…顔面から転んでたけど大丈夫だったかなぁ…
隣を歩くカラ松は相変わらず容赦のない男の歩幅で足早に進むので最早小走りでついて行く。
いつもそうだからもう慣れたけど、今日は寒いからかいつもより早い。
カンカンというヒールが地面を叩く耳触りな音が辺りに響いて、恥ずかしく思いたたらを踏んでしまえばそのまま足を絡ませて転びかけた。
「! 大丈夫か」
「あ、ごめん…」
咄嗟に横から伸びた腕が私の腰を抱き寄せて自身に密着させることで転ぶのを阻止してくれた。
腰を抱いて密着しているカラ松に礼を言おうと顔をあげれば彼はヒイッだかヒェッだかわからない声を上げて手を離してしまったものだから、まだバランスが取れていなかった私はそのままべしゃっと地面に伏した。ええぇ…結局…
「いたた…」
「!!すっすまない…!」
「あ、いや、大丈夫…」
赤く擦りむいた手のひらを払って膝から落ちたからタイツが破けていないか確認する。あちこち痛い。俯いて怪我を確認している視界の端でワタワタとカラ松がポケットというポケットを探っているのが見えたがくしゃくしゃのレシートとかしか出てきていなかった。
「すまない、ハンカチとか持ってなかった」
「ううん大丈夫、ごめん一回抱きとめてもらったのに結局転んで」
「抱…ッ!?ああいやこちらこそ手を離すのが早くて…」
お互い謝りあっているのが可笑しくて吹き出してしまう。
笑い出した私につられたのか、眉を下げたまま彼も笑った。
そして当たり前のように手を差し出される。ああ、また転ぶといけないから手を繋いでくれるのか。ちょっと恥ずかしいけど向こうは小さい子がどっか行ったり転んだりしないようにくらいの気遣いだろうから深く考えてはいけない。そう思って手を乗せようとしたのに、手を掴む前にカラ松の差し出された手は勢いよく引っ込められてしまい私の手は虚しく空を切った。
「えっ」
「あっ!?す、すまない、いや、無意識に手を差し出してしまったと思って…」
「あ…そうだよね、握ったら手が汚れちゃうし」
「いや、汚れとかいう問題では」
「いや、いーの、今血とか泥とかで汚いから」
「!?血が出ているのか!?」
引っ込めたはずの手でガシッと手を掴まれ手のひらをまじまじと見られる。
軽く払ったもののそこには泥で汚れた手のひらにあちこちじわっと血が滲んでいて汚い。
あんまり汚い手のひらを見られたくなくて振り解こうとするも両手で掴まれてしまっていてそれも叶わない。
八の字に眉を下げたカラ松が泣きそうな顔でこちらを見た。
「痛いか?」
「ちょっとだけ!どっかで洗えば大丈夫だよ自業自得だし」
心配そうな顔をしたカラ松は目線をおろおろさせた後、そっと手首を優しく掴んだ。手のひらを握ったら痛いだろう?と落ち込んだ声がする方を見上げれば、名前が嫌じゃなければこうやって歩こう、また転んだら困るから、とそっぽを向いたまま言う次男がいた。
「うん、ありがとう」
「いや、こちらこそごめん…」
「なんかついてきてごめんね、足手まといだね…」
「!?いや、一緒に行くって言ってくれて嬉しかった…!あっ」
「あはは、なら良かった。私の命令で一人だけ行かすのは申し訳なくて…」
笑うと白い息が視界を遮る。
この寒空の下一人だけ行かせるのはさすがに。しかも私のせいで。
手首を掴まれて歩くのは前にもあったけど、あの時と違って今回は引きずられるように歩いてはおらず、私の歩幅に合わせてゆっくり並んで歩いてくれているのが嬉しい。
手首に伝わる熱がだんだん冷えてきて、ちらりと見れば、繋いでいない方の手はポケットに入れられていた。
なるほど寒いもんな。かじかむよね。
そう思って自分の手ごとふわふわコートのポケットに突っ込むと隣の男がわかりやすく動揺した。
「あ、ごめん、寒いから勝手に入れちゃった」
「あ、いや、うん、ダイジョブ……」
なぜか片言になりつつ、こちらを一切見ないまま手汗ビッショリの手で少し強めに手首を握り直されて不思議に思う。
あっ、そうか、転ばないために握ってるのにポケットに入れたら危ないか!
手をポケットに入れていると転んだ時危ないなんて幼稚園児でも知っている。
でも寒いし…
少し考えて、手首をやんわり振りほどく。ビクっとした彼の手をそっとポケットから出すと彼の上着のポケットにしまい、身体と腕の間に出来た三角形にスルッと自身の腕を通して自分の手は自分のポケットにしまった。
うん、これでさっきより密着したから転ばないしお互いの手はお互いのポケットに入っててあったかいし、問題解決だ!
手首握られてるより恥ずかしい気もするけど、二人の手が一つのポケットに入ってるよりはマシだろう。
隣から別段抗議も来ないし問題解決出来たことに満足してそのまま歩みを進めた。
最後、部屋を出る時目があった一松くん、悪い顔して笑ってたなぁ〜親指グッてサムズアップしてたし…グッ!じゃないよ全く!!絶対ストックないの知ってて灯油入れろって言わせたでしょ。
私は負担の少ない当たり障りのない命令を教示されたくて助けを求めたんだけど…こんな寒空の下外出させることになってしまった。
私の気持ちを知った一松くんは多分気を利かせて私とカラ松くんを二人きりにさせようとしてくれたんだろうけど…ついてこようとしてたチョロ松くんに脚引っ掛けて転ばせてたし…顔面から転んでたけど大丈夫だったかなぁ…
隣を歩くカラ松は相変わらず容赦のない男の歩幅で足早に進むので最早小走りでついて行く。
いつもそうだからもう慣れたけど、今日は寒いからかいつもより早い。
カンカンというヒールが地面を叩く耳触りな音が辺りに響いて、恥ずかしく思いたたらを踏んでしまえばそのまま足を絡ませて転びかけた。
「! 大丈夫か」
「あ、ごめん…」
咄嗟に横から伸びた腕が私の腰を抱き寄せて自身に密着させることで転ぶのを阻止してくれた。
腰を抱いて密着しているカラ松に礼を言おうと顔をあげれば彼はヒイッだかヒェッだかわからない声を上げて手を離してしまったものだから、まだバランスが取れていなかった私はそのままべしゃっと地面に伏した。ええぇ…結局…
「いたた…」
「!!すっすまない…!」
「あ、いや、大丈夫…」
赤く擦りむいた手のひらを払って膝から落ちたからタイツが破けていないか確認する。あちこち痛い。俯いて怪我を確認している視界の端でワタワタとカラ松がポケットというポケットを探っているのが見えたがくしゃくしゃのレシートとかしか出てきていなかった。
「すまない、ハンカチとか持ってなかった」
「ううん大丈夫、ごめん一回抱きとめてもらったのに結局転んで」
「抱…ッ!?ああいやこちらこそ手を離すのが早くて…」
お互い謝りあっているのが可笑しくて吹き出してしまう。
笑い出した私につられたのか、眉を下げたまま彼も笑った。
そして当たり前のように手を差し出される。ああ、また転ぶといけないから手を繋いでくれるのか。ちょっと恥ずかしいけど向こうは小さい子がどっか行ったり転んだりしないようにくらいの気遣いだろうから深く考えてはいけない。そう思って手を乗せようとしたのに、手を掴む前にカラ松の差し出された手は勢いよく引っ込められてしまい私の手は虚しく空を切った。
「えっ」
「あっ!?す、すまない、いや、無意識に手を差し出してしまったと思って…」
「あ…そうだよね、握ったら手が汚れちゃうし」
「いや、汚れとかいう問題では」
「いや、いーの、今血とか泥とかで汚いから」
「!?血が出ているのか!?」
引っ込めたはずの手でガシッと手を掴まれ手のひらをまじまじと見られる。
軽く払ったもののそこには泥で汚れた手のひらにあちこちじわっと血が滲んでいて汚い。
あんまり汚い手のひらを見られたくなくて振り解こうとするも両手で掴まれてしまっていてそれも叶わない。
八の字に眉を下げたカラ松が泣きそうな顔でこちらを見た。
「痛いか?」
「ちょっとだけ!どっかで洗えば大丈夫だよ自業自得だし」
心配そうな顔をしたカラ松は目線をおろおろさせた後、そっと手首を優しく掴んだ。手のひらを握ったら痛いだろう?と落ち込んだ声がする方を見上げれば、名前が嫌じゃなければこうやって歩こう、また転んだら困るから、とそっぽを向いたまま言う次男がいた。
「うん、ありがとう」
「いや、こちらこそごめん…」
「なんかついてきてごめんね、足手まといだね…」
「!?いや、一緒に行くって言ってくれて嬉しかった…!あっ」
「あはは、なら良かった。私の命令で一人だけ行かすのは申し訳なくて…」
笑うと白い息が視界を遮る。
この寒空の下一人だけ行かせるのはさすがに。しかも私のせいで。
手首を掴まれて歩くのは前にもあったけど、あの時と違って今回は引きずられるように歩いてはおらず、私の歩幅に合わせてゆっくり並んで歩いてくれているのが嬉しい。
手首に伝わる熱がだんだん冷えてきて、ちらりと見れば、繋いでいない方の手はポケットに入れられていた。
なるほど寒いもんな。かじかむよね。
そう思って自分の手ごとふわふわコートのポケットに突っ込むと隣の男がわかりやすく動揺した。
「あ、ごめん、寒いから勝手に入れちゃった」
「あ、いや、うん、ダイジョブ……」
なぜか片言になりつつ、こちらを一切見ないまま手汗ビッショリの手で少し強めに手首を握り直されて不思議に思う。
あっ、そうか、転ばないために握ってるのにポケットに入れたら危ないか!
手をポケットに入れていると転んだ時危ないなんて幼稚園児でも知っている。
でも寒いし…
少し考えて、手首をやんわり振りほどく。ビクっとした彼の手をそっとポケットから出すと彼の上着のポケットにしまい、身体と腕の間に出来た三角形にスルッと自身の腕を通して自分の手は自分のポケットにしまった。
うん、これでさっきより密着したから転ばないしお互いの手はお互いのポケットに入っててあったかいし、問題解決だ!
手首握られてるより恥ずかしい気もするけど、二人の手が一つのポケットに入ってるよりはマシだろう。
隣から別段抗議も来ないし問題解決出来たことに満足してそのまま歩みを進めた。