夢だけど夢じゃない
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「たっだいま〜〜♪」
「おかえりトド松」
ご機嫌で玄関をくぐれば見たくない姿が玄関に仁王立ちしており聞きたくない声が頭上から降ってきて、さっきまでのルンルン気分を台無しにしてくれた。
剣呑な眼差しで見上げれば、すこぶる機嫌の悪い次男と目が合う。うわ面倒くさ。なんなわけ。
ただいまカラ松兄さん、と挨拶を返し、上がり框に腰をかけて靴を脱いでいると背後の次男から地を這うような「どこへ行っていたんだ?」という声がかかるので映画館だよと当たり障りなく返す。靴を脱ぎ終わり立ち上がってはぁさむさむ、と茶の間に入ると金魚の糞のようにくっついてきた次男がどこの映画館だ駅前のにはいなかっただろうと言ってきた。うわ来たのかよ。隣町の映画館にして正解。おかげで誰にも邪魔されることなく彼女とデートが出来たのだから。
そう思いながら、カラ松兄さんには関係ないでしょ?と言えば誰と行ったんだ?と食い気味の質問がきた。それこそカラ松兄さんには関係ないでしょ、と言いながらコタツに入ろうとしたら急に胸倉を掴まれて無理やり立たされた。
「関係なくないだろ」
「関係ないでしょ?離してよ」
「名前と行ったんだろ?」
「だとしたらなに?もしそうだとしてもカラ松兄さんには関係ないでしょ、離して」
「関係あるだろ、名前とオレは」
「"親友"でしょ?ただの」
「ただのじゃない!特別な…!」
「特別だろうとなんだろうと"親友"なんでしょ!?親友が誰と何してようと関係ないでしょ!?」
離せって言ってんだろ、と乱暴に押しやれば頭に血が上ったらしいカラ松兄さんが物凄く怖い形相で睨んできた。いつもなら怯むけど今日は負けていられない。
「なに?なんか言いたいことあんの」
「名前とはただの親友じゃない、特別な親友なんだ、関係あるに決まってるだろう」
「は?意味わかんない!親友は親友でしょ?大切な彼女に彼氏が出来るかもしれないんだから黙って祝ってやれば?」
「彼氏だと?」
「何その顔?自分だって彼女作って家に連れ込んでたじゃん!それで名前ちゃんを蔑ろにしたじゃん!どの口が言ってんの?ねえ?カラ松兄さん本気なの?本気で彼女のこと親友だと思ってんの?」
「な、なに言って…」
「なに言ってはこっちのセリフだよ!!いい加減にしてくれる!?カラ松兄さんは特別な親友かもしれないけどこっちだって彼女の友達なわけ!今のところ!同じ友達同士なんだから遊んだって良いでしょ?ボク何も悪いことしてないよねえ?"親友"なんだから変な独占欲出すのやめてくれる?」
言いたいだけ言ってコタツに入れば混乱したように棒立ちになった次男があ…とか、え…とか意味のない言葉をつぶやいていた。
突然始まった口論におろおろしていた兄弟たちは、とりあえずお前も座ったらというおそ松兄さんの声に同意するように頷いた。
「なぁにトド松ぅ、今日あの子とデートだったわけぇ?」
「まぁね」
「おまえそういう抜け駆けやめろよな〜、で、どうだった?」
「どうってまぁ…楽しかったけど」
「かーーーっ!いいなぁ!俺もデートに誘っちゃおうかなぁ〜〜」
長男がへらへら言うとドン!!!!と大きな音がした。コタツに次男が力一杯拳を叩きつけた音だ。
「なに?カラ松」
「おそ松、何度言えばわかる?名前はそういうのではないと」
「そういうのってなに?"親友"のお前とは"そういうの"じゃないかもしれないけど、俺は最初から可愛いと思ってたし?ぜーんぜん射程範囲内の"オンナノコ"なんだけど」
なぁトド松?と振られて吐き捨てるようにそうだねと返す。
カラ松は狐につままれたような顔をしてオンナノコ?と繰り返した。
「女の子でしょ?カラ松兄さんにどう見えてんのかわかんないけど名前ちゃん女の子だから!めっちゃくちゃ可愛い女の子だから!!!!」
「うん、めっちゃくちゃ可愛い」
ここぞとばかり同意してきた三男は無視して変な顔している次男に事実を教えてやる。
「カラ松兄さんわかってないみたいだけど!名前ちゃんめっちゃくちゃ可愛いし良い子だし普通に好き!!恋愛の意味で好き!!正直狙ってる!でもそんなこと"親友"のカラ松兄さんには関係ないよね?」
「かっ関係ある!!!だって」
「だってなに?『親友だから』なんて言わないでよ?親友にそこまでの権限ないから。彼氏ヅラいい加減やめてよ」
「彼氏ヅラなんて」
「してるでしょ。いい加減認めなよ!!今迄の変なヤキモチだって、そんなの焼くってことは好きってことじゃん!!!!!」
「!?」
机をバンバン叩いて言ってやればショックを受けたような顔になってしまった。
!?、じゃないよ全く。
えええ!?!?と驚いている三男は本当に邪魔なので無視するとして、オレが名前を好き…?と壊れたおもちゃのように繰り返す次男に「おまえ今更気付いたのかよ〜〜」「自覚ないとはおもってませんでしたなあ〜」と長男と五男が笑いながらバシバシ背中を叩いている様を頬杖をつきながら見る。やっぱりあの2人は周りをちゃんと見てるんだな。
敵に塩を送るなんてしたくなかったけど自ら当て馬になってやったボクを誰か労ってほしい。
しばらくキョドキョドしていたかと思えばぶわっと赤くなってしまった次男が消え入るような声で「オレ、名前のことが好きかもしれない…」と言ったので思いっきり「知ってるよ!!!!!!!!」と返す。
「ど、どうしよう、オレ、」
「知らないよ、自分で何とかしなよ。ボクはボクでアプローチやめないから」
「えっ」
「こんな無自覚バカ松兄さんに負けてらんないでしょ、ボクだってあの子が好き、譲る気ないから」
「えっそんなトッティ」
「だいじょーぶだよカラ松兄さん!名前ちゃんもカラ松兄さんのこと好きだから!!!!!」
わー!?!?それ言っちゃうの十四松兄さん!?!?!?!?口止めされたじゃん!!!!ていうかそんなこと言ったら…
「…ふぅん…そうか、やはり溢れ出るオレの魅力には勝てなかったというわけか」
ほら〜〜〜〜!!!!
調子乗った〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
がっくりと机に突っ伏すると、三男が「ええ!?なにそれ!?そうなの!?嫌だ!!!!ぼっ僕だって好きだからあの子のこと!!」とかなんとか要らん参戦を宣言していた。
あーもういい加減にして、チョロシコスキー兄さんの言う好きはアイドル好きの好きでしょ…今そういう話してるんじゃないから…
「まー名前ちゃんがどう思ってるか知らないけどとりあえずお前ちゃんとオンナノコ扱いしてあげたら?お前の態度、まるで俺らに対してみたいな雑な態度だったじゃん」
「…そのくせ変なヤキモチと独占欲は酷かったけどね」
「言うねえいちまっちゃん」
そうだ、あまりに"親友"として接し過ぎて彼女は勘違いしている。
とりあえず、明日から女の子扱いしてちゃんと想いを告げる…!
そう次男が宣言した次の日。
松野家に彼女が現れた。
ゲーム大会して遊ぶからおいでよ、と誘ったからだ。
今日も今日とて青いサロペットを着た可愛い女の子が玄関でこんにちはと鈴を転がすような声で挨拶したのを兄弟全員で出迎える。
これ、お土産です良かったらと人数分の様々な種類の袋菓子が入ったビニール袋を渡される。
「ケーキとかにしようかと思ったんだけど好みがわからなくて…ゲーム大会だしみんなで摘めるスナック菓子の方が良いかと思って」
甘いのもしょっぱいのも買ってきました、とはにかむ彼女にキュンとする。気が効く〜〜かわいい〜〜好き〜〜!!!!
上がって上がって、と彼女を茶の間に通す。
名前ちゃんゲームよくやる?マリカーもマリパもあるよどれが良い?名前ちゃん強そ〜なんてわいわいやっていると緊張した面持ちの次男がふと背後に立った。気に食わないけど昨日の今日だ。花くらい持たせてやる。
あーあ、さよならボクの恋心。
名前はゲーム強いよな、前にハタ坊ん家でやった時優勝だったもんな、なんて聞き捨てならないことを言いながら隣に座る次男。なにそれいつの話?ちょっと。
「なぁハニー?」
一世一代の告白だった。
初めてハニーと呼んだのだ、一体どんな反応を。全員が固唾を飲んで見守る中、彼女はいつも通りへらりと笑うとただ「え〜どうかなぁ」と言った。いつも通り。顔色1つ変えず。今迄となんら変わらないかの如く。変化になに1つ気づかなかったように。
自業自得すぎる悪夢の始まりだった。
「おかえりトド松」
ご機嫌で玄関をくぐれば見たくない姿が玄関に仁王立ちしており聞きたくない声が頭上から降ってきて、さっきまでのルンルン気分を台無しにしてくれた。
剣呑な眼差しで見上げれば、すこぶる機嫌の悪い次男と目が合う。うわ面倒くさ。なんなわけ。
ただいまカラ松兄さん、と挨拶を返し、上がり框に腰をかけて靴を脱いでいると背後の次男から地を這うような「どこへ行っていたんだ?」という声がかかるので映画館だよと当たり障りなく返す。靴を脱ぎ終わり立ち上がってはぁさむさむ、と茶の間に入ると金魚の糞のようにくっついてきた次男がどこの映画館だ駅前のにはいなかっただろうと言ってきた。うわ来たのかよ。隣町の映画館にして正解。おかげで誰にも邪魔されることなく彼女とデートが出来たのだから。
そう思いながら、カラ松兄さんには関係ないでしょ?と言えば誰と行ったんだ?と食い気味の質問がきた。それこそカラ松兄さんには関係ないでしょ、と言いながらコタツに入ろうとしたら急に胸倉を掴まれて無理やり立たされた。
「関係なくないだろ」
「関係ないでしょ?離してよ」
「名前と行ったんだろ?」
「だとしたらなに?もしそうだとしてもカラ松兄さんには関係ないでしょ、離して」
「関係あるだろ、名前とオレは」
「"親友"でしょ?ただの」
「ただのじゃない!特別な…!」
「特別だろうとなんだろうと"親友"なんでしょ!?親友が誰と何してようと関係ないでしょ!?」
離せって言ってんだろ、と乱暴に押しやれば頭に血が上ったらしいカラ松兄さんが物凄く怖い形相で睨んできた。いつもなら怯むけど今日は負けていられない。
「なに?なんか言いたいことあんの」
「名前とはただの親友じゃない、特別な親友なんだ、関係あるに決まってるだろう」
「は?意味わかんない!親友は親友でしょ?大切な彼女に彼氏が出来るかもしれないんだから黙って祝ってやれば?」
「彼氏だと?」
「何その顔?自分だって彼女作って家に連れ込んでたじゃん!それで名前ちゃんを蔑ろにしたじゃん!どの口が言ってんの?ねえ?カラ松兄さん本気なの?本気で彼女のこと親友だと思ってんの?」
「な、なに言って…」
「なに言ってはこっちのセリフだよ!!いい加減にしてくれる!?カラ松兄さんは特別な親友かもしれないけどこっちだって彼女の友達なわけ!今のところ!同じ友達同士なんだから遊んだって良いでしょ?ボク何も悪いことしてないよねえ?"親友"なんだから変な独占欲出すのやめてくれる?」
言いたいだけ言ってコタツに入れば混乱したように棒立ちになった次男があ…とか、え…とか意味のない言葉をつぶやいていた。
突然始まった口論におろおろしていた兄弟たちは、とりあえずお前も座ったらというおそ松兄さんの声に同意するように頷いた。
「なぁにトド松ぅ、今日あの子とデートだったわけぇ?」
「まぁね」
「おまえそういう抜け駆けやめろよな〜、で、どうだった?」
「どうってまぁ…楽しかったけど」
「かーーーっ!いいなぁ!俺もデートに誘っちゃおうかなぁ〜〜」
長男がへらへら言うとドン!!!!と大きな音がした。コタツに次男が力一杯拳を叩きつけた音だ。
「なに?カラ松」
「おそ松、何度言えばわかる?名前はそういうのではないと」
「そういうのってなに?"親友"のお前とは"そういうの"じゃないかもしれないけど、俺は最初から可愛いと思ってたし?ぜーんぜん射程範囲内の"オンナノコ"なんだけど」
なぁトド松?と振られて吐き捨てるようにそうだねと返す。
カラ松は狐につままれたような顔をしてオンナノコ?と繰り返した。
「女の子でしょ?カラ松兄さんにどう見えてんのかわかんないけど名前ちゃん女の子だから!めっちゃくちゃ可愛い女の子だから!!!!」
「うん、めっちゃくちゃ可愛い」
ここぞとばかり同意してきた三男は無視して変な顔している次男に事実を教えてやる。
「カラ松兄さんわかってないみたいだけど!名前ちゃんめっちゃくちゃ可愛いし良い子だし普通に好き!!恋愛の意味で好き!!正直狙ってる!でもそんなこと"親友"のカラ松兄さんには関係ないよね?」
「かっ関係ある!!!だって」
「だってなに?『親友だから』なんて言わないでよ?親友にそこまでの権限ないから。彼氏ヅラいい加減やめてよ」
「彼氏ヅラなんて」
「してるでしょ。いい加減認めなよ!!今迄の変なヤキモチだって、そんなの焼くってことは好きってことじゃん!!!!!」
「!?」
机をバンバン叩いて言ってやればショックを受けたような顔になってしまった。
!?、じゃないよ全く。
えええ!?!?と驚いている三男は本当に邪魔なので無視するとして、オレが名前を好き…?と壊れたおもちゃのように繰り返す次男に「おまえ今更気付いたのかよ〜〜」「自覚ないとはおもってませんでしたなあ〜」と長男と五男が笑いながらバシバシ背中を叩いている様を頬杖をつきながら見る。やっぱりあの2人は周りをちゃんと見てるんだな。
敵に塩を送るなんてしたくなかったけど自ら当て馬になってやったボクを誰か労ってほしい。
しばらくキョドキョドしていたかと思えばぶわっと赤くなってしまった次男が消え入るような声で「オレ、名前のことが好きかもしれない…」と言ったので思いっきり「知ってるよ!!!!!!!!」と返す。
「ど、どうしよう、オレ、」
「知らないよ、自分で何とかしなよ。ボクはボクでアプローチやめないから」
「えっ」
「こんな無自覚バカ松兄さんに負けてらんないでしょ、ボクだってあの子が好き、譲る気ないから」
「えっそんなトッティ」
「だいじょーぶだよカラ松兄さん!名前ちゃんもカラ松兄さんのこと好きだから!!!!!」
わー!?!?それ言っちゃうの十四松兄さん!?!?!?!?口止めされたじゃん!!!!ていうかそんなこと言ったら…
「…ふぅん…そうか、やはり溢れ出るオレの魅力には勝てなかったというわけか」
ほら〜〜〜〜!!!!
調子乗った〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
がっくりと机に突っ伏すると、三男が「ええ!?なにそれ!?そうなの!?嫌だ!!!!ぼっ僕だって好きだからあの子のこと!!」とかなんとか要らん参戦を宣言していた。
あーもういい加減にして、チョロシコスキー兄さんの言う好きはアイドル好きの好きでしょ…今そういう話してるんじゃないから…
「まー名前ちゃんがどう思ってるか知らないけどとりあえずお前ちゃんとオンナノコ扱いしてあげたら?お前の態度、まるで俺らに対してみたいな雑な態度だったじゃん」
「…そのくせ変なヤキモチと独占欲は酷かったけどね」
「言うねえいちまっちゃん」
そうだ、あまりに"親友"として接し過ぎて彼女は勘違いしている。
とりあえず、明日から女の子扱いしてちゃんと想いを告げる…!
そう次男が宣言した次の日。
松野家に彼女が現れた。
ゲーム大会して遊ぶからおいでよ、と誘ったからだ。
今日も今日とて青いサロペットを着た可愛い女の子が玄関でこんにちはと鈴を転がすような声で挨拶したのを兄弟全員で出迎える。
これ、お土産です良かったらと人数分の様々な種類の袋菓子が入ったビニール袋を渡される。
「ケーキとかにしようかと思ったんだけど好みがわからなくて…ゲーム大会だしみんなで摘めるスナック菓子の方が良いかと思って」
甘いのもしょっぱいのも買ってきました、とはにかむ彼女にキュンとする。気が効く〜〜かわいい〜〜好き〜〜!!!!
上がって上がって、と彼女を茶の間に通す。
名前ちゃんゲームよくやる?マリカーもマリパもあるよどれが良い?名前ちゃん強そ〜なんてわいわいやっていると緊張した面持ちの次男がふと背後に立った。気に食わないけど昨日の今日だ。花くらい持たせてやる。
あーあ、さよならボクの恋心。
名前はゲーム強いよな、前にハタ坊ん家でやった時優勝だったもんな、なんて聞き捨てならないことを言いながら隣に座る次男。なにそれいつの話?ちょっと。
「なぁハニー?」
一世一代の告白だった。
初めてハニーと呼んだのだ、一体どんな反応を。全員が固唾を飲んで見守る中、彼女はいつも通りへらりと笑うとただ「え〜どうかなぁ」と言った。いつも通り。顔色1つ変えず。今迄となんら変わらないかの如く。変化になに1つ気づかなかったように。
自業自得すぎる悪夢の始まりだった。