夢だけど夢じゃない
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カラ松くんが風邪をひいた。
それを聞いたのは偶然道で会った松代さんからだった。
なんでもむつご全員が入れ替わり立ち代わり風邪を引いていたらしいのだけど、みんな完治して一度全員十四松くんになった(!?)あと、カラ松くんだけがぶり返したのだという。
心配するそぶりを見せたら良かったらお見舞いに来てちょうだい、きっと元気が出るからなんて言われてしまい、そのまま松代と松野家の門を潜っていた。
「あとから行くから先に上に登っててくれる〜?」
「えっ、あ、はい」
玄関でさっさと靴を脱いで奥へ行ってしまった松代にろくに話しかけられないまま、1人残され階段を見上げる。この上にカラ松が寝ている。2階にお邪魔するのは初めてだ。ぎしり、ぎしり、と古い階段を鳴らしながら一歩一歩登っていく。心臓が爆発しそうだ。アニメで散々見たむつごの部屋をこの目で生で見られるなんて。
階段を登りきるといくつか襖があった。多分この左手の襖がそうだろうな。私は意を決して襖を開けた。
「……カラ松くん?」
画面越しによーーーくよく見慣れた部屋がそこにあった。感動で泣きそう。
その部屋に大きな布団が敷かれ、真ん中が人一人分だけ膨らんでいた。どうやらカラ松くんだけが寝ているようだ。
布団をすっぽり被っているから姿は見えない。
枕元にしゃがみ込んで、そうっと膨らみに片手を伸ばした。
「カラ松くん、起きてる?」
軽く揺すろうかと膨らみに手を置いた瞬間。
布団の中からにゅっと手が伸び私の足首を引っ掴むとそのまますごい力で布団の中へ引きずり込まれた。
あまりに急なことで声も出せずに足を引っ張られたせいで尻餅をつきそのまま足から布団に連れ込まれた私は目を白黒させながら薄暗い布団の中でキョロキョロした。完全に頭まですっぽり布団の中に入ってしまっている。すごく暑くてじんわり湿った布団の中から頭を出そうと顔の上の布団を手で押しやろうとしたらその手首をガシッと掴まれて声にならない悲鳴をあげた。
何かが自分の上に馬乗りになった感触が腰に乗った重みのせいでわかる。何かが私に跨っている。手首を掴まれて仰向けに固定されていると、上に乗った何かのおかげで顔の上の布団が退いた。
薄暗い中目を凝らせば、布団と私の顔の間に水色の狼の顔があった。
厳密にいうと、狼の着ぐるみパジャマを着たカラ松の頭が。
熱い息が掛かる距離で据わった目のカラ松と視線が熱く絡まる。
あまりの事態に頭が真っ白になり無言で見上げていると、手首を掴んでいない方の手で確かめるようにふわふわのラビットファーコートを何度も揉まれる。か、カラ松くんはファーがふわふわして気持ち良いかもしれないけど、その下には私の身体があるんですけど…
コートの厚みでゆるゆると触れられてる感触しかないが、そわそわと身じろぎしたらもう片方の手首もガシッと掴まれて布団に両手を縫い止められてしまった。
カラ松の両目は爛々と怪しく光っている。
「カラ松く…」
「…子ウサギが夜這いとはいけないなぁ?ん?」
「い、今はまだお昼だよ」
低く耳にまとわりつくような艶やかなバリトンが布団の中に反響して全身で浴びたみたいだ。気が動転して全然どうでもいいツッコミをしてしまった。
「狼の元へ1人で来るなんて、食べられても文句言えないぞ赤ずきんちゃん?」
はぁ…と熱い息が顔にかかって全身が熱くなって震える。
「それとも食べられにきたのか?」
困ったバニーちゃんだな、顔を耳元に寄せて直接耳の中に流し込まれた低音に身体の奥がズンと痺れ、目をギュッと瞑った。汗ばんだ頰が自分の頰に当たる。湿り気が気持ち悪いはずなのにその熱すら心臓を早める一因にしかならない。
赤ずきんちゃんなのかウサちゃんなのかはっきりしないが、身の危険を感じて脳内がサイレンを鳴らしまくっている。でも、このまま食べられても全然良い、むしろ本望……
手首を掴む手のひらが熱い。腰に乗っている体重が熱い。かかる息が熱い。
ゆるゆると瞼を持ち上げれば、至近距離で熱く潤んだ目と目が合って、視線が絡んで、それから………
びっくりしたような松野カラ松の顔に、こちらもびっくりした。
えっ急に?
「………………名前?」
「え、うん」
思わず頷くとウワア!!みたいな大声を出して松野カラ松が飛び退いた。布団を被ったまま部屋の隅まで飛び退いたので、敷布団に仰向けに倒れた私の上にすぅっと冷たい冷気が舞い込んできた。あ、涼しい。もう何時間も熱い湿った布団の中にいた気がする。
ソファの方まで飛び退いたカラ松は掛け布団を頭から被って1人かまくらみたいになりながら真っ赤な顔でこちらを凝視していた。胸元まで開いた前開きファスナーから覗く胸板に汗が伝って色っぽい。
仰向けに寝転んだままぼんやりそれを眺めていると、ガバッとカラ松が土下座した。おかげで布団をすっぽり被った形になり、大きなおまんじゅうからちょっぴり狼の耳が覗いているみたいになる。呆然とそれを見ているとその体制から顔だけあげたカラ松が心底申し訳なさそうにこちらを見た。
「………す、すまない、寝ぼけていたみたいで」
「………………うん」
もうすっかりいつものカラ松くんだった。
なんだかドッと疲れた私は嫌な汗をかいているのを誤魔化すようにコートを脱ぎながら起き上がった。なーんだ。なーーーんだ。なーーーーーーんだ!!!!!!!!!
顔が赤いのも具合が悪いせいみたいで、はぁはぁと荒い息でうずくまっているカラ松に気にしていない旨伝えて、布団に戻るよう促す。
掛け布団を被って土下座の姿勢のままはいはいで敷布団まで戻ってくるカラ松をカタツムリみたいだななんて思う。
元の場所に寝転んで顔だけ布団から出したカラ松の枕元に座って額に手を当てる。溶けてしまいそうなくらい熱かった。
「見舞いに来てくれたのか?」
「うん」
「朦朧としていて…おかしなことをしてしまってすまなかった」
「別に大丈夫だよ」
あのまま朦朧としていてくれたら既成事実が作れたかもしれないのに。
そんな邪な思いを追いやるように頭を振って、カラ松の頭上にあるもう一つの顔を見やる。
狼の着ぐるみを見ていることに気付いたらしい男は恥ずかしそうに、いつもこんなファンシーなパジャマを着ているわけじゃない、いつものパジャマは汗でビショビショで洗濯に出したから代わりに着ているだけで、なんてもごもご言い訳する。確かにファンシーなパジャマだけど、着ぐるみなはずなのにそこはかとなく色気が漂うのは熱で潤んだ瞳のせいか、上気した頰のせいか、熱い息を吐く半開きの口のせいか、大きく開いた胸元にじんわり浮かぶ汗のせいか。
いけないものを見ているような気持ちになって目を閉じ、深く深呼吸をすると、ため息をついたと勘違いしたらしいカラ松が恐る恐る袖を握ってきた。
「どうかした?あ、お水飲みたい?貰ってこようか」
「………名前のおかゆが食べたい」
前に看病してくれた時に作ってくれたやつ、息も絶え絶えにゆっくり伝えられたそれに胸の奥がきゅーんと痛んだ。
「………わかった」
安心させるように微笑むと静かに立ち上がって、松代に台所を借りに私は静かに部屋を出た。
それを聞いたのは偶然道で会った松代さんからだった。
なんでもむつご全員が入れ替わり立ち代わり風邪を引いていたらしいのだけど、みんな完治して一度全員十四松くんになった(!?)あと、カラ松くんだけがぶり返したのだという。
心配するそぶりを見せたら良かったらお見舞いに来てちょうだい、きっと元気が出るからなんて言われてしまい、そのまま松代と松野家の門を潜っていた。
「あとから行くから先に上に登っててくれる〜?」
「えっ、あ、はい」
玄関でさっさと靴を脱いで奥へ行ってしまった松代にろくに話しかけられないまま、1人残され階段を見上げる。この上にカラ松が寝ている。2階にお邪魔するのは初めてだ。ぎしり、ぎしり、と古い階段を鳴らしながら一歩一歩登っていく。心臓が爆発しそうだ。アニメで散々見たむつごの部屋をこの目で生で見られるなんて。
階段を登りきるといくつか襖があった。多分この左手の襖がそうだろうな。私は意を決して襖を開けた。
「……カラ松くん?」
画面越しによーーーくよく見慣れた部屋がそこにあった。感動で泣きそう。
その部屋に大きな布団が敷かれ、真ん中が人一人分だけ膨らんでいた。どうやらカラ松くんだけが寝ているようだ。
布団をすっぽり被っているから姿は見えない。
枕元にしゃがみ込んで、そうっと膨らみに片手を伸ばした。
「カラ松くん、起きてる?」
軽く揺すろうかと膨らみに手を置いた瞬間。
布団の中からにゅっと手が伸び私の足首を引っ掴むとそのまますごい力で布団の中へ引きずり込まれた。
あまりに急なことで声も出せずに足を引っ張られたせいで尻餅をつきそのまま足から布団に連れ込まれた私は目を白黒させながら薄暗い布団の中でキョロキョロした。完全に頭まですっぽり布団の中に入ってしまっている。すごく暑くてじんわり湿った布団の中から頭を出そうと顔の上の布団を手で押しやろうとしたらその手首をガシッと掴まれて声にならない悲鳴をあげた。
何かが自分の上に馬乗りになった感触が腰に乗った重みのせいでわかる。何かが私に跨っている。手首を掴まれて仰向けに固定されていると、上に乗った何かのおかげで顔の上の布団が退いた。
薄暗い中目を凝らせば、布団と私の顔の間に水色の狼の顔があった。
厳密にいうと、狼の着ぐるみパジャマを着たカラ松の頭が。
熱い息が掛かる距離で据わった目のカラ松と視線が熱く絡まる。
あまりの事態に頭が真っ白になり無言で見上げていると、手首を掴んでいない方の手で確かめるようにふわふわのラビットファーコートを何度も揉まれる。か、カラ松くんはファーがふわふわして気持ち良いかもしれないけど、その下には私の身体があるんですけど…
コートの厚みでゆるゆると触れられてる感触しかないが、そわそわと身じろぎしたらもう片方の手首もガシッと掴まれて布団に両手を縫い止められてしまった。
カラ松の両目は爛々と怪しく光っている。
「カラ松く…」
「…子ウサギが夜這いとはいけないなぁ?ん?」
「い、今はまだお昼だよ」
低く耳にまとわりつくような艶やかなバリトンが布団の中に反響して全身で浴びたみたいだ。気が動転して全然どうでもいいツッコミをしてしまった。
「狼の元へ1人で来るなんて、食べられても文句言えないぞ赤ずきんちゃん?」
はぁ…と熱い息が顔にかかって全身が熱くなって震える。
「それとも食べられにきたのか?」
困ったバニーちゃんだな、顔を耳元に寄せて直接耳の中に流し込まれた低音に身体の奥がズンと痺れ、目をギュッと瞑った。汗ばんだ頰が自分の頰に当たる。湿り気が気持ち悪いはずなのにその熱すら心臓を早める一因にしかならない。
赤ずきんちゃんなのかウサちゃんなのかはっきりしないが、身の危険を感じて脳内がサイレンを鳴らしまくっている。でも、このまま食べられても全然良い、むしろ本望……
手首を掴む手のひらが熱い。腰に乗っている体重が熱い。かかる息が熱い。
ゆるゆると瞼を持ち上げれば、至近距離で熱く潤んだ目と目が合って、視線が絡んで、それから………
びっくりしたような松野カラ松の顔に、こちらもびっくりした。
えっ急に?
「………………名前?」
「え、うん」
思わず頷くとウワア!!みたいな大声を出して松野カラ松が飛び退いた。布団を被ったまま部屋の隅まで飛び退いたので、敷布団に仰向けに倒れた私の上にすぅっと冷たい冷気が舞い込んできた。あ、涼しい。もう何時間も熱い湿った布団の中にいた気がする。
ソファの方まで飛び退いたカラ松は掛け布団を頭から被って1人かまくらみたいになりながら真っ赤な顔でこちらを凝視していた。胸元まで開いた前開きファスナーから覗く胸板に汗が伝って色っぽい。
仰向けに寝転んだままぼんやりそれを眺めていると、ガバッとカラ松が土下座した。おかげで布団をすっぽり被った形になり、大きなおまんじゅうからちょっぴり狼の耳が覗いているみたいになる。呆然とそれを見ているとその体制から顔だけあげたカラ松が心底申し訳なさそうにこちらを見た。
「………す、すまない、寝ぼけていたみたいで」
「………………うん」
もうすっかりいつものカラ松くんだった。
なんだかドッと疲れた私は嫌な汗をかいているのを誤魔化すようにコートを脱ぎながら起き上がった。なーんだ。なーーーんだ。なーーーーーーんだ!!!!!!!!!
顔が赤いのも具合が悪いせいみたいで、はぁはぁと荒い息でうずくまっているカラ松に気にしていない旨伝えて、布団に戻るよう促す。
掛け布団を被って土下座の姿勢のままはいはいで敷布団まで戻ってくるカラ松をカタツムリみたいだななんて思う。
元の場所に寝転んで顔だけ布団から出したカラ松の枕元に座って額に手を当てる。溶けてしまいそうなくらい熱かった。
「見舞いに来てくれたのか?」
「うん」
「朦朧としていて…おかしなことをしてしまってすまなかった」
「別に大丈夫だよ」
あのまま朦朧としていてくれたら既成事実が作れたかもしれないのに。
そんな邪な思いを追いやるように頭を振って、カラ松の頭上にあるもう一つの顔を見やる。
狼の着ぐるみを見ていることに気付いたらしい男は恥ずかしそうに、いつもこんなファンシーなパジャマを着ているわけじゃない、いつものパジャマは汗でビショビショで洗濯に出したから代わりに着ているだけで、なんてもごもご言い訳する。確かにファンシーなパジャマだけど、着ぐるみなはずなのにそこはかとなく色気が漂うのは熱で潤んだ瞳のせいか、上気した頰のせいか、熱い息を吐く半開きの口のせいか、大きく開いた胸元にじんわり浮かぶ汗のせいか。
いけないものを見ているような気持ちになって目を閉じ、深く深呼吸をすると、ため息をついたと勘違いしたらしいカラ松が恐る恐る袖を握ってきた。
「どうかした?あ、お水飲みたい?貰ってこようか」
「………名前のおかゆが食べたい」
前に看病してくれた時に作ってくれたやつ、息も絶え絶えにゆっくり伝えられたそれに胸の奥がきゅーんと痛んだ。
「………わかった」
安心させるように微笑むと静かに立ち上がって、松代に台所を借りに私は静かに部屋を出た。