夢だけど夢じゃない
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「て訳でクリスマスはむつごを追い払うので大変だったんだから」
「へえ…」
結局フィンランドへ連れ去られてハタ坊と2人きりでクリスマス(飛行機の中で1日過ごした)と年末年始を迎えた私は松の内も過ぎた頃に漸く帰国した。
スマホにトト子ちゃんから鬼電とおびただしい数のメールが入っていて怯えたが、クリスマスにむつごが押し掛けてきて大迷惑だから助けろだのカウントダウンライブをするから来いだのあけましておめでとうだの他愛もない(?)内容だった。
ずっとスマホを持たないで海外へ行っていた事を謝り、可愛いフィンランド土産を渡す為に彼女の部屋を尋ねれば、サンタ服に身を包んだむつごからデートの熱烈オファーを受けて困り果てた話を長々とされたのだった。
彼女にとっては本当に傍迷惑な愚痴だったのだろうが、楽しみにしていたカラ松とのデートを出来なかった身としては自慢話にしか聞こえない。
しかも私と約束があったはずなのにトト子ちゃん家に来てデートの申し込みをしていたということにショックを受けた。えっ私とのデートは…?行かなかったのは私だけど、もしかして行ったとしても私とのデートを忘れてトト子ちゃんに夢中だった可能性もある、川辺で見た6人揃ってチビ太のところで飲んでいた姿はトト子ちゃんに断られて不貞腐れてたとこだったのでは、ありえすぎる予想に顔を青くしているとたくさん語って満足したらしいトト子ちゃんからニューイヤーセールのお誘いを受ける。クリスマスのことに頭をいっぱいにしていたせいで返事が遅れた私を勝手に引っ張ってショッピングモールへと繰り出したトト子ちゃんと私は、道中ばったりとむつごと出くわした。
あ、会いたくなかった、心の準備が…どのツラ下げて…!
咄嗟にトト子ちゃんの後ろへ引っ込んだがこちらに気づいたむつごは駆け寄ってくる。
「名前!」
「「「「「トト子ちゃん!!」」」」」
見事にハモッたその声は一人だけ不協和音を発しており、びっくりした5人とジト目のトト子ちゃんの視線が一斉にその人物に集まった。
「なぁにカラ松くん、私より先に名前の名前呼んだりして」
「い、いや、トト子ちゃん、ハッピーニューイヤー!今年もウルトラキュートだな!!」
「ありがとう、当たり前でしょ」
当然と自負しながらもちゃんとお礼を言うところが彼女の良いところだ。
改めて感心しているとニコニコ笑顔を貼り付けたトド松が一歩前に出た。
「そんなことより二人とも、もう初詣には行った?」
「初詣?そういえば行ってないなー」
「(つい昨日帰国したばかりだから)行ってない…」
「ちょうど良かった!ちょっと遅いけどボクら今から行くところでさ!良かったら一緒に行かない?」
えー、セールに行くところなんだけどなぁーと口を尖らすトト子に、初詣行った後に一緒に行こうよ!荷物持ち要員として!とニコニコ詰め寄るトド松。確かに荷物持ちは必要ねーとトト子も快諾し、トト子に腕を引っ張られていた私も付いていくことになってしまった。
どうしよう、カラ松に合わせる顔がない。向こうがクリスマスデートのことをすっかり忘れている可能性もあり、それはそれで辛いからクリスマスの話題が出ないことを祈る。
トト子に引きずられるように引っ張られていた腕は解放され少し後ろを歩いていた私の両隣に数字松が来た。
右隣に陣取ったモコモコに着込んだ十四松がニコニコと天使のような笑顔で「名前ちゃん久しぶりだね!あけましておめでとお!」と挨拶してくるのでつられて笑顔で新年の挨拶を返す。
「年末年始全然会わなかったね!!!!クリスマス何してたの?」
十四松ーーーーーーーーッッッ!!!!!!その話題アウトーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!!
冷や汗を流しながら前を見れば、先程トト子のご機嫌を損ねたカラ松がへこへこへりくだりながらトト子のご機嫌を取っているところで、それを邪険にしながら長男三男六男がワイワイ騒ぎ立てて歩いているため十四松のそこそこ大きな声は届かなかったようだ。
ホッと胸を撫で下ろしながら色々あってね…と誤魔化せば、左隣からにゃんこ美味しかった…と小さな声がした。
そちらを見るとそっぽを向いた一松が「会えたらお礼言おうと思ってたけど今日まで会えなかったから…」ともごもご続けた。良かった、ちゃんと食べてくれて。可愛すぎて食べれない!とかで腐らせてたらどうしようかと思ってたんだ。
「お口に合って良かった」
「ん」
「なになに!?!?なんの話!?!?」
「サンタさんの話だよ」
「サンタさん!?!?ぼくも捕まえたよ!!!!」
「捕まえたってなに!?!?!?」
そんな話をしながら歩いていると大きな神社にたどり着く。松の内も過ぎているからか参拝客はまばらだった。
並ぶ事もなく横一列になってお賽銭を投げる。
二礼二拍手。
特にお願いごとも思いつかなかったので健康と平穏を祈っておいた。カラ松くんとどうこうって思いがよぎったけど、ダメダメ、親友として生きるって決めたんだから、魔が差してクリスマスデートの約束とかしちゃったけど結局出来なかったってのはもうそういう運命なのだしこんなところでそんなことを祈っちゃダメな気がする。
複雑な心境のまま閉じていた目を開けると同じように参り終わって目を開けたむつごがおみくじ引こう!と笑顔を向けてきた。
「名前ちゃんどうだったー!?」
明るいおそ松の声に返事が出来ない。
私は手の中で細長い紙をぷるぷる掴んだままその内容を凝視していた。
「うわ大凶」
斜め後ろから覗き込んできた一松が思わず声を漏らす。
絶望の顔で振り向いた名前にウッと声を詰まらせた。
大凶なんて数年振りに引いた。
待ち人、来ず。縁談、想い通じず。
絶望的な内容に打ちのめされていると内容を読んだらしい一松が「願い事は思いがけない人の助けあって叶う、だって、良かったじゃん」とフォローしてくれる。本当に叶うだろうか…そもそも願い事…さっきの健康と平穏のこと…?
俯いているとオロオロした気配がそっと手の中のおみくじを引き取った。
手早く細長く畳んで私の代わりに目の前の紐に結びつけてくれる。
「…凶ってさ、」
「うん?」
「上があいてるでしょ、メが凵から出たがってんだって」
だから『めでたい』んだよ、ボソボソとこちらを見ずに呟く一松に呆気に取られていると反応がなかったことに焦ったらしい一松が「…なんでもない、忘れて」と早口で言った。
「あっごめんね、なるほど〜て思ってただけ!ありがとう一松くん、ふふっじゃあ大凶は大めでたいだね!そう思うと悪くないね!」
「ソウダネ」
「一松くんのおかげで元気出た!ありがとう、優しいね」
「…んーん……当然のことしただけ」
友達だから。
囁くような小声で漏らされたその言葉にバッと顔を見れば、耳まで真っ赤にした一松が目線を下にウロウロさせながら汗だくで立っていた。
凝視しているとバツが悪そうにチラッと目線を上げた彼が目が合うとすぐにまた目線を下げて「…サンタさんちゃんと来てヨカッタネ」と早口で言った。
嬉しくて嬉しくて結構大きめな声でうん…っ!!!!と頷いてしまう。あんなたわいない会話を覚えててくれた!!思いがけない人の助けあって叶うって本当だ!!思いがけない人というか当人の助けだけど。
私があまりに嬉しそうに笑ったからか大声に驚いて顔を上げた一松はつられたようにへにゃっと笑った。かわいい!表情もだし顔が赤いとこも相まってめちゃくちゃかわいい。
私達がニコニコしあっているとトド松が近付いてきた。
「なになに?楽しそうだね!大吉だったの?」
「ううん!!!大凶だった!!!」
「えっ!?!?じゃあなんでそんな笑顔なの!?」
引いたように大袈裟なリアクションを取るトド松が面白くって二人で更に笑う。混乱しているトド松の後ろから真顔の次男が顔を出す。
「トト子ちゃんを待たせてるからさっさと買い物に行くぞ。早くしろ」
「えっあっごめん」
えっっっカラ松くんめちゃくちゃ機嫌悪くない!?どうしたの?カラ松くんも大凶だったとか?
それなら大めでたいから大丈夫だよって教えてあげなきゃ、そう思ってさっさと踵を返して行ってしまったカラ松を追いかけようと一歩踏み出すと目の前にトド松が立ち塞がった。
「なにあれ感じ悪ぅ〜、ごめんね名前ちゃん」
「あ、ううん、」
「行こっか」
そう微笑まれてはカラ松を追いかけることも出来ず、四男と六男に挟まれたまま歩き出した。
「へえ…」
結局フィンランドへ連れ去られてハタ坊と2人きりでクリスマス(飛行機の中で1日過ごした)と年末年始を迎えた私は松の内も過ぎた頃に漸く帰国した。
スマホにトト子ちゃんから鬼電とおびただしい数のメールが入っていて怯えたが、クリスマスにむつごが押し掛けてきて大迷惑だから助けろだのカウントダウンライブをするから来いだのあけましておめでとうだの他愛もない(?)内容だった。
ずっとスマホを持たないで海外へ行っていた事を謝り、可愛いフィンランド土産を渡す為に彼女の部屋を尋ねれば、サンタ服に身を包んだむつごからデートの熱烈オファーを受けて困り果てた話を長々とされたのだった。
彼女にとっては本当に傍迷惑な愚痴だったのだろうが、楽しみにしていたカラ松とのデートを出来なかった身としては自慢話にしか聞こえない。
しかも私と約束があったはずなのにトト子ちゃん家に来てデートの申し込みをしていたということにショックを受けた。えっ私とのデートは…?行かなかったのは私だけど、もしかして行ったとしても私とのデートを忘れてトト子ちゃんに夢中だった可能性もある、川辺で見た6人揃ってチビ太のところで飲んでいた姿はトト子ちゃんに断られて不貞腐れてたとこだったのでは、ありえすぎる予想に顔を青くしているとたくさん語って満足したらしいトト子ちゃんからニューイヤーセールのお誘いを受ける。クリスマスのことに頭をいっぱいにしていたせいで返事が遅れた私を勝手に引っ張ってショッピングモールへと繰り出したトト子ちゃんと私は、道中ばったりとむつごと出くわした。
あ、会いたくなかった、心の準備が…どのツラ下げて…!
咄嗟にトト子ちゃんの後ろへ引っ込んだがこちらに気づいたむつごは駆け寄ってくる。
「名前!」
「「「「「トト子ちゃん!!」」」」」
見事にハモッたその声は一人だけ不協和音を発しており、びっくりした5人とジト目のトト子ちゃんの視線が一斉にその人物に集まった。
「なぁにカラ松くん、私より先に名前の名前呼んだりして」
「い、いや、トト子ちゃん、ハッピーニューイヤー!今年もウルトラキュートだな!!」
「ありがとう、当たり前でしょ」
当然と自負しながらもちゃんとお礼を言うところが彼女の良いところだ。
改めて感心しているとニコニコ笑顔を貼り付けたトド松が一歩前に出た。
「そんなことより二人とも、もう初詣には行った?」
「初詣?そういえば行ってないなー」
「(つい昨日帰国したばかりだから)行ってない…」
「ちょうど良かった!ちょっと遅いけどボクら今から行くところでさ!良かったら一緒に行かない?」
えー、セールに行くところなんだけどなぁーと口を尖らすトト子に、初詣行った後に一緒に行こうよ!荷物持ち要員として!とニコニコ詰め寄るトド松。確かに荷物持ちは必要ねーとトト子も快諾し、トト子に腕を引っ張られていた私も付いていくことになってしまった。
どうしよう、カラ松に合わせる顔がない。向こうがクリスマスデートのことをすっかり忘れている可能性もあり、それはそれで辛いからクリスマスの話題が出ないことを祈る。
トト子に引きずられるように引っ張られていた腕は解放され少し後ろを歩いていた私の両隣に数字松が来た。
右隣に陣取ったモコモコに着込んだ十四松がニコニコと天使のような笑顔で「名前ちゃん久しぶりだね!あけましておめでとお!」と挨拶してくるのでつられて笑顔で新年の挨拶を返す。
「年末年始全然会わなかったね!!!!クリスマス何してたの?」
十四松ーーーーーーーーッッッ!!!!!!その話題アウトーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!!
冷や汗を流しながら前を見れば、先程トト子のご機嫌を損ねたカラ松がへこへこへりくだりながらトト子のご機嫌を取っているところで、それを邪険にしながら長男三男六男がワイワイ騒ぎ立てて歩いているため十四松のそこそこ大きな声は届かなかったようだ。
ホッと胸を撫で下ろしながら色々あってね…と誤魔化せば、左隣からにゃんこ美味しかった…と小さな声がした。
そちらを見るとそっぽを向いた一松が「会えたらお礼言おうと思ってたけど今日まで会えなかったから…」ともごもご続けた。良かった、ちゃんと食べてくれて。可愛すぎて食べれない!とかで腐らせてたらどうしようかと思ってたんだ。
「お口に合って良かった」
「ん」
「なになに!?!?なんの話!?!?」
「サンタさんの話だよ」
「サンタさん!?!?ぼくも捕まえたよ!!!!」
「捕まえたってなに!?!?!?」
そんな話をしながら歩いていると大きな神社にたどり着く。松の内も過ぎているからか参拝客はまばらだった。
並ぶ事もなく横一列になってお賽銭を投げる。
二礼二拍手。
特にお願いごとも思いつかなかったので健康と平穏を祈っておいた。カラ松くんとどうこうって思いがよぎったけど、ダメダメ、親友として生きるって決めたんだから、魔が差してクリスマスデートの約束とかしちゃったけど結局出来なかったってのはもうそういう運命なのだしこんなところでそんなことを祈っちゃダメな気がする。
複雑な心境のまま閉じていた目を開けると同じように参り終わって目を開けたむつごがおみくじ引こう!と笑顔を向けてきた。
「名前ちゃんどうだったー!?」
明るいおそ松の声に返事が出来ない。
私は手の中で細長い紙をぷるぷる掴んだままその内容を凝視していた。
「うわ大凶」
斜め後ろから覗き込んできた一松が思わず声を漏らす。
絶望の顔で振り向いた名前にウッと声を詰まらせた。
大凶なんて数年振りに引いた。
待ち人、来ず。縁談、想い通じず。
絶望的な内容に打ちのめされていると内容を読んだらしい一松が「願い事は思いがけない人の助けあって叶う、だって、良かったじゃん」とフォローしてくれる。本当に叶うだろうか…そもそも願い事…さっきの健康と平穏のこと…?
俯いているとオロオロした気配がそっと手の中のおみくじを引き取った。
手早く細長く畳んで私の代わりに目の前の紐に結びつけてくれる。
「…凶ってさ、」
「うん?」
「上があいてるでしょ、メが凵から出たがってんだって」
だから『めでたい』んだよ、ボソボソとこちらを見ずに呟く一松に呆気に取られていると反応がなかったことに焦ったらしい一松が「…なんでもない、忘れて」と早口で言った。
「あっごめんね、なるほど〜て思ってただけ!ありがとう一松くん、ふふっじゃあ大凶は大めでたいだね!そう思うと悪くないね!」
「ソウダネ」
「一松くんのおかげで元気出た!ありがとう、優しいね」
「…んーん……当然のことしただけ」
友達だから。
囁くような小声で漏らされたその言葉にバッと顔を見れば、耳まで真っ赤にした一松が目線を下にウロウロさせながら汗だくで立っていた。
凝視しているとバツが悪そうにチラッと目線を上げた彼が目が合うとすぐにまた目線を下げて「…サンタさんちゃんと来てヨカッタネ」と早口で言った。
嬉しくて嬉しくて結構大きめな声でうん…っ!!!!と頷いてしまう。あんなたわいない会話を覚えててくれた!!思いがけない人の助けあって叶うって本当だ!!思いがけない人というか当人の助けだけど。
私があまりに嬉しそうに笑ったからか大声に驚いて顔を上げた一松はつられたようにへにゃっと笑った。かわいい!表情もだし顔が赤いとこも相まってめちゃくちゃかわいい。
私達がニコニコしあっているとトド松が近付いてきた。
「なになに?楽しそうだね!大吉だったの?」
「ううん!!!大凶だった!!!」
「えっ!?!?じゃあなんでそんな笑顔なの!?」
引いたように大袈裟なリアクションを取るトド松が面白くって二人で更に笑う。混乱しているトド松の後ろから真顔の次男が顔を出す。
「トト子ちゃんを待たせてるからさっさと買い物に行くぞ。早くしろ」
「えっあっごめん」
えっっっカラ松くんめちゃくちゃ機嫌悪くない!?どうしたの?カラ松くんも大凶だったとか?
それなら大めでたいから大丈夫だよって教えてあげなきゃ、そう思ってさっさと踵を返して行ってしまったカラ松を追いかけようと一歩踏み出すと目の前にトド松が立ち塞がった。
「なにあれ感じ悪ぅ〜、ごめんね名前ちゃん」
「あ、ううん、」
「行こっか」
そう微笑まれてはカラ松を追いかけることも出来ず、四男と六男に挟まれたまま歩き出した。