夢だけど夢じゃない
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「…本っ当に申し訳なかった…!!!!!」
「いやうん、もう良いよ」
目の前で土下座する革ジャンの男を複雑な心境で見下ろす。
明日はクリスマスイブ、街もハタ坊も浮かれきっていた今日、珍しく知らない番号から電話がかかってきたのを不思議に思いながら出てみれば。
「名前助けてくれぇ!!!!」と良く知った泣き声が耳をつんざいた。
メソメソ聞き取りづらい声が示す場所へと行ってみれば、怪しげなバーに屈強な強面の黒服男と美人なお姉さん、そして革ジャンをビシッとキメてはいるものの顔は涙と鼻水でぐしょぐしょの松野カラ松がいた。
あー…クリスマス回で逆ナン待ちして美人局にあう話あったようななかったような…だいたいこんな綺麗なお姉さんがクリスマスイブイブに引っかかるなんて怪しさ満点なのに…ニコニコと壁際でタバコをふかしているお姉さんと、天井すれすれの巨体の黒服お兄さんに凄まれつつ、殆どお金なんて持ってないカラ松が藁にも縋る思いで店の電話から私のスマホに掛けてきたというわけだ。
こんな怪しいお店から電話かけて私の電話番号を晒さないで欲しかったけど仕方ない。
嫌な予感しつつも電話一本で出向いてしまうチョロい私も仕方ない。
で、いくらなの?と聞けば86万円と書かれた伝票をぷるぷると渡してきた。
うわーこりゃまた派手にボラれたねえ…
流石にそんな現金は持ち歩いていない。
カードでも大丈夫ですか?と黒服を見上げれば「この女払えるのか」という顔をしたあと、いやらしく笑って「大丈夫ですけど、それ外税な上にクレジット決済は手数料50%頂いてまして」と宣った。法外にも程がある。払えると踏んで更にふっかけてくるとは良い度胸だな。
呆れた目つきで見上げていたらニヤニヤしていた男がだんだん怖い顔になってきたので、脅しに屈するわけではないけどこのままここにいても仕方ないな…と割り切って財布を出そうとコートの前を開けてサロペットのポケットをまさぐった。
コートがはだけて中に着ていたいつものハタ坊お揃いコーデが露わになる。途端、その格好を見た従業員達がサッと顔色を変えて後退る。
「? あの、」
「そっそそそそその格好…!?!?も、もしかしてフラッグ…」
「ああ、はい、フラッグコーポレーションの者ですが」
厳密には社員でもなんでもないけどまぁ大意では嘘じゃない。
そう思って肯定すると、強面の黒服お兄さんはおろか、美人なお姉さんも、バーテンも、レジにいた怖いオジサンまでみんなガタガタ震え出した。顔が真っ青だ。
「もっ申し訳ございませんまさかミスターフラッグのご関係者様とはつゆ知らずとんだご無礼を…!!お代なんて頂けません、おもてなしもせず大変失礼致しました…!!!!」
そういうが早いかクソ高い酒が並々注がれたグラスが次々と出てきた。
こちらサービスですのでお好きなだけどうぞ!!!!とぺこぺこされるのを唖然と見ていたけど、それはそれで怖いから丁寧に御断りしてカラ松を引っ張って店を出た。タダだというなら払うことない。ハタ坊一体何をしたらあの人達をあんなにビビらせることに…?ヤクザか何かなの…??
あんまり考えても恐ろしいので何も見なかったことにして黙って店のあるビルから出た瞬間、掴んで引きずってきたはずのカラ松が地面にめり込む勢いで土下座して、冒頭に戻る。
「名前しか頼る人が思いつかなくて…」
「うん…ハタ坊も多分助けてくれたけど私で正解だったかな」
同じ格好をしているだけの私であの態度なのだからご本人登場してたら修羅場な気がする。
カラ松くんにお財布要員と思われてることがわかって少し凹んだけど、実際頼れるのは私くらいだっただろうし、彼も反省してるみたいだし…。
「それにしてもレンタル彼女で痛い目見てるはずなのにあんな美人なお姉さんに声かけられて怪しいなって思わなかったの?」
「ウッ…」
「イヤ代さんといいさっきのお姉さんといい金髪ロングの綺麗めお姉さんが好みなんだ?」
「…嫌いではない…」
素 直 か よ !
ああ〜〜〜〜なんっで私金髪ロングの綺麗めお姉さんの見た目じゃないんだろう!!!!
元の姿と比べたら1億倍くらい可愛く作画してもらってるけど、どうせ作画違いならカラ松くん好みのキャラデザが良かったな!!!!もっと欲をいうなら最初からカラ松くんと恋仲なら良かったな!!!!
無い物ねだりを心中叫びながらカラ松に立つよう促す。土下座なんてして欲しくない。そんなに誰でも良いからデートしたいなら私がいくらでもしてあげるのに。
「…えっ?」
「えっ?」
「デート…してくれるのか…?」
「……えっ???」
びっくりした顔でこちらを覗き込んでくるカラ松に頭の上にも中にも疑問符だらけになる。
「名前、デートしてくれるのか?」
「…えっ!?!?声に出てた!?」
「普通に出てたぞ」
顔から火が出そう!!!!
いやその違くて、あんまり誰でも良いとかいってるとさっきみたいに騙されちゃうから、また騙されるくらいなら私がしても良いかな〜とか!などとしどろもどろになりながら言い訳する。本当はめちゃくちゃデートして欲しいけど恥ずかしくてそんなこと言えない!!!!
「なんか…ごめんな気を遣わせて…」
「あっ…いえ…そんな…なんかすみません…」
「いや、嬉しかった、ありがとな」
フニャと笑ったカラ松に胸がキュンと痛む。今多分私泣きそうな情け無い顔してると思う。
「で、明日の夜とかどうだろう」
「エッ!?!?ほっ本当にするの!?」
「えっ!?しないのか!?」
「いや!!します!!!!」
明日の夜ってクリスマスイブじゃん!!!!ガチのクリスマスデートじゃん!!!!(?)
あまりの急展開にテンパる。手汗がヤバイ。マジでヤバイ。カラ松くんとデート!?えっどうしよう何着てこう!?!?私サロペットしか持ってない!!!!アッもうお金持ってるんだからデート服買えばいいんだ!?!?ウワーッどうしよう!!!!カラ松くんさっきのお姉さんみたいなちょっとセクシーな感じの方が好きなのかな!?多分!?!?
だいぶテンパりながら明日の夜、街の広場の時計の下で待ち合わせの約束をしてその場は別れた。テンパりすぎて全然記憶のないまま自室へ帰り着く。どうやって帰ってきたかわかんない。ふわふわしてる。ウワーッウワーッと叫びながらふかふかのベッドにダイブした。
そして、クリスマスイブ当日の夜。
私は死んだ顔をして船に乗っていた。
ハタ坊の自前クルーズ船。
周りには知らない女の子がたくさん。
私は早起きして買いに行った渾身のデート勝負服ではなく問答無用で着させられた黒いバニーガールの格好をして、隣のサンタコスのハタ坊のばら撒く札束を頭から被りながら呆然と地べたに座りこんでいた。
なんでこんなことに。
なんでこんなことに!?
デート勝負服に身を包み完璧なおめかし姿を鏡で確認していた所に旗の女性達が現れて、あっという間に身ぐるみ剥がされバニーを着せられ船に乗せられていた。すごい手際の良さだった。本当にあっという間だった。知らない女の子たちがキャッキャとハタ坊に媚び売っているのを愕然と見ながら船は出航していた。寒いしサムい。
なんでこんなことに!?!?
知らない女の子しかいないと思っていたけどハタ坊の向こう側に見えるのは橋下にゃーちゃんでは。
こんなところで初めましてかよ。
彼女の目の中にはハートではなく札束が映っていた。うわあ。現金。札束だけに。
とにかく降ろして欲しい、どうしよう今何時なんだろう、ここどこなんだろう、そう思いながらふと船の外へ目をやれば、ちょうど川沿いの歩道に見慣れた赤提灯の屋台があって、見慣れた六色のパーカーが、えっ待って嘘でしょ、嘘でしょ…!!!
見られた、と青ざめたところにハタ坊の「メリークリスマスだジョ〜!フィンランドまで行くジョ〜〜!!」という恐ろしい声が聞こえ、ギョッとそちらを振り返る。
「フィンランドまで行くの!?!?やだ待って降ろして!!!!」という私の叫びは、女の子達のミスターフラッグ♡ミスターフラッグ♡という掛け声に掻き消されてしまった。
「いやうん、もう良いよ」
目の前で土下座する革ジャンの男を複雑な心境で見下ろす。
明日はクリスマスイブ、街もハタ坊も浮かれきっていた今日、珍しく知らない番号から電話がかかってきたのを不思議に思いながら出てみれば。
「名前助けてくれぇ!!!!」と良く知った泣き声が耳をつんざいた。
メソメソ聞き取りづらい声が示す場所へと行ってみれば、怪しげなバーに屈強な強面の黒服男と美人なお姉さん、そして革ジャンをビシッとキメてはいるものの顔は涙と鼻水でぐしょぐしょの松野カラ松がいた。
あー…クリスマス回で逆ナン待ちして美人局にあう話あったようななかったような…だいたいこんな綺麗なお姉さんがクリスマスイブイブに引っかかるなんて怪しさ満点なのに…ニコニコと壁際でタバコをふかしているお姉さんと、天井すれすれの巨体の黒服お兄さんに凄まれつつ、殆どお金なんて持ってないカラ松が藁にも縋る思いで店の電話から私のスマホに掛けてきたというわけだ。
こんな怪しいお店から電話かけて私の電話番号を晒さないで欲しかったけど仕方ない。
嫌な予感しつつも電話一本で出向いてしまうチョロい私も仕方ない。
で、いくらなの?と聞けば86万円と書かれた伝票をぷるぷると渡してきた。
うわーこりゃまた派手にボラれたねえ…
流石にそんな現金は持ち歩いていない。
カードでも大丈夫ですか?と黒服を見上げれば「この女払えるのか」という顔をしたあと、いやらしく笑って「大丈夫ですけど、それ外税な上にクレジット決済は手数料50%頂いてまして」と宣った。法外にも程がある。払えると踏んで更にふっかけてくるとは良い度胸だな。
呆れた目つきで見上げていたらニヤニヤしていた男がだんだん怖い顔になってきたので、脅しに屈するわけではないけどこのままここにいても仕方ないな…と割り切って財布を出そうとコートの前を開けてサロペットのポケットをまさぐった。
コートがはだけて中に着ていたいつものハタ坊お揃いコーデが露わになる。途端、その格好を見た従業員達がサッと顔色を変えて後退る。
「? あの、」
「そっそそそそその格好…!?!?も、もしかしてフラッグ…」
「ああ、はい、フラッグコーポレーションの者ですが」
厳密には社員でもなんでもないけどまぁ大意では嘘じゃない。
そう思って肯定すると、強面の黒服お兄さんはおろか、美人なお姉さんも、バーテンも、レジにいた怖いオジサンまでみんなガタガタ震え出した。顔が真っ青だ。
「もっ申し訳ございませんまさかミスターフラッグのご関係者様とはつゆ知らずとんだご無礼を…!!お代なんて頂けません、おもてなしもせず大変失礼致しました…!!!!」
そういうが早いかクソ高い酒が並々注がれたグラスが次々と出てきた。
こちらサービスですのでお好きなだけどうぞ!!!!とぺこぺこされるのを唖然と見ていたけど、それはそれで怖いから丁寧に御断りしてカラ松を引っ張って店を出た。タダだというなら払うことない。ハタ坊一体何をしたらあの人達をあんなにビビらせることに…?ヤクザか何かなの…??
あんまり考えても恐ろしいので何も見なかったことにして黙って店のあるビルから出た瞬間、掴んで引きずってきたはずのカラ松が地面にめり込む勢いで土下座して、冒頭に戻る。
「名前しか頼る人が思いつかなくて…」
「うん…ハタ坊も多分助けてくれたけど私で正解だったかな」
同じ格好をしているだけの私であの態度なのだからご本人登場してたら修羅場な気がする。
カラ松くんにお財布要員と思われてることがわかって少し凹んだけど、実際頼れるのは私くらいだっただろうし、彼も反省してるみたいだし…。
「それにしてもレンタル彼女で痛い目見てるはずなのにあんな美人なお姉さんに声かけられて怪しいなって思わなかったの?」
「ウッ…」
「イヤ代さんといいさっきのお姉さんといい金髪ロングの綺麗めお姉さんが好みなんだ?」
「…嫌いではない…」
素 直 か よ !
ああ〜〜〜〜なんっで私金髪ロングの綺麗めお姉さんの見た目じゃないんだろう!!!!
元の姿と比べたら1億倍くらい可愛く作画してもらってるけど、どうせ作画違いならカラ松くん好みのキャラデザが良かったな!!!!もっと欲をいうなら最初からカラ松くんと恋仲なら良かったな!!!!
無い物ねだりを心中叫びながらカラ松に立つよう促す。土下座なんてして欲しくない。そんなに誰でも良いからデートしたいなら私がいくらでもしてあげるのに。
「…えっ?」
「えっ?」
「デート…してくれるのか…?」
「……えっ???」
びっくりした顔でこちらを覗き込んでくるカラ松に頭の上にも中にも疑問符だらけになる。
「名前、デートしてくれるのか?」
「…えっ!?!?声に出てた!?」
「普通に出てたぞ」
顔から火が出そう!!!!
いやその違くて、あんまり誰でも良いとかいってるとさっきみたいに騙されちゃうから、また騙されるくらいなら私がしても良いかな〜とか!などとしどろもどろになりながら言い訳する。本当はめちゃくちゃデートして欲しいけど恥ずかしくてそんなこと言えない!!!!
「なんか…ごめんな気を遣わせて…」
「あっ…いえ…そんな…なんかすみません…」
「いや、嬉しかった、ありがとな」
フニャと笑ったカラ松に胸がキュンと痛む。今多分私泣きそうな情け無い顔してると思う。
「で、明日の夜とかどうだろう」
「エッ!?!?ほっ本当にするの!?」
「えっ!?しないのか!?」
「いや!!します!!!!」
明日の夜ってクリスマスイブじゃん!!!!ガチのクリスマスデートじゃん!!!!(?)
あまりの急展開にテンパる。手汗がヤバイ。マジでヤバイ。カラ松くんとデート!?えっどうしよう何着てこう!?!?私サロペットしか持ってない!!!!アッもうお金持ってるんだからデート服買えばいいんだ!?!?ウワーッどうしよう!!!!カラ松くんさっきのお姉さんみたいなちょっとセクシーな感じの方が好きなのかな!?多分!?!?
だいぶテンパりながら明日の夜、街の広場の時計の下で待ち合わせの約束をしてその場は別れた。テンパりすぎて全然記憶のないまま自室へ帰り着く。どうやって帰ってきたかわかんない。ふわふわしてる。ウワーッウワーッと叫びながらふかふかのベッドにダイブした。
そして、クリスマスイブ当日の夜。
私は死んだ顔をして船に乗っていた。
ハタ坊の自前クルーズ船。
周りには知らない女の子がたくさん。
私は早起きして買いに行った渾身のデート勝負服ではなく問答無用で着させられた黒いバニーガールの格好をして、隣のサンタコスのハタ坊のばら撒く札束を頭から被りながら呆然と地べたに座りこんでいた。
なんでこんなことに。
なんでこんなことに!?
デート勝負服に身を包み完璧なおめかし姿を鏡で確認していた所に旗の女性達が現れて、あっという間に身ぐるみ剥がされバニーを着せられ船に乗せられていた。すごい手際の良さだった。本当にあっという間だった。知らない女の子たちがキャッキャとハタ坊に媚び売っているのを愕然と見ながら船は出航していた。寒いしサムい。
なんでこんなことに!?!?
知らない女の子しかいないと思っていたけどハタ坊の向こう側に見えるのは橋下にゃーちゃんでは。
こんなところで初めましてかよ。
彼女の目の中にはハートではなく札束が映っていた。うわあ。現金。札束だけに。
とにかく降ろして欲しい、どうしよう今何時なんだろう、ここどこなんだろう、そう思いながらふと船の外へ目をやれば、ちょうど川沿いの歩道に見慣れた赤提灯の屋台があって、見慣れた六色のパーカーが、えっ待って嘘でしょ、嘘でしょ…!!!
見られた、と青ざめたところにハタ坊の「メリークリスマスだジョ〜!フィンランドまで行くジョ〜〜!!」という恐ろしい声が聞こえ、ギョッとそちらを振り返る。
「フィンランドまで行くの!?!?やだ待って降ろして!!!!」という私の叫びは、女の子達のミスターフラッグ♡ミスターフラッグ♡という掛け声に掻き消されてしまった。