夢だけど夢じゃない
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「ただいま〜」
「あぁ、おかえり名前」
エレベーターを降りて巨大三輪車のある広い広いリビング(?)に入りつつ帰宅を告げたら思ってたのと違う声が答えてバッと周りを確認する。
声の主、松野カラ松がさも当たり前のようにソファに脚を組んで座っていた。な、なにしてるの。
会う予定も心の準備もしてなかった突然の登場に動転しまくった私は無駄に髪の毛を撫で付けると、ふわふわのコートをぎゅっと掴んでヨタヨタとそちらへ歩み寄った。
「外は寒かっただろう、顔が白いぞ」
「え、あ、はは」
多分びっくりし過ぎて血の気が引いてるだけだと思う。ソファとローテーブルの前まで歩み寄った私はなんともいえない笑い声で誤魔化した。
そこへ勢いよく三輪車を漕ぎながらハタ坊が登場する。
「名前!おかえりだジョ!サンタさんは買えたジョ?」
「サンタさん?」
「あ、う、うん、サンタさん、動物のサンタさん買ってきたの」
不思議そうに繰り返すカラ松の前のローテーブルに持って帰ってきた白い紙箱を置く。
そっと開けて中から透明なぴったりサイズの小さな箱に収まったマカロンを次々取り出す。
キューブ型のそれを積み木のように並べてハタ坊とカラ松に見せる。
ちょこんとサンタ帽を乗せた動物の頭を模したその菓子を、2人は小さな子どものようにキラキラと心底嬉しそうな笑みを浮かべて覗き込んだ。
透明な手のひらサイズの四角い箱がショーケースのようだ。
「かわいいな」
「かわいいジョ」
あまりに2人が嬉しそうで、まじまじと顔を近づけて見ているのでこちらまでニコニコしてしまう。並んだ甲斐があった。
「これはなんだ?」
「マカロンだよ、お菓子」
「食べられるのか、勿体無いな」
マカロンを注視したまま聞いてくるカラ松に答える。ハタ坊はキラキラの夢中な顔で見ていたけれど「…ちょっと欠けてるジョ」とすごくガッカリした顔になってしまった。走ったからかな!?ごめん!でもちょっとだけだし充分かわいいよ!ね!ね!とフォローを入れていると、カラ松がおもむろにキューブ型のそれを並べ替え始めた。
「このパンダはおそ松に似ているな、このワイルドなトラは俺」
本当はオオカミが良かったけど無いもんな、と言いながらパンダサンタの横にトラサンタを並べる。カエルはチョロ松、キリンは十四松、ウサギはトド松。言いながら並べ替えていって御満悦だ。カエルとキリンの間にひとつぶんの隙間があって、そこを見ながら「猫があったら良かったんだけどな」と呟いた。先程あげてしまったねこサンタを思い出して思わずきゅっと手を握るけど、大丈夫誰にもバレてない。
「むつごサンタには似てないジョ」
「えっ…そ、そうか…」
一蹴したハタ坊が「この1番かわいいやつが名前に似てるジョ!」とうさぎのマカロンを手に取った。さっきトド松と言われたばかりのピンクのうさぎ、確かに私よりトド松に似ている気がする。
顔が見えるようにうさぎサンタをこちらに向けて掲げているハタ坊ごとなんだか微笑ましくて、そんなに気に入ったならハタ坊がうさぎさんを食べたら良いよと譲れば何故か真っ赤になって箱を取り落としてしまったせいでうさぎの耳は折れた。
「こんなにあるしカラ松くん、トラサンタ持って帰る?」
「良いのか!?」
「ダメだジョ。これはハタ坊と名前でクリスマスに向けて毎日1つずつ食べるんだジョ」
「えっそんなプランがあったの!?ダメだって…ごめんカラ松くん…」
「いや良いさ、あ、でもこの壊れたうさぎならくれないか?」
そういって耳が折れて箱の中でコロコロしているうさぎサンタだったものを拾い上げる。が、光の速さでハタ坊が取り上げてしまった。自分で落としたくせに。その際に手元にあったパンダサンタの箱を乱暴に押し退けたので箱が少し潰れて、無残にもパンダサンタマカロンは顔の真ん中に上から下までヒビが入った。カラ松が「ああっおそ松」と切迫したように漏らしたが、おそ松では、ない。パンダだ。
顔の割れたパンダサンタを切なげに摘んで見ていたカラ松はしょんぼりしたまま「じゃあせめて名前がトラを食べてくれ」とそっとトラの箱を押して寄越した。さっきカラ松だと言われたトラサンタはかわいい笑みを浮かべている。かわいい。いつぞやもカラ松からトラを貰ったなあ、あれは本物の虎にあげてしまったけれどこのマカロンはありがたく頂こう。夕食前だけど誘惑に勝てなくて箱を開けるとトラのサンタさんを取り出す。かわいい。キスするようにトラの正面顔から口を寄せ少しだけ齧る。はむ、と少し咥えただけで柔らかいそれはサク、と音を立てて崩れた。まだ唇を押し当てた程度しか口にしてなかったのだが、目の前のハタ坊がこの世の終わりとばかり絶叫したので我にかえる。
アッ、クリスマスまでに毎日1つずつ食べるんだっけ。勝手に食べてしまった。ごめん、抜け駆けして、と顔のなくなったトラサンタを持ったまま謝れば、ハタ坊は違う、いや違わないけど、違う、と頭をブンブン振りながら意味不明な供述をしつつ、私の手からマカロンを取り上げるとばくりと一口で食べてしまった。えっ、ずるい!まだ何味かわかんないレベルだったのに!一口で!!呆気にとられるカラ松の方を向いてバリムシャアと音を立てながら真顔で飲み下したハタ坊は、真顔のまま「今日のマカロンはおしまい」と告げた。
「夕食にするジョ」
「あ、ああ、そうだった、名前、今日は冷えるからな、なんとか豆腐を食べに来たんだ」
「えっ?なんとか豆腐ってなに?湯豆腐的な??」
「いや違う、前言ってただろ、キャベツ料理」
「えっ、アッ、ポトフのこと!?豆腐じゃないじゃん!てかあのキャベツなんてもうとっくにないよ!?結構前じゃん!」
「カラ松に聞いてキャベツと色々野菜と豆腐は用意してあるジョ!」
「豆腐はいらないかな…えっなに、今から作れと!?時間かかるよ!?」
「「いいぞ/ジョ」」
さっきまで小競り合いしていたとは思えない息ぴったりの2人に笑顔で押し切られ、私はポトフを作ることになった。
「あぁ、おかえり名前」
エレベーターを降りて巨大三輪車のある広い広いリビング(?)に入りつつ帰宅を告げたら思ってたのと違う声が答えてバッと周りを確認する。
声の主、松野カラ松がさも当たり前のようにソファに脚を組んで座っていた。な、なにしてるの。
会う予定も心の準備もしてなかった突然の登場に動転しまくった私は無駄に髪の毛を撫で付けると、ふわふわのコートをぎゅっと掴んでヨタヨタとそちらへ歩み寄った。
「外は寒かっただろう、顔が白いぞ」
「え、あ、はは」
多分びっくりし過ぎて血の気が引いてるだけだと思う。ソファとローテーブルの前まで歩み寄った私はなんともいえない笑い声で誤魔化した。
そこへ勢いよく三輪車を漕ぎながらハタ坊が登場する。
「名前!おかえりだジョ!サンタさんは買えたジョ?」
「サンタさん?」
「あ、う、うん、サンタさん、動物のサンタさん買ってきたの」
不思議そうに繰り返すカラ松の前のローテーブルに持って帰ってきた白い紙箱を置く。
そっと開けて中から透明なぴったりサイズの小さな箱に収まったマカロンを次々取り出す。
キューブ型のそれを積み木のように並べてハタ坊とカラ松に見せる。
ちょこんとサンタ帽を乗せた動物の頭を模したその菓子を、2人は小さな子どものようにキラキラと心底嬉しそうな笑みを浮かべて覗き込んだ。
透明な手のひらサイズの四角い箱がショーケースのようだ。
「かわいいな」
「かわいいジョ」
あまりに2人が嬉しそうで、まじまじと顔を近づけて見ているのでこちらまでニコニコしてしまう。並んだ甲斐があった。
「これはなんだ?」
「マカロンだよ、お菓子」
「食べられるのか、勿体無いな」
マカロンを注視したまま聞いてくるカラ松に答える。ハタ坊はキラキラの夢中な顔で見ていたけれど「…ちょっと欠けてるジョ」とすごくガッカリした顔になってしまった。走ったからかな!?ごめん!でもちょっとだけだし充分かわいいよ!ね!ね!とフォローを入れていると、カラ松がおもむろにキューブ型のそれを並べ替え始めた。
「このパンダはおそ松に似ているな、このワイルドなトラは俺」
本当はオオカミが良かったけど無いもんな、と言いながらパンダサンタの横にトラサンタを並べる。カエルはチョロ松、キリンは十四松、ウサギはトド松。言いながら並べ替えていって御満悦だ。カエルとキリンの間にひとつぶんの隙間があって、そこを見ながら「猫があったら良かったんだけどな」と呟いた。先程あげてしまったねこサンタを思い出して思わずきゅっと手を握るけど、大丈夫誰にもバレてない。
「むつごサンタには似てないジョ」
「えっ…そ、そうか…」
一蹴したハタ坊が「この1番かわいいやつが名前に似てるジョ!」とうさぎのマカロンを手に取った。さっきトド松と言われたばかりのピンクのうさぎ、確かに私よりトド松に似ている気がする。
顔が見えるようにうさぎサンタをこちらに向けて掲げているハタ坊ごとなんだか微笑ましくて、そんなに気に入ったならハタ坊がうさぎさんを食べたら良いよと譲れば何故か真っ赤になって箱を取り落としてしまったせいでうさぎの耳は折れた。
「こんなにあるしカラ松くん、トラサンタ持って帰る?」
「良いのか!?」
「ダメだジョ。これはハタ坊と名前でクリスマスに向けて毎日1つずつ食べるんだジョ」
「えっそんなプランがあったの!?ダメだって…ごめんカラ松くん…」
「いや良いさ、あ、でもこの壊れたうさぎならくれないか?」
そういって耳が折れて箱の中でコロコロしているうさぎサンタだったものを拾い上げる。が、光の速さでハタ坊が取り上げてしまった。自分で落としたくせに。その際に手元にあったパンダサンタの箱を乱暴に押し退けたので箱が少し潰れて、無残にもパンダサンタマカロンは顔の真ん中に上から下までヒビが入った。カラ松が「ああっおそ松」と切迫したように漏らしたが、おそ松では、ない。パンダだ。
顔の割れたパンダサンタを切なげに摘んで見ていたカラ松はしょんぼりしたまま「じゃあせめて名前がトラを食べてくれ」とそっとトラの箱を押して寄越した。さっきカラ松だと言われたトラサンタはかわいい笑みを浮かべている。かわいい。いつぞやもカラ松からトラを貰ったなあ、あれは本物の虎にあげてしまったけれどこのマカロンはありがたく頂こう。夕食前だけど誘惑に勝てなくて箱を開けるとトラのサンタさんを取り出す。かわいい。キスするようにトラの正面顔から口を寄せ少しだけ齧る。はむ、と少し咥えただけで柔らかいそれはサク、と音を立てて崩れた。まだ唇を押し当てた程度しか口にしてなかったのだが、目の前のハタ坊がこの世の終わりとばかり絶叫したので我にかえる。
アッ、クリスマスまでに毎日1つずつ食べるんだっけ。勝手に食べてしまった。ごめん、抜け駆けして、と顔のなくなったトラサンタを持ったまま謝れば、ハタ坊は違う、いや違わないけど、違う、と頭をブンブン振りながら意味不明な供述をしつつ、私の手からマカロンを取り上げるとばくりと一口で食べてしまった。えっ、ずるい!まだ何味かわかんないレベルだったのに!一口で!!呆気にとられるカラ松の方を向いてバリムシャアと音を立てながら真顔で飲み下したハタ坊は、真顔のまま「今日のマカロンはおしまい」と告げた。
「夕食にするジョ」
「あ、ああ、そうだった、名前、今日は冷えるからな、なんとか豆腐を食べに来たんだ」
「えっ?なんとか豆腐ってなに?湯豆腐的な??」
「いや違う、前言ってただろ、キャベツ料理」
「えっ、アッ、ポトフのこと!?豆腐じゃないじゃん!てかあのキャベツなんてもうとっくにないよ!?結構前じゃん!」
「カラ松に聞いてキャベツと色々野菜と豆腐は用意してあるジョ!」
「豆腐はいらないかな…えっなに、今から作れと!?時間かかるよ!?」
「「いいぞ/ジョ」」
さっきまで小競り合いしていたとは思えない息ぴったりの2人に笑顔で押し切られ、私はポトフを作ることになった。