夢だけど夢じゃない
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めちゃくちゃ焦った。
スタバァでバイトしていた頃によく来ていたすんごいかわいい女の子。
どう見ても一軍様だけど毎日のように来るしレジでニコニコしてくれるから調子に乗って話しかけて。名乗ったら名前呼んでくれて。連絡先交換ははぐらかされてしまったけど(スマホ持ってないなんて遠回しに断られてるよね?)結構手ごたえ感じていたんだ。
このまま仲良くなれたらお店の外でも会えたりしないかなーと思ってたところに兄さん達の襲撃、そのままあれよあれよと地獄の合コンになり、いたたまれなくなって店を辞めた。さよならボクのリア充生活。
そんな辛い思い出のせいであの緑の丸い看板を見るのすらしんどかったのだけど、今日はたまたまそちらに目が向いて、そしてたまたま視界にあの子の後ろ姿が映った。運命だと思った。ふらふらと店に吸い込まれていく彼女の背中に喉から勝手に声が出ていた。
久しぶりに見る彼女は相変わらず可愛くって、驚いたように振り向いたその顔もめちゃくちゃかわいいし僕だとわかって名前を呼びながらふわりと笑った顔に雷が落ちたような衝撃を受けた。かわいい。天使。覚えていてくれた!うれしい!
にやけてしまう顔を精一杯引き締めて自然な笑顔を作りながら、行く予定もないスタバァへとご一緒する。扉を開ける時に近くなって、彼女の半乾きの髪からふわっとシャンプーのいい匂いがして、ドキドキして死ぬかと思った。あまりにもみっともないデレデレした顔になってたと思う。そんな顔もレジにいる元同僚の顔を見て即引っ込んだのだけれど。
アイダちゃんとサチコちゃんはスタバァでバイトしているだけあってその辺の女子より断然かわいい。そんな子たちがボクをトッティと呼んで仲良くしてくれるなんてそれだけでここでバイトした甲斐があった。まぁあの地獄の合コンでそれも全部パァなわけだけど…。
ニコニコと接客していたサチコちゃんは一軍様の後ろにいるボクに気付くと見たこともないくらい酷い顰めっ面をした。心底軽蔑した眼差し。どのツラ下げて来やがった、と顔に書いてある。ビクビクしてふわふわのコートの後ろへ隠れると、諭すような声色でふわふわコートの彼女がボクらについて語り出した。耳を疑った。確かに常連さんだったけど、そんな風に思ってくれてたなんて。
ちらりとレジカウンターの向こうへ目をやれば、戸惑ったような顔のサチコちゃんが俯いていた。チャンスだと思った。今を逃したらもう謝る機会なんてない。
「本当にごめんね、また店長のいる時に来てみるよ」
「うん、また働けたらよろしくねトッティ」
「うん…!あ、あれ?」
喜びに心弾ませながら、ふと一緒に来た彼女がいないことに気付いてキョロキョロと辺りを見回す。
奥で飲み物を作っていた店員が「さっきの方ならもう帰りましたよ」とキョロキョロするボクに言った。
えっ?
ハァ!?!?!?!?
「か、帰った!?」
「えぇ、ラテ持ってニコニコしながらお二人を見たあとそのまま出て行かれました」
「えぇ〜〜〜!?!?」
せっかく会えたのに!!!!全然喋れてない!!!!名前も聞けてない!!!!
がっくりとレジカウンターに項垂れたボクに「あの人とお友達だったの?」というサッチンの声が降ってくる。
「ううん…店の前で偶然会って一緒に入ることになって…辞めてから初めて会えたから…もっと話したかったなって…」
「ふーん…あの人、最近来てなかったけどトッティが辞めたばっかりの頃、トッティいますかって言ってきたんだよ」
「えっ」
「アイダが対応してたんだけど、トッティとなんか約束してたみたいだったーって言ってた。約束してたの?」
「約束…」
彼女と何かを約束するほどの仲ではなかったはず…そもそも全然喋ったことない。
頭の中で思い出を遡る。
初めて話したあの日のこと…
あっ!?!!?
もしかして連絡先交換のこと!?
もしかして本当にスマホ持ってなかったとか!?
もしかしてスマホを手に入れたから連絡先交換のためにわざわざ来店してくれたとか!?!?
自分に大層都合の良い理由しか思い付かないが、彼女と交わした約束なんてそれくらいしか思い出せない。
遠回しに断られたんじゃなくて本当に交換する連絡先がなかっただけだったんだ。嬉しくてにやにやするのが止められない。と、さっき偶然会えたのだから連絡先交換すれば良かったことに気付いてみるみる気持ちは萎んでいった。
「トッティ大丈夫?赤くなったり青くなったり気持ち悪いよ」
「あ…ははっ…また来るね…」
自ら潰したフラグに落ち込みながらふらふらと店を出る。
あんなレベル高い子と仲良くなれるチャンスだったのに。
(トッティ、また働いたら?)
頭の中で先程言われた言葉が反響する。
そうだ。
また働けたらお店にあの子が来るかもしれない。今このままニートやって街をうろついてるよりずっと再会の可能性が高いじゃないか。
新たなフラグに気付いてしまったボクはコンビニで履歴書を買うと走って家に帰った。今度こそ何があってもバイトしてることを兄さん達に知られるもんかと固く決意をして。
スタバァでバイトしていた頃によく来ていたすんごいかわいい女の子。
どう見ても一軍様だけど毎日のように来るしレジでニコニコしてくれるから調子に乗って話しかけて。名乗ったら名前呼んでくれて。連絡先交換ははぐらかされてしまったけど(スマホ持ってないなんて遠回しに断られてるよね?)結構手ごたえ感じていたんだ。
このまま仲良くなれたらお店の外でも会えたりしないかなーと思ってたところに兄さん達の襲撃、そのままあれよあれよと地獄の合コンになり、いたたまれなくなって店を辞めた。さよならボクのリア充生活。
そんな辛い思い出のせいであの緑の丸い看板を見るのすらしんどかったのだけど、今日はたまたまそちらに目が向いて、そしてたまたま視界にあの子の後ろ姿が映った。運命だと思った。ふらふらと店に吸い込まれていく彼女の背中に喉から勝手に声が出ていた。
久しぶりに見る彼女は相変わらず可愛くって、驚いたように振り向いたその顔もめちゃくちゃかわいいし僕だとわかって名前を呼びながらふわりと笑った顔に雷が落ちたような衝撃を受けた。かわいい。天使。覚えていてくれた!うれしい!
にやけてしまう顔を精一杯引き締めて自然な笑顔を作りながら、行く予定もないスタバァへとご一緒する。扉を開ける時に近くなって、彼女の半乾きの髪からふわっとシャンプーのいい匂いがして、ドキドキして死ぬかと思った。あまりにもみっともないデレデレした顔になってたと思う。そんな顔もレジにいる元同僚の顔を見て即引っ込んだのだけれど。
アイダちゃんとサチコちゃんはスタバァでバイトしているだけあってその辺の女子より断然かわいい。そんな子たちがボクをトッティと呼んで仲良くしてくれるなんてそれだけでここでバイトした甲斐があった。まぁあの地獄の合コンでそれも全部パァなわけだけど…。
ニコニコと接客していたサチコちゃんは一軍様の後ろにいるボクに気付くと見たこともないくらい酷い顰めっ面をした。心底軽蔑した眼差し。どのツラ下げて来やがった、と顔に書いてある。ビクビクしてふわふわのコートの後ろへ隠れると、諭すような声色でふわふわコートの彼女がボクらについて語り出した。耳を疑った。確かに常連さんだったけど、そんな風に思ってくれてたなんて。
ちらりとレジカウンターの向こうへ目をやれば、戸惑ったような顔のサチコちゃんが俯いていた。チャンスだと思った。今を逃したらもう謝る機会なんてない。
「本当にごめんね、また店長のいる時に来てみるよ」
「うん、また働けたらよろしくねトッティ」
「うん…!あ、あれ?」
喜びに心弾ませながら、ふと一緒に来た彼女がいないことに気付いてキョロキョロと辺りを見回す。
奥で飲み物を作っていた店員が「さっきの方ならもう帰りましたよ」とキョロキョロするボクに言った。
えっ?
ハァ!?!?!?!?
「か、帰った!?」
「えぇ、ラテ持ってニコニコしながらお二人を見たあとそのまま出て行かれました」
「えぇ〜〜〜!?!?」
せっかく会えたのに!!!!全然喋れてない!!!!名前も聞けてない!!!!
がっくりとレジカウンターに項垂れたボクに「あの人とお友達だったの?」というサッチンの声が降ってくる。
「ううん…店の前で偶然会って一緒に入ることになって…辞めてから初めて会えたから…もっと話したかったなって…」
「ふーん…あの人、最近来てなかったけどトッティが辞めたばっかりの頃、トッティいますかって言ってきたんだよ」
「えっ」
「アイダが対応してたんだけど、トッティとなんか約束してたみたいだったーって言ってた。約束してたの?」
「約束…」
彼女と何かを約束するほどの仲ではなかったはず…そもそも全然喋ったことない。
頭の中で思い出を遡る。
初めて話したあの日のこと…
あっ!?!!?
もしかして連絡先交換のこと!?
もしかして本当にスマホ持ってなかったとか!?
もしかしてスマホを手に入れたから連絡先交換のためにわざわざ来店してくれたとか!?!?
自分に大層都合の良い理由しか思い付かないが、彼女と交わした約束なんてそれくらいしか思い出せない。
遠回しに断られたんじゃなくて本当に交換する連絡先がなかっただけだったんだ。嬉しくてにやにやするのが止められない。と、さっき偶然会えたのだから連絡先交換すれば良かったことに気付いてみるみる気持ちは萎んでいった。
「トッティ大丈夫?赤くなったり青くなったり気持ち悪いよ」
「あ…ははっ…また来るね…」
自ら潰したフラグに落ち込みながらふらふらと店を出る。
あんなレベル高い子と仲良くなれるチャンスだったのに。
(トッティ、また働いたら?)
頭の中で先程言われた言葉が反響する。
そうだ。
また働けたらお店にあの子が来るかもしれない。今このままニートやって街をうろついてるよりずっと再会の可能性が高いじゃないか。
新たなフラグに気付いてしまったボクはコンビニで履歴書を買うと走って家に帰った。今度こそ何があってもバイトしてることを兄さん達に知られるもんかと固く決意をして。