夢だけど夢じゃない
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「っくしゅ」
ちょっとシャワーを長く浴びすぎた(唖然としてたので)のと、ろくに髪を乾かさず弱井家を出てきてしまったため湿った髪が冷たい。商店街を吹き抜ける北風がさらに頭皮を冷やし、ぶるっと身震いした私はこれは本当に風邪を引く、と帰る前に暖をとる算段をしながら足早に歩いていた。
ふと目に入る緑の看板。スタバァ。ラテでも飲んであったまってから帰ろう。デジャブを感じながら、また後ろから声をかけられることをうっすら期待して、私はふらふらと緑に輝く看板に吸い寄せられていく。
「あ!!!あの、!」
「!」
まさか本当にまた声をかけられるとは思わずバッと振り向く。
しかし振り向く前から声の主はこの間のようにカラ松ではないことはわかっていた。
「トッt…トド松!…さん!」
慣れでトッティと呼びそうになって、トド松と呼んでくれと言われたことを思い出し呼び直す。あれっさん付けだっけ君付けだっけ。そんなことを考えながら名前を呼べば頰を上気させて笑みをたたえたトド松がこちらへ駆け寄ってきた。
「こんばんは!良かった、覚えててくれてて、」
思わず声かけちゃったけど知らない奴と思われたらどうしようかと思った〜と笑うトド松に愛想笑いを返す。
「お久しぶりです、あれ?なんか濡れてる??」
「あ、ちょっとシャワー浴びてそのままで、」
「シャ…ッ!?ふ、ふーん、そ、そそうなんだ」
「だから少し寒くて。ラテでも飲んであったまってから帰ろうかなって」
「あーなるほどね!ボクもスタバァ行くところだったんだ、良かったらご一緒しても?」
「あっうん、ぜひ」
トッティ、このスタバァ入るの気まずくないのかな?
そう思いながらも自動ドアをくぐる。おしゃれな店内をまっすぐレジへと進むとサッチンがいらっしゃいませぇ〜と間延びした高い声でニコニコと出迎えた。私の後ろのトド松に気づくとギョッとしたあと少し顔を歪ませたが私に向き直るとニコ!と営業スマイルでこんにちはぁ〜〜と首を傾げた。
「ご注文は?」
「スタバァラテのホット、ショートで」
「かしこまりましたぁ〜ワンホットスターバァラッテショートプリーズ!」
「あ、あの、久しぶりだね、」
「ご注文はァ???」
「えっあっ同じのを」
私の後ろからビクビクと愛想笑いを浮かべて声をかけたトッティを営業スマイルの圧で黙らせるサッチン。あ、やっぱりそういう感じなんだね。
ビクビクキョドキョドと落ち着かない感じで私の後ろに立っているトド松が気の毒になってきた私は一肌脱ぐことにした。
「トド松さん、前ここで働いてましたよね。いつの間にか辞めちゃっててもう会えないかと思いました」
「えっ!?あ、あは…ちょっと諸事情で…」
「お姉さんたちと仲よさそうに働いてるの見るの、好きだったんですよ」
サッチンの方に向き直り、お金をトレーに出しながらさらっと言ってみる。
ちらりと目線を上げれば難しい顔をしたサッチンが目に入る。困らせてごめんね。でももう一押し。
「ここ、味はもちろん、お店の居心地いいし、店員さん同士も仲よさそうで見ていて微笑ましかったし、そんなところも好きで通ってたんです。喧嘩しちゃったんですか?」
「えっ…喧嘩というか…えっと…」
「…サチコちゃん!あの時はごめん!!兄さん達に逆らえなくてあんなことしちゃったけどずっと謝りたかったんだ!せっかく来てくれたのに嫌な思いさせてごめん!!」
私の質問にサッチンが困っていると、意を決したように私の後ろから出てきたトド松がカウンターに身を乗り出すようにしてサッチンに詰め寄る。その顔と声色は真剣そのもので、グッと言葉に詰まってまっすぐトド松を見据えたサッチンはしばらくトド松の顔を複雑な表情で見つめていたが、逃げるようにマネートレーに目線を落とすと私の支払った小銭を一つずつ拾いながら「…別に、もう良いよ…トッティがあんな人だなんて思わなくて合コン誘ったから驚いたけど…トッティもイヤイヤやらされたんだよね…」とポツポツ話し出した。
「そう!!!そうなの!!!!!!」と食いつくトド松をちらりと見て「うん、わかってる」と小さくこぼすと「…トッティ、また働いたら?スタッフ足りなくてシフト大変なんだよね」と苦笑した。
トド松が驚きに目をかっぴらいて、カスカスの声で「い、良いの…?」とこぼし、サッチンが「私は良いけど、店長に聞いてみなよ」とはにかむ。すっかり2人の世界になっているレジからそっと離れて受取カウンターへ行けば私のラテがちょうど出てきたところで、あったかいラテに口をつけながらレジで楽しそうに話す2人をチラ見し、邪魔しちゃ悪いなとそのまま店を後にした。わーい私良い事したんじゃない?
徳を積んだ気になってあったかいラテの湯気をふぅふぅしながらのんびり歩いて帰った。
ちょっとシャワーを長く浴びすぎた(唖然としてたので)のと、ろくに髪を乾かさず弱井家を出てきてしまったため湿った髪が冷たい。商店街を吹き抜ける北風がさらに頭皮を冷やし、ぶるっと身震いした私はこれは本当に風邪を引く、と帰る前に暖をとる算段をしながら足早に歩いていた。
ふと目に入る緑の看板。スタバァ。ラテでも飲んであったまってから帰ろう。デジャブを感じながら、また後ろから声をかけられることをうっすら期待して、私はふらふらと緑に輝く看板に吸い寄せられていく。
「あ!!!あの、!」
「!」
まさか本当にまた声をかけられるとは思わずバッと振り向く。
しかし振り向く前から声の主はこの間のようにカラ松ではないことはわかっていた。
「トッt…トド松!…さん!」
慣れでトッティと呼びそうになって、トド松と呼んでくれと言われたことを思い出し呼び直す。あれっさん付けだっけ君付けだっけ。そんなことを考えながら名前を呼べば頰を上気させて笑みをたたえたトド松がこちらへ駆け寄ってきた。
「こんばんは!良かった、覚えててくれてて、」
思わず声かけちゃったけど知らない奴と思われたらどうしようかと思った〜と笑うトド松に愛想笑いを返す。
「お久しぶりです、あれ?なんか濡れてる??」
「あ、ちょっとシャワー浴びてそのままで、」
「シャ…ッ!?ふ、ふーん、そ、そそうなんだ」
「だから少し寒くて。ラテでも飲んであったまってから帰ろうかなって」
「あーなるほどね!ボクもスタバァ行くところだったんだ、良かったらご一緒しても?」
「あっうん、ぜひ」
トッティ、このスタバァ入るの気まずくないのかな?
そう思いながらも自動ドアをくぐる。おしゃれな店内をまっすぐレジへと進むとサッチンがいらっしゃいませぇ〜と間延びした高い声でニコニコと出迎えた。私の後ろのトド松に気づくとギョッとしたあと少し顔を歪ませたが私に向き直るとニコ!と営業スマイルでこんにちはぁ〜〜と首を傾げた。
「ご注文は?」
「スタバァラテのホット、ショートで」
「かしこまりましたぁ〜ワンホットスターバァラッテショートプリーズ!」
「あ、あの、久しぶりだね、」
「ご注文はァ???」
「えっあっ同じのを」
私の後ろからビクビクと愛想笑いを浮かべて声をかけたトッティを営業スマイルの圧で黙らせるサッチン。あ、やっぱりそういう感じなんだね。
ビクビクキョドキョドと落ち着かない感じで私の後ろに立っているトド松が気の毒になってきた私は一肌脱ぐことにした。
「トド松さん、前ここで働いてましたよね。いつの間にか辞めちゃっててもう会えないかと思いました」
「えっ!?あ、あは…ちょっと諸事情で…」
「お姉さんたちと仲よさそうに働いてるの見るの、好きだったんですよ」
サッチンの方に向き直り、お金をトレーに出しながらさらっと言ってみる。
ちらりと目線を上げれば難しい顔をしたサッチンが目に入る。困らせてごめんね。でももう一押し。
「ここ、味はもちろん、お店の居心地いいし、店員さん同士も仲よさそうで見ていて微笑ましかったし、そんなところも好きで通ってたんです。喧嘩しちゃったんですか?」
「えっ…喧嘩というか…えっと…」
「…サチコちゃん!あの時はごめん!!兄さん達に逆らえなくてあんなことしちゃったけどずっと謝りたかったんだ!せっかく来てくれたのに嫌な思いさせてごめん!!」
私の質問にサッチンが困っていると、意を決したように私の後ろから出てきたトド松がカウンターに身を乗り出すようにしてサッチンに詰め寄る。その顔と声色は真剣そのもので、グッと言葉に詰まってまっすぐトド松を見据えたサッチンはしばらくトド松の顔を複雑な表情で見つめていたが、逃げるようにマネートレーに目線を落とすと私の支払った小銭を一つずつ拾いながら「…別に、もう良いよ…トッティがあんな人だなんて思わなくて合コン誘ったから驚いたけど…トッティもイヤイヤやらされたんだよね…」とポツポツ話し出した。
「そう!!!そうなの!!!!!!」と食いつくトド松をちらりと見て「うん、わかってる」と小さくこぼすと「…トッティ、また働いたら?スタッフ足りなくてシフト大変なんだよね」と苦笑した。
トド松が驚きに目をかっぴらいて、カスカスの声で「い、良いの…?」とこぼし、サッチンが「私は良いけど、店長に聞いてみなよ」とはにかむ。すっかり2人の世界になっているレジからそっと離れて受取カウンターへ行けば私のラテがちょうど出てきたところで、あったかいラテに口をつけながらレジで楽しそうに話す2人をチラ見し、邪魔しちゃ悪いなとそのまま店を後にした。わーい私良い事したんじゃない?
徳を積んだ気になってあったかいラテの湯気をふぅふぅしながらのんびり歩いて帰った。