夢だけど夢じゃない
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「もーカラ松くんのせいでこんなちょっとの食器なのにすごい時間かかっちゃったじゃん」
「フッ…ギルティな俺…」
「あー!!ギルティ!!!!」
申し出た仕事はやり遂げねばとやっと皿洗いを終えた私は、随分時間がかかったことに文句を言ってしまったが、キラキラを纏いながら決めポーズをするカラ松に当てられてしまった。は?かっこいいんじゃボケ。思わず本音漏れたわ。
手を拭きながら、台所のテーブルに置いてある残った(他の兄弟用の)山盛りコロッケを見やる。
私の視線に気付いたのか同じくコロッケを見たカラ松は「ブラザーたち遅いな、誰も帰ってこないなんて」と呟いた。
「いつもお昼は一緒に食べるの?」
「ああ、だいたいな」
「それにしてもすごい量…」
「大人の男が6人もいるからな」
「ははぁ…」
「…ああ!名前はおそ松にしか会ったことないんだったな。俺たちは双子じゃなくてむつごなんだ。あと4人弟がいる」
私の返事に何か勘違いしたカラ松が教えてくれるが、そんなことはとっくに知っているしなんなら全員もう会った。
なんて言おうかなと思っていると「アラ〜〜もう終わったの?本当にありがとうね助かるわ〜こっちでお茶でも飲んで寛いで頂戴」と台所に顔を出した松代に呼ばれる。
「カラ松、お茶菓子にお煎餅でも出してちょうだい、私はお洗濯を干してから行くから」
「ラジャーだマミー」
廊下へ戻っていく松代にウインクを飛ばし、名前、好きなのあるか?と言いながら冷蔵庫の上のカゴを漁り出すカラ松に、ラインナップを見ようと近づく。視線の低い私にカゴの中身を見せようとカラ松がカゴを傾けた。中身がたっぷり入ったカゴはもちろんーーー
バラバラバラガシャーン
「きゃっ…」
中身が全部落ちてきた。
一瞬だったが、煎餅のパッケージは勿論、一緒に仕舞われていたザルとか調理器具やストックの缶詰なんかも見えたので、衝撃に備えて咄嗟に顔を腕で覆う。目をギュっとつぶり、避けようと仰け反ったせいでバランスを崩しそのまま後ろに尻餅をつくように倒れ込んだ。
ガランガラン…と何か金属が落ちた大きな音と共に尻餅をついたお尻から腰にかけては痛みが走ったが、頭上からは何も降ってこず、脳天に缶詰が直撃する事体は回避できたか?と恐る恐る目を開ける。視界が暗いのは顔を腕で守っているからか?とゆっくり腕を退かすと、頭にザルを被ったカラ松の顔がすぐそこにあった。
何が起きたか理解出来ず、ぱちくりと瞬きをして自分に影を落とす目の前の顔を見上げると、ふぅ…とカラ松がついたため息が顔にかかって、ぶわわわっと爪先から脳天まで電気が走り、ボッと音を立てて顔が爆発した。
慌てて離れようと腰を引こうとしたら、あろうことかその腰にカラ松の手が回されていて動けないことに気付き、冷や汗が噴き出る。
目の前の顔が心配そうに歪み、大丈夫か?という重低音が空気を震わせて全身に突き刺さった。
はぁぁぁああああああギルティーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!!?!?!!?!?!?
震度6の時の赤べこのように高速で頷く私に安堵のため息がかかる。息のかかる距離であんまり呼吸しないで貰えませんかね!?!!?
頭にザルを被ったままのカラ松は私から離れるとぺたんと座り込んだ私に手を差し伸べた。
「すまない、何も当たらなかったか?」
「ん、ぁ、あ」
「よかった」
全然返事になってない声を絞り出しながら頷くと眉を下げて笑い、頭からザルを取ってひっくり返ってカラになったカゴに入れる。
私も手伝わなければ、と辺りを見回すと大きく凹んだトマト缶が目に入り、サァっと血の気が引く。
自業自得とはいえ私を守って缶詰とか頭から被ったであろうカラ松に大丈夫か聞こうとすると遠くから「なぁにーー??すごい音したけどォ〜〜!!!」と松代の大声がした。
「なんでもないぞマミー!!!」
「そぉ〜お〜〜???なら良いけどォ〜!!!ちょっと洗濯バサミ足りないから持って来てくれるゥ〜〜!?!!?」
二階なのか庭なのかわからないが遠くから叫んでいる松代の元にカラ松を行かせて、台所中に散らばったカゴの中身を拾い集める。大丈夫か聞けなかったな。申し訳ないことをした。心臓に悪すぎる。今のは仕方なかったにしてもカラ松くんはパーソナルスペースという概念が死んでいる。
顔の熱を逃がしながらカゴに物をしまい終えた私は歌舞伎揚げの袋だけテーブルに出して、カゴを冷蔵庫の上に戻そうと持ち上げた。ウッ結構重い。
目線の高さまでなんとかカゴを持ち上げようと踏ん張っていると、背中にひと気を感じ、にゅっと両脇から手が伸びて来てカゴをなんなく持ち上げ、冷蔵庫の上に戻した。
「あ、カラ松くん、ありが…と…」
カラ松が戻ってきて後ろから助けてくれたのかと振り向こうとして、腕が黄色いことに気づく。
そのまま黄色い布を目で追いながら振り向くと、焦点の合わない瞳が至近距離で見下ろしていて、思わずヒッと喉から声が漏れる。自分の背中と十四松の前身はほぼくっ付いている。兄弟揃ってパーソナルスペース死んでるのか?
冷蔵庫と十四松に挟まれて振り向いた姿勢のまま動けないでいると、「名前ちゃん、いつもうちにいんね」と低い声が半円形に開いた口から発せられた。
「お、お邪魔してます…」
「きょーは一松にーさんいないよ」
「…存じております…」
「……今日は誰に会いにきたの?」
感情の読めない形だけの笑顔で、至近距離で淡々と問われる。
私の考える松野十四松は何をするにもドタバタ騒がしくて、帰宅時もただいマッスルマッスルー!と叫びながら入ってくるイメージだったので、この間も今も、音もなく現れたことに驚きと戸惑いと恐怖を感じていた。
「じゅ、十四松く…」
「!?ぼく!?!?」
ぱあっと頰を上気させて周りに花を飛ばし嬉しそうにさらに大口を開けて笑った彼に、先程までとのギャップを感じて呆気に取られる。そういう意味で名前を呼んだのではないのだが、まぁいっか?
サッと適度な距離を取って離れた十四松は嬉しーなーとくねくねしていたが、テーブルの上の山盛りコロッケを見つけ、目を輝かせた。
「コロッケだ!!!」
「あ、今日のお昼だよ」
「名前ちゃん作ったんすか!?!?」
「えっ!?いや」
「十四松?帰ったのか」
松代さんだよ、と言おうとしたところにカラ松くんが戻ってきた。
十四松は首を高速で振りながら私とカラ松を交互に見る。
「名前、弟の十四松だ」
「あ、うん…」
「十四松、俺の大切な友達の名前だ。コロッケはもう名前と先に食べたから自分の分だけよそって食べると良い」
もう知り合いであると言い出せずに紹介されていると、十四松は猫目になって片手で口を塞いでしまった。
「十四松?」
「…カラ松にーさんと名前ちゃんで食べたの?」
松代も一緒だとカラ松が説明しようとすると、なんで???と圧のある質問がそれに被さってカラ松は戸惑う。
どうにも、十四松は兄弟が女とサシで会うことに厳しいらしい。
不穏な空気が流れ出したので、先程数種類の煎餅の中から選んだ歌舞伎揚げの袋を手に取り、なるべく明るい声で静寂を割いた。
「あっ!ねぇ、好きなお煎餅選んだよ」
「あ、ああ、歌舞伎揚げか」
「…カラ松兄さんがこの間パチンコで勝った時に一緒に貰ってた歌舞伎揚げだ」
「「…」」
先程とは違う不穏な空気が部屋を包み込む。
えっ…とカラ松を見やると、引くくらい大量の汗をダラダラとかいて目を泳がせていた。わかりやすすぎか?
「じゅ、十四マァ〜〜ツ???なぁにを言い出すんだ、俺はパチンコなんて」
「一昨日1人で行ったパチンコで大勝ちしてあまりで貰ってた歌舞伎揚げ」
「十四マァアア〜〜〜〜ツッ!?!?!?!?」
どこから出したのか、棒突きキャンディを十四松の口にねじ込みながら「俺はパチンコなんて行ってないし勝ってもいないぜ十四マァ〜〜〜〜ツ!!パチンコのことは知らないからブラザーたちにも内緒だぞマイリル」と凄むカラ松。いや、これは勝ってるでしょ。内緒って。飴をガジガジ噛み砕きながら「CRわかった!!」と元気良く返事する十四松とCRはいらなぁい!!とおでこを突き合わせて凄むカラ松を、歌舞伎揚げを持ったまま眺めていると、こちらを向いたカラ松は私の口にも飴をねじ込んできて「パチンコなんて知らないからな!!」と叫んだ。私何も言ってないんだけど。
ねじ込まれた青い飴はソーダの味がした。
「フッ…ギルティな俺…」
「あー!!ギルティ!!!!」
申し出た仕事はやり遂げねばとやっと皿洗いを終えた私は、随分時間がかかったことに文句を言ってしまったが、キラキラを纏いながら決めポーズをするカラ松に当てられてしまった。は?かっこいいんじゃボケ。思わず本音漏れたわ。
手を拭きながら、台所のテーブルに置いてある残った(他の兄弟用の)山盛りコロッケを見やる。
私の視線に気付いたのか同じくコロッケを見たカラ松は「ブラザーたち遅いな、誰も帰ってこないなんて」と呟いた。
「いつもお昼は一緒に食べるの?」
「ああ、だいたいな」
「それにしてもすごい量…」
「大人の男が6人もいるからな」
「ははぁ…」
「…ああ!名前はおそ松にしか会ったことないんだったな。俺たちは双子じゃなくてむつごなんだ。あと4人弟がいる」
私の返事に何か勘違いしたカラ松が教えてくれるが、そんなことはとっくに知っているしなんなら全員もう会った。
なんて言おうかなと思っていると「アラ〜〜もう終わったの?本当にありがとうね助かるわ〜こっちでお茶でも飲んで寛いで頂戴」と台所に顔を出した松代に呼ばれる。
「カラ松、お茶菓子にお煎餅でも出してちょうだい、私はお洗濯を干してから行くから」
「ラジャーだマミー」
廊下へ戻っていく松代にウインクを飛ばし、名前、好きなのあるか?と言いながら冷蔵庫の上のカゴを漁り出すカラ松に、ラインナップを見ようと近づく。視線の低い私にカゴの中身を見せようとカラ松がカゴを傾けた。中身がたっぷり入ったカゴはもちろんーーー
バラバラバラガシャーン
「きゃっ…」
中身が全部落ちてきた。
一瞬だったが、煎餅のパッケージは勿論、一緒に仕舞われていたザルとか調理器具やストックの缶詰なんかも見えたので、衝撃に備えて咄嗟に顔を腕で覆う。目をギュっとつぶり、避けようと仰け反ったせいでバランスを崩しそのまま後ろに尻餅をつくように倒れ込んだ。
ガランガラン…と何か金属が落ちた大きな音と共に尻餅をついたお尻から腰にかけては痛みが走ったが、頭上からは何も降ってこず、脳天に缶詰が直撃する事体は回避できたか?と恐る恐る目を開ける。視界が暗いのは顔を腕で守っているからか?とゆっくり腕を退かすと、頭にザルを被ったカラ松の顔がすぐそこにあった。
何が起きたか理解出来ず、ぱちくりと瞬きをして自分に影を落とす目の前の顔を見上げると、ふぅ…とカラ松がついたため息が顔にかかって、ぶわわわっと爪先から脳天まで電気が走り、ボッと音を立てて顔が爆発した。
慌てて離れようと腰を引こうとしたら、あろうことかその腰にカラ松の手が回されていて動けないことに気付き、冷や汗が噴き出る。
目の前の顔が心配そうに歪み、大丈夫か?という重低音が空気を震わせて全身に突き刺さった。
はぁぁぁああああああギルティーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!!?!?!!?!?!?
震度6の時の赤べこのように高速で頷く私に安堵のため息がかかる。息のかかる距離であんまり呼吸しないで貰えませんかね!?!!?
頭にザルを被ったままのカラ松は私から離れるとぺたんと座り込んだ私に手を差し伸べた。
「すまない、何も当たらなかったか?」
「ん、ぁ、あ」
「よかった」
全然返事になってない声を絞り出しながら頷くと眉を下げて笑い、頭からザルを取ってひっくり返ってカラになったカゴに入れる。
私も手伝わなければ、と辺りを見回すと大きく凹んだトマト缶が目に入り、サァっと血の気が引く。
自業自得とはいえ私を守って缶詰とか頭から被ったであろうカラ松に大丈夫か聞こうとすると遠くから「なぁにーー??すごい音したけどォ〜〜!!!」と松代の大声がした。
「なんでもないぞマミー!!!」
「そぉ〜お〜〜???なら良いけどォ〜!!!ちょっと洗濯バサミ足りないから持って来てくれるゥ〜〜!?!!?」
二階なのか庭なのかわからないが遠くから叫んでいる松代の元にカラ松を行かせて、台所中に散らばったカゴの中身を拾い集める。大丈夫か聞けなかったな。申し訳ないことをした。心臓に悪すぎる。今のは仕方なかったにしてもカラ松くんはパーソナルスペースという概念が死んでいる。
顔の熱を逃がしながらカゴに物をしまい終えた私は歌舞伎揚げの袋だけテーブルに出して、カゴを冷蔵庫の上に戻そうと持ち上げた。ウッ結構重い。
目線の高さまでなんとかカゴを持ち上げようと踏ん張っていると、背中にひと気を感じ、にゅっと両脇から手が伸びて来てカゴをなんなく持ち上げ、冷蔵庫の上に戻した。
「あ、カラ松くん、ありが…と…」
カラ松が戻ってきて後ろから助けてくれたのかと振り向こうとして、腕が黄色いことに気づく。
そのまま黄色い布を目で追いながら振り向くと、焦点の合わない瞳が至近距離で見下ろしていて、思わずヒッと喉から声が漏れる。自分の背中と十四松の前身はほぼくっ付いている。兄弟揃ってパーソナルスペース死んでるのか?
冷蔵庫と十四松に挟まれて振り向いた姿勢のまま動けないでいると、「名前ちゃん、いつもうちにいんね」と低い声が半円形に開いた口から発せられた。
「お、お邪魔してます…」
「きょーは一松にーさんいないよ」
「…存じております…」
「……今日は誰に会いにきたの?」
感情の読めない形だけの笑顔で、至近距離で淡々と問われる。
私の考える松野十四松は何をするにもドタバタ騒がしくて、帰宅時もただいマッスルマッスルー!と叫びながら入ってくるイメージだったので、この間も今も、音もなく現れたことに驚きと戸惑いと恐怖を感じていた。
「じゅ、十四松く…」
「!?ぼく!?!?」
ぱあっと頰を上気させて周りに花を飛ばし嬉しそうにさらに大口を開けて笑った彼に、先程までとのギャップを感じて呆気に取られる。そういう意味で名前を呼んだのではないのだが、まぁいっか?
サッと適度な距離を取って離れた十四松は嬉しーなーとくねくねしていたが、テーブルの上の山盛りコロッケを見つけ、目を輝かせた。
「コロッケだ!!!」
「あ、今日のお昼だよ」
「名前ちゃん作ったんすか!?!?」
「えっ!?いや」
「十四松?帰ったのか」
松代さんだよ、と言おうとしたところにカラ松くんが戻ってきた。
十四松は首を高速で振りながら私とカラ松を交互に見る。
「名前、弟の十四松だ」
「あ、うん…」
「十四松、俺の大切な友達の名前だ。コロッケはもう名前と先に食べたから自分の分だけよそって食べると良い」
もう知り合いであると言い出せずに紹介されていると、十四松は猫目になって片手で口を塞いでしまった。
「十四松?」
「…カラ松にーさんと名前ちゃんで食べたの?」
松代も一緒だとカラ松が説明しようとすると、なんで???と圧のある質問がそれに被さってカラ松は戸惑う。
どうにも、十四松は兄弟が女とサシで会うことに厳しいらしい。
不穏な空気が流れ出したので、先程数種類の煎餅の中から選んだ歌舞伎揚げの袋を手に取り、なるべく明るい声で静寂を割いた。
「あっ!ねぇ、好きなお煎餅選んだよ」
「あ、ああ、歌舞伎揚げか」
「…カラ松兄さんがこの間パチンコで勝った時に一緒に貰ってた歌舞伎揚げだ」
「「…」」
先程とは違う不穏な空気が部屋を包み込む。
えっ…とカラ松を見やると、引くくらい大量の汗をダラダラとかいて目を泳がせていた。わかりやすすぎか?
「じゅ、十四マァ〜〜ツ???なぁにを言い出すんだ、俺はパチンコなんて」
「一昨日1人で行ったパチンコで大勝ちしてあまりで貰ってた歌舞伎揚げ」
「十四マァアア〜〜〜〜ツッ!?!?!?!?」
どこから出したのか、棒突きキャンディを十四松の口にねじ込みながら「俺はパチンコなんて行ってないし勝ってもいないぜ十四マァ〜〜〜〜ツ!!パチンコのことは知らないからブラザーたちにも内緒だぞマイリル」と凄むカラ松。いや、これは勝ってるでしょ。内緒って。飴をガジガジ噛み砕きながら「CRわかった!!」と元気良く返事する十四松とCRはいらなぁい!!とおでこを突き合わせて凄むカラ松を、歌舞伎揚げを持ったまま眺めていると、こちらを向いたカラ松は私の口にも飴をねじ込んできて「パチンコなんて知らないからな!!」と叫んだ。私何も言ってないんだけど。
ねじ込まれた青い飴はソーダの味がした。