夢だけど夢じゃない
はじめにお名前変換してください
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌朝5時にトト子の部屋に集合し(イヤミは寝坊して11時に来た)衣装合わせをしたり、トト子ちゃんが即興で作った曲を一生懸命覚えたり歌ったり踊ったり、トト子ちゃんのファッションショーを見たり、歌詞という名のポエムを聞いて褒め称えたり、トト子ちゃんを褒めたり、突然こんなんじゃ売れないー!と悲観的になるトト子ちゃんを慰めたり、トト子ちゃんのファッションショーを褒めたり、むつごへの愚痴を聞いたり、トト子ちゃんがSNSに載せる用の盛れる写真を撮ったり、歌を歌ったり、魚屋を手伝ったり、トト子ちゃんのファッションショーを褒めたり、ファッションショーを褒めたり、ファッションショーを褒めたりして12時頃に解散した。疲れた。現実でやってた仕事よりキツイかもしれない。ちなみに私はこの間、一番最初に衣装合わせで着させられたシャコの甲冑を着たままである。腰が痛い。あれ結構重い。あれ着たまま歌って踊るのしんどい。
朝早かったのでいつもの朝食会まで待てず、調理場に置いてあったパンを1つ頬張っただけでお昼ご飯も食べていないため物凄い空腹である。お腹がきゅるきゅる鳴いている。どこかでお昼食べたいな…チビ太くんのおでん屋さんって昼はやってないのかな…
そんなことを考えながらトボトボ商店街を歩いていたら後ろから聞き慣れた声をかけられた。
「名前?」
えっ…と思わず振り向くと、そこにはもう合わす顔が無いとまで思った男が大量の買い物袋を提げて立っていた。
「か、カラ松くん…」
「どうしたんだこんなところで。1人か?」
「カラ松くんこそ……、…!!!!」
片手で何袋も食べ物の詰まった買い物袋を提げ、もう片手でキャベツやジャガイモが詰め込まれた大きな段ボールを肩に背負っているという衝撃的な姿のせいで、その隣にいる人物に一瞬気付かなかった私は、彼の名を呼びながらバッチリ目の合ってしまったその人から目を逸らせないでいた。
まるで雷に撃たれたかのようなショックを受けた顔をして目を見開いたその人があまりに強い目力でガン見してくるので(ついでに顎が外れそうなくらい口が開いている)、何も悪いことをしていないのに背中がソワソワとして目が離せないまま、軽くパニックに陥ってその場に根が生えたように突っ立ってしまった。
棒立ちの私が自分の隣の人物と熱い視線を交わし続けていることに気がついたカラ松は、あぁ、と何か納得したような声をあげて「名前、紹介しよう、我が親愛なる聖母 …この松野家次男を産み落とした女神 さ…」と目を閉じ自慢気に良い声で意味不明な紹介をしてくれた。何言ってんのかさっぱりだけど、私は彼女が誰なのか知っている。
「マミー、こちらは「カラ松が…!!!!女の子を…!!!!!!!!」ま、マミー??」
今にも泣きそうなテンションで次男の声を遮り、ズィッと私に顔を寄せてきたギラつくメガネのこの女性こそ松野家の六つ子を産み落とし育て上げた松野松代、その人だ。
突然の御母堂様降臨に何の心の準備もしてなかった私は、100リットルくらいの冷や汗をかいたままギラリと光るメガネから目を逸らすこともできず、グイグイとにじり寄ってくる彼女から逃げることも出来ず、相変わらずその場に根が生えたように突っ立っていた。
「貴女、カラ松とはどこまで…「マミー、大切な友人の名前だ」…エッ」
もうキスするんじゃないかってくらいの距離まで顔を近づけてきた松代が暴走した質問を投げかける前に、普通に空気の読めないカラ松がなんの気も無しに私の紹介を被せて言ってきた為、松代の目と口が点になり、ものすごくシンプルな顔立ちになってしまった。
「ゆ、ユウジン?」
「ああ、心の友 …かけがえのない恩人 さ」
今日のカラ松くん絶好調だな。
あまりに無茶な読み方する単語を連発するので背景に漢字とルビが表示されるようになってしまった彼(アニメって便利だなぁ)と、私の目の前で「ユウジン…ユウジン…」と壊れたロボットのように繰り返すだけになってしまった、さっきより何処と無く白っぽくヨレヨレになった松代を交互に見ながら素朴な疑問をぶつけてみる。
「恩人って?」
「名前は俺を救い出してくれた恩人だろう?感謝している」
そう言って眉を下げ目を細めて本当に優しく笑うもんだから、あまりの不意打ちに心臓がギュッと掴まれた。えっ好き、なに?好き。は?やば。
IQが低くなったところで、私のお腹が盛大に鳴いた。
真っ白になりかけていた松代とさっきまで優しく微笑んでいたカラ松が、2人揃って目を丸くして見つめてくる。
は!ず!か!し!い!しぬ!
「名前、腹が減っているのか?」
「あらあらあら、ちょーど今ね〜朝市の買い出ししてきたところなのよ!これから帰ってお昼にするんだけれど良かったら食べていかない?」
「…えっ…!?」
「それは良い考えだマザー、名前、うちで一緒にランチと洒落込もうじゃないか」
朝市で食材をたっぷり買い込んだところだから、とニコニコ話しかけてくる松代と、完全に荷物持ち要員の両手が塞がったカラ松に断りを入れられないまま、あれよあれよという間につい先日くぐったばかりの引き戸を背に、松野家の玄関にお邪魔していた。
「あら?ニートたちぃ〜〜いないの〜?まだお昼なのに全員いないなんて珍しいわね…まぁ良いわ、ほらほら、遠慮なく上がってちょうだい、うちの穀潰しにこーーーーんなに可愛くって若くって可愛くって愛らしくて可愛くって可愛いオトモダチがいたなんて〜♡今日は良い日だわ〜♡すーぐお昼にするから待っててね」
ニコニコとまくし立ててサッと台所に引っ込んだ松代に圧倒されたまま玄関に突っ立っていると、勝手口から荷物を運び入れたらしい手ぶらのカラ松が奥から出てきて「どうしたんだ?上がってくれ」と不思議そうに聞いてくるので、お邪魔します…と消え入るような声で呟きながら靴を脱いだ。
襖を開けて畳敷きの茶の間に入る。
ウワァ〜〜ウワァ〜〜すごい!!!!松野家だ!!!!ちゃぶ台とテレビとバランスボールにピンクの謎の椅子。アニメで見た通りの見慣れた光景に感動して360°見渡したくてその場でくるりと一回転する。すごい!!!!私松野家にいる!!!!VRだ!!!!(?)
先日は玄関と縁側だけだったのでこうして知っている部屋に入ったのは初めてだ。すごい。すごい。感動して泣きそう。めちゃくちゃキョロキョロしながら一歩一歩踏み締めてちゃぶ台まで歩いてきた私は、奥に見える台所で忙しなく動き回る松代を見つけてギョッとした。舞い上がっていて失念していた。
慌てて台所の入り口まで駆け寄り「何かお手伝いします…!」と声をかければ「アラ!いーのよ、息子の『かけがえのない大切なオトモダチ』さんは私にとっても大切なお客様なんだから。今日は座っていて。手伝ってくれるのは苗字が松野になってからで良いから」とキラッキラの満面の笑みで返されてしまった。カラ松には完全に友人扱いされたというのに、さらりとそんなことを言ってくるもんだからボッと顔から湯気が出る。黙ってしまった私をニコニコと見ていた松代だったが、和室で寝そべってテレビをつけた次男に「あんたはお茶くらい出したらどうなの!?」とすごい剣幕で怒鳴りつけた。
あまりの勢いで叱られた次男は飛び起き、若干涙目になりながら慌ててお茶を入れてくれたので、お言葉に甘えて茶の間の座布団に正座する。うわ〜〜私、ここに座ってる。やばくない?やばい。やばい!!!!
そわそわニヤニヤするのを誤魔化すように湯呑みをふぅふぅしてお茶を啜る。あ、美味しい。私、松野家でカラ松くんの淹れてくれたお茶飲んでる!!!!やばくない?やばい。やばい!!!!
思考のループに陥っていると、良い匂いと共に山盛りのコロッケを持った松代が部屋に入ってきた。えっ作るの早!!
大皿にてんこ盛りに盛られた黄金のコロッケと、これまた山盛りの千切りキャベツ、ほかほかのごはんとお味噌汁、ちょっとしたお漬物があっという間にずらりとちゃぶ台に並ぶ。
無造作に並べられた座布団に座りながらニコニコした松代が「今日は私もここで頂いちゃおうかしら」と話しかけてくるので、素直に「ぜひ!とっても美味しそうです!」と感想を述べる。
いただきます、と3人で手を合わせ、大きなコロッケを箸で持ち上げる。
サク、と軽い衣の歯ざわり、じゅわっと広がるホクホクのジャガイモと溢れる挽肉の肉汁。お、お、お、美味しい〜〜!!!!
一人暮らしになってから、面倒で揚げ物なんてしなかった私は、家でこんなに美味しいコロッケを食べられるなんて人生初では?ってくらい感動して泣きそうになりながら無言でもぐもぐと味わいながらコロッケを噛み締めた。こんなハッピーな昼食ある?むつごは毎日これ食べてんの?どんなパラダイスだよ。ずるい。
私が集中して無言で食べているのを勘違いした松代が「お口に合わなかったかしら…?」と悲しそうに呟くので、ハッ!とした私は「あまりに美味しくって集中してしまいました」「毎日こんな美味しいごはんを食べてるなんて、カラ松くんずるいです」と真顔で力説してしまい、松代をポカンとさせてしまった。
「ハタ坊んとこの飯の方が美味くないか?」
「いくらカラ松くんでも言って良いことと悪いことがあるよ」
「えっ」
確かに一流ホテルの三つ星レストランのシェフみたいな人が作るごはんは毎食豪華でとても美味しい。美味しいけど、松代の手料理はそれとはまた違った美味しさがあるのだ。これぞお袋の味というか、ほっとしてしみじみと染み渡る美味しさなのだ。
「普段誰もそんなこと言ってくれないから感動してポカンとしちゃったわ」
「本当に美味しいです…ここの子になりたいくらいです…」
「是非なってちょうだい」
「えっ、あっ!いや、そういう意味では」
「是非なってちょうだい」
「あの、」
「この青いのが不満ならあと5色選べるから」
「いや、あの」
「私ね、孫が見たいの」
「あ、あの!」
口を滑らせたせいでまたメガネをギラつかせ始めてしまった松代にあたふたとしていると、何の話をしてるのかまるでわかってないカラ松が「マミー、お代わり」と空の茶碗を突き出した。
「自分でよそってらっしゃい!!!このクソニート!!!!せっかく女の子を連れてきたと思ったのに!そんなだからクソ松なのよ!」
「えっ」
突然の暴言にショックを受けたような顔をしてフラフラと台所へごはんをよそいに行ったカラ松の背中を、ちょっぴり哀れに思いながら見送った。
朝早かったのでいつもの朝食会まで待てず、調理場に置いてあったパンを1つ頬張っただけでお昼ご飯も食べていないため物凄い空腹である。お腹がきゅるきゅる鳴いている。どこかでお昼食べたいな…チビ太くんのおでん屋さんって昼はやってないのかな…
そんなことを考えながらトボトボ商店街を歩いていたら後ろから聞き慣れた声をかけられた。
「名前?」
えっ…と思わず振り向くと、そこにはもう合わす顔が無いとまで思った男が大量の買い物袋を提げて立っていた。
「か、カラ松くん…」
「どうしたんだこんなところで。1人か?」
「カラ松くんこそ……、…!!!!」
片手で何袋も食べ物の詰まった買い物袋を提げ、もう片手でキャベツやジャガイモが詰め込まれた大きな段ボールを肩に背負っているという衝撃的な姿のせいで、その隣にいる人物に一瞬気付かなかった私は、彼の名を呼びながらバッチリ目の合ってしまったその人から目を逸らせないでいた。
まるで雷に撃たれたかのようなショックを受けた顔をして目を見開いたその人があまりに強い目力でガン見してくるので(ついでに顎が外れそうなくらい口が開いている)、何も悪いことをしていないのに背中がソワソワとして目が離せないまま、軽くパニックに陥ってその場に根が生えたように突っ立ってしまった。
棒立ちの私が自分の隣の人物と熱い視線を交わし続けていることに気がついたカラ松は、あぁ、と何か納得したような声をあげて「名前、紹介しよう、我が親愛なる
「マミー、こちらは「カラ松が…!!!!女の子を…!!!!!!!!」ま、マミー??」
今にも泣きそうなテンションで次男の声を遮り、ズィッと私に顔を寄せてきたギラつくメガネのこの女性こそ松野家の六つ子を産み落とし育て上げた松野松代、その人だ。
突然の御母堂様降臨に何の心の準備もしてなかった私は、100リットルくらいの冷や汗をかいたままギラリと光るメガネから目を逸らすこともできず、グイグイとにじり寄ってくる彼女から逃げることも出来ず、相変わらずその場に根が生えたように突っ立っていた。
「貴女、カラ松とはどこまで…「マミー、大切な友人の名前だ」…エッ」
もうキスするんじゃないかってくらいの距離まで顔を近づけてきた松代が暴走した質問を投げかける前に、普通に空気の読めないカラ松がなんの気も無しに私の紹介を被せて言ってきた為、松代の目と口が点になり、ものすごくシンプルな顔立ちになってしまった。
「ゆ、ユウジン?」
「ああ、
今日のカラ松くん絶好調だな。
あまりに無茶な読み方する単語を連発するので背景に漢字とルビが表示されるようになってしまった彼(アニメって便利だなぁ)と、私の目の前で「ユウジン…ユウジン…」と壊れたロボットのように繰り返すだけになってしまった、さっきより何処と無く白っぽくヨレヨレになった松代を交互に見ながら素朴な疑問をぶつけてみる。
「恩人って?」
「名前は俺を救い出してくれた恩人だろう?感謝している」
そう言って眉を下げ目を細めて本当に優しく笑うもんだから、あまりの不意打ちに心臓がギュッと掴まれた。えっ好き、なに?好き。は?やば。
IQが低くなったところで、私のお腹が盛大に鳴いた。
真っ白になりかけていた松代とさっきまで優しく微笑んでいたカラ松が、2人揃って目を丸くして見つめてくる。
は!ず!か!し!い!しぬ!
「名前、腹が減っているのか?」
「あらあらあら、ちょーど今ね〜朝市の買い出ししてきたところなのよ!これから帰ってお昼にするんだけれど良かったら食べていかない?」
「…えっ…!?」
「それは良い考えだマザー、名前、うちで一緒にランチと洒落込もうじゃないか」
朝市で食材をたっぷり買い込んだところだから、とニコニコ話しかけてくる松代と、完全に荷物持ち要員の両手が塞がったカラ松に断りを入れられないまま、あれよあれよという間につい先日くぐったばかりの引き戸を背に、松野家の玄関にお邪魔していた。
「あら?ニートたちぃ〜〜いないの〜?まだお昼なのに全員いないなんて珍しいわね…まぁ良いわ、ほらほら、遠慮なく上がってちょうだい、うちの穀潰しにこーーーーんなに可愛くって若くって可愛くって愛らしくて可愛くって可愛いオトモダチがいたなんて〜♡今日は良い日だわ〜♡すーぐお昼にするから待っててね」
ニコニコとまくし立ててサッと台所に引っ込んだ松代に圧倒されたまま玄関に突っ立っていると、勝手口から荷物を運び入れたらしい手ぶらのカラ松が奥から出てきて「どうしたんだ?上がってくれ」と不思議そうに聞いてくるので、お邪魔します…と消え入るような声で呟きながら靴を脱いだ。
襖を開けて畳敷きの茶の間に入る。
ウワァ〜〜ウワァ〜〜すごい!!!!松野家だ!!!!ちゃぶ台とテレビとバランスボールにピンクの謎の椅子。アニメで見た通りの見慣れた光景に感動して360°見渡したくてその場でくるりと一回転する。すごい!!!!私松野家にいる!!!!VRだ!!!!(?)
先日は玄関と縁側だけだったのでこうして知っている部屋に入ったのは初めてだ。すごい。すごい。感動して泣きそう。めちゃくちゃキョロキョロしながら一歩一歩踏み締めてちゃぶ台まで歩いてきた私は、奥に見える台所で忙しなく動き回る松代を見つけてギョッとした。舞い上がっていて失念していた。
慌てて台所の入り口まで駆け寄り「何かお手伝いします…!」と声をかければ「アラ!いーのよ、息子の『かけがえのない大切なオトモダチ』さんは私にとっても大切なお客様なんだから。今日は座っていて。手伝ってくれるのは苗字が松野になってからで良いから」とキラッキラの満面の笑みで返されてしまった。カラ松には完全に友人扱いされたというのに、さらりとそんなことを言ってくるもんだからボッと顔から湯気が出る。黙ってしまった私をニコニコと見ていた松代だったが、和室で寝そべってテレビをつけた次男に「あんたはお茶くらい出したらどうなの!?」とすごい剣幕で怒鳴りつけた。
あまりの勢いで叱られた次男は飛び起き、若干涙目になりながら慌ててお茶を入れてくれたので、お言葉に甘えて茶の間の座布団に正座する。うわ〜〜私、ここに座ってる。やばくない?やばい。やばい!!!!
そわそわニヤニヤするのを誤魔化すように湯呑みをふぅふぅしてお茶を啜る。あ、美味しい。私、松野家でカラ松くんの淹れてくれたお茶飲んでる!!!!やばくない?やばい。やばい!!!!
思考のループに陥っていると、良い匂いと共に山盛りのコロッケを持った松代が部屋に入ってきた。えっ作るの早!!
大皿にてんこ盛りに盛られた黄金のコロッケと、これまた山盛りの千切りキャベツ、ほかほかのごはんとお味噌汁、ちょっとしたお漬物があっという間にずらりとちゃぶ台に並ぶ。
無造作に並べられた座布団に座りながらニコニコした松代が「今日は私もここで頂いちゃおうかしら」と話しかけてくるので、素直に「ぜひ!とっても美味しそうです!」と感想を述べる。
いただきます、と3人で手を合わせ、大きなコロッケを箸で持ち上げる。
サク、と軽い衣の歯ざわり、じゅわっと広がるホクホクのジャガイモと溢れる挽肉の肉汁。お、お、お、美味しい〜〜!!!!
一人暮らしになってから、面倒で揚げ物なんてしなかった私は、家でこんなに美味しいコロッケを食べられるなんて人生初では?ってくらい感動して泣きそうになりながら無言でもぐもぐと味わいながらコロッケを噛み締めた。こんなハッピーな昼食ある?むつごは毎日これ食べてんの?どんなパラダイスだよ。ずるい。
私が集中して無言で食べているのを勘違いした松代が「お口に合わなかったかしら…?」と悲しそうに呟くので、ハッ!とした私は「あまりに美味しくって集中してしまいました」「毎日こんな美味しいごはんを食べてるなんて、カラ松くんずるいです」と真顔で力説してしまい、松代をポカンとさせてしまった。
「ハタ坊んとこの飯の方が美味くないか?」
「いくらカラ松くんでも言って良いことと悪いことがあるよ」
「えっ」
確かに一流ホテルの三つ星レストランのシェフみたいな人が作るごはんは毎食豪華でとても美味しい。美味しいけど、松代の手料理はそれとはまた違った美味しさがあるのだ。これぞお袋の味というか、ほっとしてしみじみと染み渡る美味しさなのだ。
「普段誰もそんなこと言ってくれないから感動してポカンとしちゃったわ」
「本当に美味しいです…ここの子になりたいくらいです…」
「是非なってちょうだい」
「えっ、あっ!いや、そういう意味では」
「是非なってちょうだい」
「あの、」
「この青いのが不満ならあと5色選べるから」
「いや、あの」
「私ね、孫が見たいの」
「あ、あの!」
口を滑らせたせいでまたメガネをギラつかせ始めてしまった松代にあたふたとしていると、何の話をしてるのかまるでわかってないカラ松が「マミー、お代わり」と空の茶碗を突き出した。
「自分でよそってらっしゃい!!!このクソニート!!!!せっかく女の子を連れてきたと思ったのに!そんなだからクソ松なのよ!」
「えっ」
突然の暴言にショックを受けたような顔をしてフラフラと台所へごはんをよそいに行ったカラ松の背中を、ちょっぴり哀れに思いながら見送った。