夢だけど夢じゃない
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「ガラケーだからLINEとかできないけどなんかあったら連絡してくれよな」
そう言ったチビ太と番号を交換して二日後。
「もしもし名前ちゃん!?助けてェ!!!!」
チビ太からの着信に出るや否や大声でSOSを叫ばれた。
「えっ?えっ?チビ太くん?どうしたの?」
「街の外れにある山ん中の森わかるか!?ギャーッ!!!!???そこまで来れる!?!?今すぐ…ウワーーーッこっち来んなこっち来んなギャーッ!!!!!!!!」
「えっどっち?」
「来て!!!!!!!!今すぐ!!!!!!!!!!!!」
後ろで大騒ぎするイヤミの声とグルルルルという何かの音がしたから状況は把握しているんだけども。もうやめとけって言ったのに結局行っちゃったんだむつごのところ…んでバレて虎の檻の中なうってことだなぁ…
アニメだと拇印を求められて終わってたけど、今の電話の感じからして鍵はゲット出来てなさそうだ。
念のため南京錠を斬るための工具がないかハタ坊に聞きに行くと危ないとかなんとか言って、なんとハタ坊もついてきてしまった。ついてきたというか今現在ハタ坊が運転するジープで現地へ向かっている。運転荒い。こわい。旗の人たちの運転荒いのってハタ坊リスペクトだったの!?
イ○ディジョーンズもびっくりの飛んだり跳ねたり右往左往する車から振り落とされないように涙目で必死につかまって耐えること数十分。森の中の少し開けたところに突如現れたデカイ檻。虎にほぼもう食われているイヤミとチビ太がこちらを見つけてSOSを叫ぶ。ハタ坊、2人いたよ!と伝えようと口を開けた瞬間、物凄い土埃とブレーキ音を上げながら超ドリフトした車が檻に体当たりした。遠心力で車外に投げ出された私は少し離れたところでゴロゴロと地面に転がった。めちゃくちゃ痛い。もう普通に事故。口を開けたところだったので土も食べた。おぇ。
けたたましい音を立てて檻にぶつかった車は煙を上げながら止まった。ハタ坊は無事だろうか?
ぶつかった衝撃で檻が壊れたらしく土埃の中から血まみれズタボロのイヤミとチビ太が走り出てきた。ウワーーーッとかなんとか叫びながら車に飛び乗るとそのまま車はエンジンをふかして行ってしまった。
えっっっ?????
地面に倒れたまま現状が把握出来ず車が走り去った方を呆然と眺める。ハタ坊もいないからきっと車に乗ったまま一緒に行ってしまったに違いない。えっっっ???どういう???
森に置き去りにされて痛む身体をなんとか半身起こしながら怪我の程度を確かめる。うん、血は出てるけど擦り傷で済んでるみたい。流石ギャグアニメ。現実なら死んでたね。
起き上がろうと地面に手をついて顔を上げたら鋭い瞳孔と目が合って時が止まった。
壊れた檻から虎が出てきてこちらをジッと見つめていた。グルルルルルと低い音がする。私は血の気がサァ…っと引くのを感じながら動けないでいた。えっ虎が…虎が…!?!?
ジッと見つめられ目が反らせないままグルルルルルと喉を鳴らす虎はゆっくり左右に歩き回っている。一定の距離はあるものの、絶対逃げられない。身体が凍ったように動かない。虎、でかい…!!!
合ったままの私の目からポロリ、と涙が落ちた瞬間、虎がすごい勢いで駆け寄ってきた。ウワッ無理死ぬ食べられる…!!!!
ギュッと目を閉じて身体をすくませるが、次に感じたのは痛みではなく何かが腰に当たった軽い衝撃だった。
恐る恐る目を開けて見れば、虎の頭が私の腰に擦り付けられている。頭突きをするように軽くごつごつと頭を擦り寄せてきている虎に理解が追いつかなくて呆然と見ていると、虎は私のポケットから何かをずるりと咥えて引っ張り出した。
「アッッッ!?!?トラカラちゃん…!?」
虎が咥えていたのは私がトラカラちゃんと呼んで一緒に寝ている、カラ松お手製のトラのぬいぐるみだった。持ってきた覚えがまるでないのが恐ろしいが、何故かポケットに入っていたらしいそのぬいぐるみを咥えた虎はご満悦のようで私のすぐそばに寝転がるとそのぬいぐるみをべろりと舐め出した。猫くらいの大きさのあるぬいぐるみを赤ちゃん虎とでも思っているのだろうか?
あまりにそばに寝転がられたせいで怖くて逃げられないまま座って虎の所業を眺めていたらふとこちらを見た虎の顔がグイッと近づいてきた。ウワッついに食べられる!?目をギュッと瞑るとザラザラの何かが顔をザリッと擦った。めちゃくちゃ痛い!!!!びっくりして目を開けると虎が私の顔を舐めていた。好意を示されているのかもしれないが粗めの紙やすりで顔を擦られているようでめちゃくちゃ痛い。でも怖くて拒否れない。気持ち後ろに仰け反って逃げつつ舐められていると周りの木々がニャァニャァ鳴き出した。えっ今度は何!?
よくよく見渡せば周りの木々にすごい数の猫がいて、この空き地をぐるりと取り囲んでいた。猫は一斉に同じ方を向いて鳴いている。私の顔を舐めていた虎もそちらに首を向けた。
ガサガサと茂みが音を立て、水色のスーツを着た男がゆらりと現れた。
「あーはいはい、そんなに鳴かなくてもわかってる…か、ら…」
頭上の猫たちに話しかけながら現れたその男はぶっ壊れた檻を見て立ち止まり、そのまま少し離れたところで伏せている虎に目をやって、ようやくその横に座っている私に気づき目を見開いた。
「えっ…は…?だれ…」
「グルルルルル」
「ヒィッ」
「あ、ちょ、ちょっとまって」
真横で喉を鳴らした虎にビビった私に焦ったようにステイのハンドサインをするとそのままチッチッと虎を呼ぶ。虎は私のトラカラちゃんを咥えるとぽてぽてとリズミカルに歩いていって男の腰に頭をぐりぐりと押し付けた。喉は相変わらずグルグル言っている。あ、もしかしてあれ機嫌が良いのか?
腰に押し付けられている虎の頭を慣れた手つきで撫でながら男はおどおどと「あの、大丈夫…ですか」と聞いてきた。
「まさか、こいつに噛まれたりとか」
「あ、違います、この傷は…転んで」
血まみれの私にビビったように顔を青くしたまま尋ねてくるので虎による被害ではないことを伝える。私がここにいる理由を考えれば間接的には虎のせいである気もするけど…
「あの、こいつ人を噛んだりしないのでこわがらなくて大丈夫…です」
「(めちゃくちゃ噛んでるとこ見たけどな…)」
「………血が、出てるけど…」
「あ、そんな大したことないので大丈夫…あいたっ」
大丈夫をアピールしようと立ち上がろうとして足首に鋭い痛みが走る。立ち上がれずに地面に崩れ落ちた私に慌てて手が差し伸べられたけど、私に触れる前にビュッとすごい勢いで手は引っ込められてしまった。中途半端に近くに来た男はおどおどあたふたとしながら気の毒になるくらい冷や汗をかいて目線を彷徨わせていた。どうしたらいいのかわからないという感じだ。
「あの、お構いなく…その虎のせいではないので…」
「エッあっ、いやでも、怪我…あっ!こいつに…あ?おまえソレなに咥えてんの?」
思いついた!という顔をして虎を見た男は虎が何かを咥えていることに今更気付いたらしく訝しげに虎の口から垂れている物を引っ張った。
虎は離す様子もなく咥えたまま首を振る。
「あっそれは私のぬいぐるみなんですけど…気に入ったようなのであげます」
「えっ…おまえソレ取ったの?イケナイ子じゃん」
虎の口から垂れているぬいぐるみを軽く引っ張りながら反対の手で虎の頭を小突くように撫でる。あとでオシオキだから…と虎の頭を撫でながら呟くと私に向き直った彼はただでさえ猫背の背中をさらに丸めてぺこぺこした。
「すみませんねぇうちのが…」
「あ、いえ…」
「怪我してるみたいなんで良かったら乗ってください」
「えっっっ???乗る!?!?虎にですか!?!?」
「女の子1人くらいなら大丈夫なんで」
そういう問題では!?と思う間も無く虎が私へ歩み寄り、私の腰のあたりに噛み付くとそのまま首をブン!と振って遠心力で私を空に放った。虎の背に落ちた私はそのまま虎にしがみつく。の、乗っちゃった…。
「じゃあ」
「えっ!?」
のそり、と背を向けて歩き出した男に続き、私を乗せた虎も歩き出す。
怖くて降りることも出来ず虎にしがみついたままガサガサと茂みをかき分け進む。
どこに連れて行かれちゃうの!?
そう言ったチビ太と番号を交換して二日後。
「もしもし名前ちゃん!?助けてェ!!!!」
チビ太からの着信に出るや否や大声でSOSを叫ばれた。
「えっ?えっ?チビ太くん?どうしたの?」
「街の外れにある山ん中の森わかるか!?ギャーッ!!!!???そこまで来れる!?!?今すぐ…ウワーーーッこっち来んなこっち来んなギャーッ!!!!!!!!」
「えっどっち?」
「来て!!!!!!!!今すぐ!!!!!!!!!!!!」
後ろで大騒ぎするイヤミの声とグルルルルという何かの音がしたから状況は把握しているんだけども。もうやめとけって言ったのに結局行っちゃったんだむつごのところ…んでバレて虎の檻の中なうってことだなぁ…
アニメだと拇印を求められて終わってたけど、今の電話の感じからして鍵はゲット出来てなさそうだ。
念のため南京錠を斬るための工具がないかハタ坊に聞きに行くと危ないとかなんとか言って、なんとハタ坊もついてきてしまった。ついてきたというか今現在ハタ坊が運転するジープで現地へ向かっている。運転荒い。こわい。旗の人たちの運転荒いのってハタ坊リスペクトだったの!?
イ○ディジョーンズもびっくりの飛んだり跳ねたり右往左往する車から振り落とされないように涙目で必死につかまって耐えること数十分。森の中の少し開けたところに突如現れたデカイ檻。虎にほぼもう食われているイヤミとチビ太がこちらを見つけてSOSを叫ぶ。ハタ坊、2人いたよ!と伝えようと口を開けた瞬間、物凄い土埃とブレーキ音を上げながら超ドリフトした車が檻に体当たりした。遠心力で車外に投げ出された私は少し離れたところでゴロゴロと地面に転がった。めちゃくちゃ痛い。もう普通に事故。口を開けたところだったので土も食べた。おぇ。
けたたましい音を立てて檻にぶつかった車は煙を上げながら止まった。ハタ坊は無事だろうか?
ぶつかった衝撃で檻が壊れたらしく土埃の中から血まみれズタボロのイヤミとチビ太が走り出てきた。ウワーーーッとかなんとか叫びながら車に飛び乗るとそのまま車はエンジンをふかして行ってしまった。
えっっっ?????
地面に倒れたまま現状が把握出来ず車が走り去った方を呆然と眺める。ハタ坊もいないからきっと車に乗ったまま一緒に行ってしまったに違いない。えっっっ???どういう???
森に置き去りにされて痛む身体をなんとか半身起こしながら怪我の程度を確かめる。うん、血は出てるけど擦り傷で済んでるみたい。流石ギャグアニメ。現実なら死んでたね。
起き上がろうと地面に手をついて顔を上げたら鋭い瞳孔と目が合って時が止まった。
壊れた檻から虎が出てきてこちらをジッと見つめていた。グルルルルルと低い音がする。私は血の気がサァ…っと引くのを感じながら動けないでいた。えっ虎が…虎が…!?!?
ジッと見つめられ目が反らせないままグルルルルルと喉を鳴らす虎はゆっくり左右に歩き回っている。一定の距離はあるものの、絶対逃げられない。身体が凍ったように動かない。虎、でかい…!!!
合ったままの私の目からポロリ、と涙が落ちた瞬間、虎がすごい勢いで駆け寄ってきた。ウワッ無理死ぬ食べられる…!!!!
ギュッと目を閉じて身体をすくませるが、次に感じたのは痛みではなく何かが腰に当たった軽い衝撃だった。
恐る恐る目を開けて見れば、虎の頭が私の腰に擦り付けられている。頭突きをするように軽くごつごつと頭を擦り寄せてきている虎に理解が追いつかなくて呆然と見ていると、虎は私のポケットから何かをずるりと咥えて引っ張り出した。
「アッッッ!?!?トラカラちゃん…!?」
虎が咥えていたのは私がトラカラちゃんと呼んで一緒に寝ている、カラ松お手製のトラのぬいぐるみだった。持ってきた覚えがまるでないのが恐ろしいが、何故かポケットに入っていたらしいそのぬいぐるみを咥えた虎はご満悦のようで私のすぐそばに寝転がるとそのぬいぐるみをべろりと舐め出した。猫くらいの大きさのあるぬいぐるみを赤ちゃん虎とでも思っているのだろうか?
あまりにそばに寝転がられたせいで怖くて逃げられないまま座って虎の所業を眺めていたらふとこちらを見た虎の顔がグイッと近づいてきた。ウワッついに食べられる!?目をギュッと瞑るとザラザラの何かが顔をザリッと擦った。めちゃくちゃ痛い!!!!びっくりして目を開けると虎が私の顔を舐めていた。好意を示されているのかもしれないが粗めの紙やすりで顔を擦られているようでめちゃくちゃ痛い。でも怖くて拒否れない。気持ち後ろに仰け反って逃げつつ舐められていると周りの木々がニャァニャァ鳴き出した。えっ今度は何!?
よくよく見渡せば周りの木々にすごい数の猫がいて、この空き地をぐるりと取り囲んでいた。猫は一斉に同じ方を向いて鳴いている。私の顔を舐めていた虎もそちらに首を向けた。
ガサガサと茂みが音を立て、水色のスーツを着た男がゆらりと現れた。
「あーはいはい、そんなに鳴かなくてもわかってる…か、ら…」
頭上の猫たちに話しかけながら現れたその男はぶっ壊れた檻を見て立ち止まり、そのまま少し離れたところで伏せている虎に目をやって、ようやくその横に座っている私に気づき目を見開いた。
「えっ…は…?だれ…」
「グルルルルル」
「ヒィッ」
「あ、ちょ、ちょっとまって」
真横で喉を鳴らした虎にビビった私に焦ったようにステイのハンドサインをするとそのままチッチッと虎を呼ぶ。虎は私のトラカラちゃんを咥えるとぽてぽてとリズミカルに歩いていって男の腰に頭をぐりぐりと押し付けた。喉は相変わらずグルグル言っている。あ、もしかしてあれ機嫌が良いのか?
腰に押し付けられている虎の頭を慣れた手つきで撫でながら男はおどおどと「あの、大丈夫…ですか」と聞いてきた。
「まさか、こいつに噛まれたりとか」
「あ、違います、この傷は…転んで」
血まみれの私にビビったように顔を青くしたまま尋ねてくるので虎による被害ではないことを伝える。私がここにいる理由を考えれば間接的には虎のせいである気もするけど…
「あの、こいつ人を噛んだりしないのでこわがらなくて大丈夫…です」
「(めちゃくちゃ噛んでるとこ見たけどな…)」
「………血が、出てるけど…」
「あ、そんな大したことないので大丈夫…あいたっ」
大丈夫をアピールしようと立ち上がろうとして足首に鋭い痛みが走る。立ち上がれずに地面に崩れ落ちた私に慌てて手が差し伸べられたけど、私に触れる前にビュッとすごい勢いで手は引っ込められてしまった。中途半端に近くに来た男はおどおどあたふたとしながら気の毒になるくらい冷や汗をかいて目線を彷徨わせていた。どうしたらいいのかわからないという感じだ。
「あの、お構いなく…その虎のせいではないので…」
「エッあっ、いやでも、怪我…あっ!こいつに…あ?おまえソレなに咥えてんの?」
思いついた!という顔をして虎を見た男は虎が何かを咥えていることに今更気付いたらしく訝しげに虎の口から垂れている物を引っ張った。
虎は離す様子もなく咥えたまま首を振る。
「あっそれは私のぬいぐるみなんですけど…気に入ったようなのであげます」
「えっ…おまえソレ取ったの?イケナイ子じゃん」
虎の口から垂れているぬいぐるみを軽く引っ張りながら反対の手で虎の頭を小突くように撫でる。あとでオシオキだから…と虎の頭を撫でながら呟くと私に向き直った彼はただでさえ猫背の背中をさらに丸めてぺこぺこした。
「すみませんねぇうちのが…」
「あ、いえ…」
「怪我してるみたいなんで良かったら乗ってください」
「えっっっ???乗る!?!?虎にですか!?!?」
「女の子1人くらいなら大丈夫なんで」
そういう問題では!?と思う間も無く虎が私へ歩み寄り、私の腰のあたりに噛み付くとそのまま首をブン!と振って遠心力で私を空に放った。虎の背に落ちた私はそのまま虎にしがみつく。の、乗っちゃった…。
「じゃあ」
「えっ!?」
のそり、と背を向けて歩き出した男に続き、私を乗せた虎も歩き出す。
怖くて降りることも出来ず虎にしがみついたままガサガサと茂みをかき分け進む。
どこに連れて行かれちゃうの!?