夢だけど夢じゃない
はじめにお名前変換してください
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
トト子ちゃんからは「イヤミと連絡ついたら招集かけるね〜♡」と言われ音沙汰ないまま数日が経った。
あれからむつごの誰とも会っていないし、ハタ坊はまたどこかへ出張に行ってしまい一人ぼっちになった私はお使いに出掛けていた。
元社畜ということもあるし、なんの関係でハタ坊の家に居候しているのかも謎のままハタ坊の金を食い潰すニート生活に良心が耐え切れなくなった私はハタ坊と決死の交渉をして少し働いてそのお給料を自分のお金としてもらう契約をなんとか結んだ。まぁごはんの後に自分の分だけ食器を下げたら1万円(洗わせてはくれない)、自分の分だけ洗濯をしたら5万円(洗濯機に入れるところまで、干して乾かし畳んだものは自動で部屋に戻ってきてしまう)、ハタ坊のおやつを買いに行くと20万円…などなど、子供のお手伝いレベルのことをするとお小遣いとは0がひとつもふたつも違いまくる桁のお金が貰える仕組みになった。
何もせずに好きなだけ使って良いと言われていた時よりはマシだがそれでもちょっとお手伝いするだけで日給50万(しかも控除なしオール手取り)と金銭感覚が麻痺する高給取りになってしまったので、ものの3日でちょっとした貯金が出来てしまった。もう社畜になんか戻れない…これがパパ活…
ハタ坊はすぐ帰るとのことで、帰ってきたら一緒に食べるおやつを買いに商店街へ来ていた。これも帰ったら20万貰えてしまう…買ったおやつ代は別で…なにこれこわ…逆マルチ…(?)
そんなわけで少し日持ちする焼き菓子を買い、帰り道に公園へ差し掛かったところで知っている後姿を見つけ、声をかけた。
「あれ、チビ太くん」
「ん?なんだ、名前ちゃんじゃねー…か…じゃなくてっ、ど、ど、ど、どちら様ですかぁ?」
「いやいやいや」
かわいらしい小柄なツインテールの女の子が笑顔で振り向き返事をしながら青ざめて、他人行儀に距離を取りながらぎこちなく目線を彷徨わせた。
いや、ガバガバか。
「チビ太くんでしょ」
「えっ?誰それぇ?チビ美わかんなぁい」
「薬飲んで姿変わるとこ見てたし返事したし私のこと知ってたし今また元の姿に戻ってるしね?」
「え?あ?あ!?さっき飲んだばっかりなのに!?どんどん時間が短くなる!!!」
可愛らしいスカート姿のままガニ股ハゲ頭に戻ってしまったおでん屋の店主は青ざめたまま膝から崩れ落ちた。
そのそばにしゃがみ込み、顔を覗き込む。
「あ、あの、名前ちゃん、これは違くて…別にオイラ女装趣味があるとかじゃ…」
「あんまりやりすぎると痛い目見ちゃうよ?」
虎の忠告のつもりで手でガオ!のポーズをしてみたが、ぼんやりと私を見上げたチビ太は「名前ちゃんは何してもかわいいなぁ」と頰を赤らめた。呑気かよ。
「むつごを甘く見てるとやばいよ、トト子ちゃんも怒ってたし(間接的に)」
「えっ?トト子ちゃんも!?そりゃあヤベェな…なぁ名前ちゃん、このことあいつらには」
「言わないし言っても信じてくれなさそうだし…そもそも最近会ってないし…合わせる顔もないし…」
「? なんかあったのか?」
数日前のパチンコ屋でのやり取りを思い出し、勝手に涙腺が緩み出す。
突然泣き出した私にギョッとしたチビ太はとりあえず、と私を茂みに引っ張り込んだ。
「自分でやっててアレだけど、今のあいつらレンタル彼女に夢中でいつも以上に頭のネジ飛んじまってるから…なんかされたのか?」
「何もされてないよ…ただ、カラ松くんに大事な友達って言われただけ…」
「あーーー………」
ぽろぽろと泣きながら話す私に、苦い顔をしたままチビ太は頭をかいた。
「知ってるかもしれねーけどあいつ彼女いたことないしトト子ちゃん以外身近に女の子いたことないから普段愛だのなんだのカラ松ガールズがなんたら言ってっけど女の子と関わる経験値少なすぎて実際近くにいる女の子に気づけてねーのかもな…」
「フォローありがとうチビ太くん…でもレンタル彼女にはカラ松節全開だし、やっぱり私は対象外なだけだと思う…」
「うーーーーん」
そんなことねーと思うんだけどなァ…とスカートであぐらをかきながらガシガシと頭をかいて難しい顔をするチビ太。
「そうだ!名前ちゃんもレンタル彼女やってみたらどうだ!?そしたらカラ松の野郎も名前ちゃんを女の子として見るんじゃねーか!?」
「ええっ!?無理無理!!お金取ってそんな悪どい商売できない!チビ太くんは今までのツケ代取り戻すためにもむつご相手だけならやっても良いかもしれないけど…まぁ騙してお金取ってるのは良くないと思うけど」
「ウッ…名前ちゃんに言われると心が痛え…」
薬も効かなくなってきたしあいつらも金が尽きたしそろそろ辞めるよ…と罰が悪そうに言うチビ太に早く辞めた方が良いと同意する。今やめれば虎に喰われることもない。
「友達って言われてショックで逃げちゃったんだけど嫌われてないし友達になれただけでもすごく幸せなことだって思うことにしたの」
「名前ちゃん…」
「カラ松くんと関われるだけで奇跡みたいなものだって思うことにした!ちょっとまだショックを引きずってるけど、カラ松くんの女友達なんてトト子ちゃんと私くらいじゃない?それってすごいことだ!って、特別な友達って感じじゃない?」
「…前向きになってるとこ悪いけど、全然そんな風に思ってる顔じゃねーよ」
「…ッ」
「そう思うのは気持ちの整理の付け方としていーのかもしんねーけど、今はまだ泣きたいだけ泣いた方がすっきりすんじゃねーの?」
胸なら貸すからさ、と頭をぽんぽんされて止まっていた涙が溢れ出す。
さっき言ったこともほんと。友達だけど"特別"になれるならそれでもすごいって思ってる。でもまだ苦しいのもほんと。あの日散々泣いたけれど無理矢理気持ちに蓋をしたから涙とともにどろどろした気持ちが自分の奥底でぐるぐるしたままだった。
苦しい気持ちを全部洗い流せたらすっきりと"友達"になれるかも。
チビ太に抱きついてかわいいフリルの胸元にわんわん泣きついた。
私が泣き終わるまで彼はずっと背中を撫でてくれていた。
あれからむつごの誰とも会っていないし、ハタ坊はまたどこかへ出張に行ってしまい一人ぼっちになった私はお使いに出掛けていた。
元社畜ということもあるし、なんの関係でハタ坊の家に居候しているのかも謎のままハタ坊の金を食い潰すニート生活に良心が耐え切れなくなった私はハタ坊と決死の交渉をして少し働いてそのお給料を自分のお金としてもらう契約をなんとか結んだ。まぁごはんの後に自分の分だけ食器を下げたら1万円(洗わせてはくれない)、自分の分だけ洗濯をしたら5万円(洗濯機に入れるところまで、干して乾かし畳んだものは自動で部屋に戻ってきてしまう)、ハタ坊のおやつを買いに行くと20万円…などなど、子供のお手伝いレベルのことをするとお小遣いとは0がひとつもふたつも違いまくる桁のお金が貰える仕組みになった。
何もせずに好きなだけ使って良いと言われていた時よりはマシだがそれでもちょっとお手伝いするだけで日給50万(しかも控除なしオール手取り)と金銭感覚が麻痺する高給取りになってしまったので、ものの3日でちょっとした貯金が出来てしまった。もう社畜になんか戻れない…これがパパ活…
ハタ坊はすぐ帰るとのことで、帰ってきたら一緒に食べるおやつを買いに商店街へ来ていた。これも帰ったら20万貰えてしまう…買ったおやつ代は別で…なにこれこわ…逆マルチ…(?)
そんなわけで少し日持ちする焼き菓子を買い、帰り道に公園へ差し掛かったところで知っている後姿を見つけ、声をかけた。
「あれ、チビ太くん」
「ん?なんだ、名前ちゃんじゃねー…か…じゃなくてっ、ど、ど、ど、どちら様ですかぁ?」
「いやいやいや」
かわいらしい小柄なツインテールの女の子が笑顔で振り向き返事をしながら青ざめて、他人行儀に距離を取りながらぎこちなく目線を彷徨わせた。
いや、ガバガバか。
「チビ太くんでしょ」
「えっ?誰それぇ?チビ美わかんなぁい」
「薬飲んで姿変わるとこ見てたし返事したし私のこと知ってたし今また元の姿に戻ってるしね?」
「え?あ?あ!?さっき飲んだばっかりなのに!?どんどん時間が短くなる!!!」
可愛らしいスカート姿のままガニ股ハゲ頭に戻ってしまったおでん屋の店主は青ざめたまま膝から崩れ落ちた。
そのそばにしゃがみ込み、顔を覗き込む。
「あ、あの、名前ちゃん、これは違くて…別にオイラ女装趣味があるとかじゃ…」
「あんまりやりすぎると痛い目見ちゃうよ?」
虎の忠告のつもりで手でガオ!のポーズをしてみたが、ぼんやりと私を見上げたチビ太は「名前ちゃんは何してもかわいいなぁ」と頰を赤らめた。呑気かよ。
「むつごを甘く見てるとやばいよ、トト子ちゃんも怒ってたし(間接的に)」
「えっ?トト子ちゃんも!?そりゃあヤベェな…なぁ名前ちゃん、このことあいつらには」
「言わないし言っても信じてくれなさそうだし…そもそも最近会ってないし…合わせる顔もないし…」
「? なんかあったのか?」
数日前のパチンコ屋でのやり取りを思い出し、勝手に涙腺が緩み出す。
突然泣き出した私にギョッとしたチビ太はとりあえず、と私を茂みに引っ張り込んだ。
「自分でやっててアレだけど、今のあいつらレンタル彼女に夢中でいつも以上に頭のネジ飛んじまってるから…なんかされたのか?」
「何もされてないよ…ただ、カラ松くんに大事な友達って言われただけ…」
「あーーー………」
ぽろぽろと泣きながら話す私に、苦い顔をしたままチビ太は頭をかいた。
「知ってるかもしれねーけどあいつ彼女いたことないしトト子ちゃん以外身近に女の子いたことないから普段愛だのなんだのカラ松ガールズがなんたら言ってっけど女の子と関わる経験値少なすぎて実際近くにいる女の子に気づけてねーのかもな…」
「フォローありがとうチビ太くん…でもレンタル彼女にはカラ松節全開だし、やっぱり私は対象外なだけだと思う…」
「うーーーーん」
そんなことねーと思うんだけどなァ…とスカートであぐらをかきながらガシガシと頭をかいて難しい顔をするチビ太。
「そうだ!名前ちゃんもレンタル彼女やってみたらどうだ!?そしたらカラ松の野郎も名前ちゃんを女の子として見るんじゃねーか!?」
「ええっ!?無理無理!!お金取ってそんな悪どい商売できない!チビ太くんは今までのツケ代取り戻すためにもむつご相手だけならやっても良いかもしれないけど…まぁ騙してお金取ってるのは良くないと思うけど」
「ウッ…名前ちゃんに言われると心が痛え…」
薬も効かなくなってきたしあいつらも金が尽きたしそろそろ辞めるよ…と罰が悪そうに言うチビ太に早く辞めた方が良いと同意する。今やめれば虎に喰われることもない。
「友達って言われてショックで逃げちゃったんだけど嫌われてないし友達になれただけでもすごく幸せなことだって思うことにしたの」
「名前ちゃん…」
「カラ松くんと関われるだけで奇跡みたいなものだって思うことにした!ちょっとまだショックを引きずってるけど、カラ松くんの女友達なんてトト子ちゃんと私くらいじゃない?それってすごいことだ!って、特別な友達って感じじゃない?」
「…前向きになってるとこ悪いけど、全然そんな風に思ってる顔じゃねーよ」
「…ッ」
「そう思うのは気持ちの整理の付け方としていーのかもしんねーけど、今はまだ泣きたいだけ泣いた方がすっきりすんじゃねーの?」
胸なら貸すからさ、と頭をぽんぽんされて止まっていた涙が溢れ出す。
さっき言ったこともほんと。友達だけど"特別"になれるならそれでもすごいって思ってる。でもまだ苦しいのもほんと。あの日散々泣いたけれど無理矢理気持ちに蓋をしたから涙とともにどろどろした気持ちが自分の奥底でぐるぐるしたままだった。
苦しい気持ちを全部洗い流せたらすっきりと"友達"になれるかも。
チビ太に抱きついてかわいいフリルの胸元にわんわん泣きついた。
私が泣き終わるまで彼はずっと背中を撫でてくれていた。