夢だけど夢じゃない
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「だいたいね、母さんも母さんなんだよ!なんだよ4個って!」
でかい罵り声に驚いて振り向くと見知った顔がいた。
きっちり喉元まで閉めたシャツをズボンにインした潔癖な印象のその青年はまあまあ大きな声量の独り言でぶつくさ文句を言っていた。完全に怖い人である。
ハタ坊へのお土産に通りすがりのお店で鯛焼きを買おうと並んでいたら後ろに並んだこの男。ずっと独り言で何かを罵っている。ちらちらと通行人に見られていることに気づいていないのか早口でまくし立てていて、こわい。この人が誰だか知ってるけど、こわい。
なんでこんなご機嫌斜めな時に会っちゃうんだろう、今日はとりあえず関わらないでおこう…そう思って鯛焼きを二個買ってそそくさと立ち去ろうとする。
「鯛焼き6つ」
「ごめんな兄ちゃん、もう残り4個しかないわ」
「ァア゛!?4個ォ!?!?」
めっちゃこわい。
怖すぎて、気づいたら手に抱えるほかほかの鯛焼きを涙目で差し出していた。
「…エッ?」
「あ、ああああの、鯛焼き、私2個買って、ごめんなさい、これあげます、そしたら6個になるので、」
「えっ!?あ、いや、そそそそそんな、いいです大丈夫ですすみません大声出して…」
「いえ、いいんです、こちらは鯛焼きじゃなくても大丈夫なので」
押し付けるように鯛焼きを渡すとじゃ、じゃあお代を…と小銭をジャラジャラ財布から拾い始めた。いい、いらない、ハタ坊のお金だからちゃんともらった方がいいのはわかってるけど一刻も早くここから立ち去りたい。そんな気持ちでいたため、彼が差し出した手と私の手がぶつかり、それに驚いた彼がウワァ!?と仰け反って手を上げたため、小銭がバラバラと空を舞ってチャリンチャリーンと四方に散らばった。
「うわあ…すみません…」
「あっいえこちらこそ」
慌ててしゃがんで小銭を集める。彼もしゃがんで小銭を集める。ひと通り集まったかな、と目を上げると、そこそこ近い距離でしゃがんでいた松野チョロ松が顔を真っ赤にしてこちらを見つめていた。こちらを、というか少し視線が下だ。不思議に思い彼の視線の先を追えば、しゃがんだことによって裾がずり上がったうえにニーソックスはずり下がり、白い太ももが露わになっていた。元々ショートパンツ丈のサロペットだから短いのだけど、もはやホットパンツというかただのパンツというかな丈になってしまっている。
慌てて裾を直しニーソを引っ張り上げ肌の面積を減らす。それでも絶対領域から目を離さない息の荒い彼におずおずと話しかける。人生でこんなあからさまにガン見されたことがないから戸惑う。
「あの…鼻血出てます…」
「エッ…!?あっ…!」
ゴシゴシと乱暴に鼻を擦ってへへへと笑う彼にへらりと笑顔を返す。さっきと違う意味でこわい。アニメで見ていた時はギャグとして面白かったし彼のそういうところが好きでもあったけど、こうも全身でその欲を感じてしまうと怖さが勝ってしまう。
立ち上がって彼から残りの小銭を受け取り、彼がしっかり6個分の鯛焼きを抱えているのを見て、この場を離れようと愛想笑いを浮かべる。
「本当にありがとうございます」
「いえ…美味しく召し上がってくださいね…」
会釈をして背を向け、足早に去る。次会う時はもう少し落ち着いていてくれますように。彼のことはキャラクターとして普通に好きなのだ。出来るなら仲良くしたい。
背後から「もう、普通にスキーーーーー!!!!」という叫び声が聞こえてきて、ああ、どこかで聞いたなあと苦笑した。
でかい罵り声に驚いて振り向くと見知った顔がいた。
きっちり喉元まで閉めたシャツをズボンにインした潔癖な印象のその青年はまあまあ大きな声量の独り言でぶつくさ文句を言っていた。完全に怖い人である。
ハタ坊へのお土産に通りすがりのお店で鯛焼きを買おうと並んでいたら後ろに並んだこの男。ずっと独り言で何かを罵っている。ちらちらと通行人に見られていることに気づいていないのか早口でまくし立てていて、こわい。この人が誰だか知ってるけど、こわい。
なんでこんなご機嫌斜めな時に会っちゃうんだろう、今日はとりあえず関わらないでおこう…そう思って鯛焼きを二個買ってそそくさと立ち去ろうとする。
「鯛焼き6つ」
「ごめんな兄ちゃん、もう残り4個しかないわ」
「ァア゛!?4個ォ!?!?」
めっちゃこわい。
怖すぎて、気づいたら手に抱えるほかほかの鯛焼きを涙目で差し出していた。
「…エッ?」
「あ、ああああの、鯛焼き、私2個買って、ごめんなさい、これあげます、そしたら6個になるので、」
「えっ!?あ、いや、そそそそそんな、いいです大丈夫ですすみません大声出して…」
「いえ、いいんです、こちらは鯛焼きじゃなくても大丈夫なので」
押し付けるように鯛焼きを渡すとじゃ、じゃあお代を…と小銭をジャラジャラ財布から拾い始めた。いい、いらない、ハタ坊のお金だからちゃんともらった方がいいのはわかってるけど一刻も早くここから立ち去りたい。そんな気持ちでいたため、彼が差し出した手と私の手がぶつかり、それに驚いた彼がウワァ!?と仰け反って手を上げたため、小銭がバラバラと空を舞ってチャリンチャリーンと四方に散らばった。
「うわあ…すみません…」
「あっいえこちらこそ」
慌ててしゃがんで小銭を集める。彼もしゃがんで小銭を集める。ひと通り集まったかな、と目を上げると、そこそこ近い距離でしゃがんでいた松野チョロ松が顔を真っ赤にしてこちらを見つめていた。こちらを、というか少し視線が下だ。不思議に思い彼の視線の先を追えば、しゃがんだことによって裾がずり上がったうえにニーソックスはずり下がり、白い太ももが露わになっていた。元々ショートパンツ丈のサロペットだから短いのだけど、もはやホットパンツというかただのパンツというかな丈になってしまっている。
慌てて裾を直しニーソを引っ張り上げ肌の面積を減らす。それでも絶対領域から目を離さない息の荒い彼におずおずと話しかける。人生でこんなあからさまにガン見されたことがないから戸惑う。
「あの…鼻血出てます…」
「エッ…!?あっ…!」
ゴシゴシと乱暴に鼻を擦ってへへへと笑う彼にへらりと笑顔を返す。さっきと違う意味でこわい。アニメで見ていた時はギャグとして面白かったし彼のそういうところが好きでもあったけど、こうも全身でその欲を感じてしまうと怖さが勝ってしまう。
立ち上がって彼から残りの小銭を受け取り、彼がしっかり6個分の鯛焼きを抱えているのを見て、この場を離れようと愛想笑いを浮かべる。
「本当にありがとうございます」
「いえ…美味しく召し上がってくださいね…」
会釈をして背を向け、足早に去る。次会う時はもう少し落ち着いていてくれますように。彼のことはキャラクターとして普通に好きなのだ。出来るなら仲良くしたい。
背後から「もう、普通にスキーーーーー!!!!」という叫び声が聞こえてきて、ああ、どこかで聞いたなあと苦笑した。