夢だけど夢じゃない
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それから数日カラ松くんはフラッグコーポレーションにいたけれど、イヤメタルがどうのこうの言って家に帰っていった。案外あっけなかった。ハタ坊もお百度詣りがどうのこうの言って一緒に出て行った。
1人になってしまった私は街をぶらぶら歩いていた。目が覚めたら勝手にピンクのサロペットを着ていたので、今日はこれを着ろということなのだろう。
何気なくぶらぶらしているとコーヒーのいい匂いがした。匂いの方を見てみると見覚えある緑の看板。
「!!これは…!」
元々スタバが好きなのだけど、ここはもしやあのスタバァでは…!?
ドキドキしながらお店へ入ると心地良いカランコロンという音が鳴る。
いらっしゃいませえ〜と甘ったるい声がする方を見ると、レジに、いた。
ニコニコ笑うむつごの顔…!
ととととととトッティ…!!
ニコニコ笑ってるおかげで他のむつごとの差がわかりにくく、一瞬誰だかわからないけど、私は知っている。トッティしかここでバイトしてないし…!
カラ松を見つけた時とは別の大興奮をしながらレジに並ぶ。
「いらっしゃいませえ〜」
「こんにちは」
「!?こ、こんにちは!」
普通に挨拶しただけなのに鼻息荒く挨拶を返されてしまった。なんか可笑しかったかな?こっちの人はレジで挨拶しないとか?
注文しようとメニューに目を落とせばなんとなーく文字がわからんでもないものの、モニョモニョと何かが書いてあるだけでとても活字とは思えない記号が並んでいた。よ、読めない。街中の看板とかは読めるから文字が違うわけではない。これは背景だから適当にそれっぽい作画になっているんだ…なんだそれ…そんなのアニメの中だけでいいよ…!
困った私は顔を上げ、目の前の男ににこりと愛想笑いを浮かべる。
「おすすめとかありますか?」
「おっおすすめですか!?えっえっと、それでシたら新作のフラペチーノなどいかがデしょうカ!?」
ところどころひっくり返りながらおすすめを教えてくれる。まだバイト始めたばかりで緊張してるのかな?
初めてバイトした遠い過去を思い出しながら緊張するよねウンウンと微笑ましい気持ちになる。じゃあそれで、と注文してかわいい見た目のフラペチーノに口をつける。あ、美味しい。良かった。
しばらくハタ坊は多忙で遊んでもらえないので1人でビルにいるのも気がひける私は毎日スタバァへ足を運んでいた。近いし空調は効いているし美味しいし居座るには居心地の良い場所だ。トッティは毎日レジにいた。毎日シフト入れてるの?偉すぎじゃない?
私はすっかり定位置となった窓辺の席でハタ坊に持たされた本を広げていた。ハタ坊の著書らしい。ぺらりとページを捲ると「ジョジョはジョジョでもジョジョじゃない ジョ〜」と書いてあった。格言だろうか?またページを捲ると「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリーガタイジョ」と書いてあった。私には難しいみたい。本を閉じてコーヒーを啜るとコップがずずっと下品な音を立てた。もう空だったようだ。
「よろしければお代わりいかがですか」
「!! お代わりいただけるんですか」
ふいに後ろから話しかけられ振り向くと、ニコニコしたトド松がポット片手に立っていた。あまりにニコニコしているので神松のようだ。
「本当はそういうサービスないんですけどお姉さんかわいいのでトクベツです」
「さすがお上手ですね」
「さすが?」
つい口をついて出てしまった言葉に疑問を持たれて、慌ててさすがスタバァの店員さんって意味ですと弁明するとああと笑われる。
「お姉さん毎日いらっしゃいますけど、お仕事この辺なんですか?」
「あ、お仕事はしてなくて」
「あっそうなんですね」
「だから働いてて偉いなぁって思います、トッティさんのこと」
こんなサロペットニーハイ女が働いてるように見えるのか?とも思ったけど素直な感想を述べる。すると大きな目が更に大きく見開かれた。
「え、なんでなまえ、」
「え?あっ!?あ、あの、他の店員さんが呼んでるの聞いて…」
またやっちゃった!
どうも気を抜くと知ってる名前だから口走ってしまう。気をつけなければ。
「あっ、あー…ですよね…はは、なんだ…びっくりした…あの、ボク、トド松っていいます、松野トド松」
「松野さん」
「あ、えと、はは、そうなんですけど、もし良かったら下の名前で…」
「? トッティ?」
「ッ…いや、それでも嬉しいんですけど、ええと」
「ああ、トド松…くん」
「!!」
トッティのことはずっとトッティと呼んでいたので、トド松くんという響きが慣れなくてくすぐったくて思わず笑ってしまう。トド松さんという感じではないしなぁ。トッティはトッティなんだけど。本人がそう呼んで欲しいならちゃんと呼ばないと。
そう思って呼んでみたのだけど、目を見開いたあとふにゃふにゃ笑って身体もぐにゃぐにゃになってしまった。周りにお花が舞っている。なにこれかわいい。
「へへ…嬉しい…生きてて良かった…あっ!あの、良かったら連絡先聞いてもいいかな…?」
おいおい、スタッフが客にそれはまずいぞ、と思いつつ、むつごと繋がれることが満更ではない私は快諾しポケットからスマホを取り出そうとする。しかし出てきたのは忘れていたけどハタ坊に持たされていたあのヤバイ防犯ブザーだった。
「あっ…私…スマホ持ってなくて…」
「えっ!?そうなの…」
「…持ってたほうが便利だし、持たせてくれないか聞いてみるのでまた今度改めてでもいいですか…?」
「も、もちろん!」
首が取れるんじゃないかというくらい頷くトッティを店に残して(背後から野太いヨッッッッッッッシャアアアアアアアという声がした)フラッグコーポレーションへ戻る。ちょうど仕事の合間で遊んでいたハタ坊にスマホを持ちたい旨お願いすると、反対されるかと思っていたのにすんなりOKが出てあっという間に持たせてもらえた。しかも現実で私が使ってたやつと同じ機種。操作に困らなくて良い。
後日、トッティと連絡先を交換するためにスタバァを訪れると彼はいなかった。ニコニコ働くお店の子(私はこの子がアイダだって知ってるけど)にお休みか聞いたら辞めましたと冷ややかに言われた。あちゃー。兄弟にバレたか。あのおかしな格好で来襲するところ見てみたかったのに。失敗した。コーヒーだけ買ってお店を出る。せっかくの松野家との連絡パイプが。カラ松は連絡手段を持たないのでもう何日も会っていない。会いたい。そのうちまた会えるよね、とトボトボ帰路に着いた。
1人になってしまった私は街をぶらぶら歩いていた。目が覚めたら勝手にピンクのサロペットを着ていたので、今日はこれを着ろということなのだろう。
何気なくぶらぶらしているとコーヒーのいい匂いがした。匂いの方を見てみると見覚えある緑の看板。
「!!これは…!」
元々スタバが好きなのだけど、ここはもしやあのスタバァでは…!?
ドキドキしながらお店へ入ると心地良いカランコロンという音が鳴る。
いらっしゃいませえ〜と甘ったるい声がする方を見ると、レジに、いた。
ニコニコ笑うむつごの顔…!
ととととととトッティ…!!
ニコニコ笑ってるおかげで他のむつごとの差がわかりにくく、一瞬誰だかわからないけど、私は知っている。トッティしかここでバイトしてないし…!
カラ松を見つけた時とは別の大興奮をしながらレジに並ぶ。
「いらっしゃいませえ〜」
「こんにちは」
「!?こ、こんにちは!」
普通に挨拶しただけなのに鼻息荒く挨拶を返されてしまった。なんか可笑しかったかな?こっちの人はレジで挨拶しないとか?
注文しようとメニューに目を落とせばなんとなーく文字がわからんでもないものの、モニョモニョと何かが書いてあるだけでとても活字とは思えない記号が並んでいた。よ、読めない。街中の看板とかは読めるから文字が違うわけではない。これは背景だから適当にそれっぽい作画になっているんだ…なんだそれ…そんなのアニメの中だけでいいよ…!
困った私は顔を上げ、目の前の男ににこりと愛想笑いを浮かべる。
「おすすめとかありますか?」
「おっおすすめですか!?えっえっと、それでシたら新作のフラペチーノなどいかがデしょうカ!?」
ところどころひっくり返りながらおすすめを教えてくれる。まだバイト始めたばかりで緊張してるのかな?
初めてバイトした遠い過去を思い出しながら緊張するよねウンウンと微笑ましい気持ちになる。じゃあそれで、と注文してかわいい見た目のフラペチーノに口をつける。あ、美味しい。良かった。
しばらくハタ坊は多忙で遊んでもらえないので1人でビルにいるのも気がひける私は毎日スタバァへ足を運んでいた。近いし空調は効いているし美味しいし居座るには居心地の良い場所だ。トッティは毎日レジにいた。毎日シフト入れてるの?偉すぎじゃない?
私はすっかり定位置となった窓辺の席でハタ坊に持たされた本を広げていた。ハタ坊の著書らしい。ぺらりとページを捲ると「ジョジョはジョジョでもジョジョじゃない ジョ〜」と書いてあった。格言だろうか?またページを捲ると「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリーガタイジョ」と書いてあった。私には難しいみたい。本を閉じてコーヒーを啜るとコップがずずっと下品な音を立てた。もう空だったようだ。
「よろしければお代わりいかがですか」
「!! お代わりいただけるんですか」
ふいに後ろから話しかけられ振り向くと、ニコニコしたトド松がポット片手に立っていた。あまりにニコニコしているので神松のようだ。
「本当はそういうサービスないんですけどお姉さんかわいいのでトクベツです」
「さすがお上手ですね」
「さすが?」
つい口をついて出てしまった言葉に疑問を持たれて、慌ててさすがスタバァの店員さんって意味ですと弁明するとああと笑われる。
「お姉さん毎日いらっしゃいますけど、お仕事この辺なんですか?」
「あ、お仕事はしてなくて」
「あっそうなんですね」
「だから働いてて偉いなぁって思います、トッティさんのこと」
こんなサロペットニーハイ女が働いてるように見えるのか?とも思ったけど素直な感想を述べる。すると大きな目が更に大きく見開かれた。
「え、なんでなまえ、」
「え?あっ!?あ、あの、他の店員さんが呼んでるの聞いて…」
またやっちゃった!
どうも気を抜くと知ってる名前だから口走ってしまう。気をつけなければ。
「あっ、あー…ですよね…はは、なんだ…びっくりした…あの、ボク、トド松っていいます、松野トド松」
「松野さん」
「あ、えと、はは、そうなんですけど、もし良かったら下の名前で…」
「? トッティ?」
「ッ…いや、それでも嬉しいんですけど、ええと」
「ああ、トド松…くん」
「!!」
トッティのことはずっとトッティと呼んでいたので、トド松くんという響きが慣れなくてくすぐったくて思わず笑ってしまう。トド松さんという感じではないしなぁ。トッティはトッティなんだけど。本人がそう呼んで欲しいならちゃんと呼ばないと。
そう思って呼んでみたのだけど、目を見開いたあとふにゃふにゃ笑って身体もぐにゃぐにゃになってしまった。周りにお花が舞っている。なにこれかわいい。
「へへ…嬉しい…生きてて良かった…あっ!あの、良かったら連絡先聞いてもいいかな…?」
おいおい、スタッフが客にそれはまずいぞ、と思いつつ、むつごと繋がれることが満更ではない私は快諾しポケットからスマホを取り出そうとする。しかし出てきたのは忘れていたけどハタ坊に持たされていたあのヤバイ防犯ブザーだった。
「あっ…私…スマホ持ってなくて…」
「えっ!?そうなの…」
「…持ってたほうが便利だし、持たせてくれないか聞いてみるのでまた今度改めてでもいいですか…?」
「も、もちろん!」
首が取れるんじゃないかというくらい頷くトッティを店に残して(背後から野太いヨッッッッッッッシャアアアアアアアという声がした)フラッグコーポレーションへ戻る。ちょうど仕事の合間で遊んでいたハタ坊にスマホを持ちたい旨お願いすると、反対されるかと思っていたのにすんなりOKが出てあっという間に持たせてもらえた。しかも現実で私が使ってたやつと同じ機種。操作に困らなくて良い。
後日、トッティと連絡先を交換するためにスタバァを訪れると彼はいなかった。ニコニコ働くお店の子(私はこの子がアイダだって知ってるけど)にお休みか聞いたら辞めましたと冷ややかに言われた。あちゃー。兄弟にバレたか。あのおかしな格好で来襲するところ見てみたかったのに。失敗した。コーヒーだけ買ってお店を出る。せっかくの松野家との連絡パイプが。カラ松は連絡手段を持たないのでもう何日も会っていない。会いたい。そのうちまた会えるよね、とトボトボ帰路に着いた。