夢だけど夢じゃない
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そして一年後。
私は黒いスーツに身を包み、夕暮れの墓場に立っていた。まわりには見慣れたあの人やその人が皆涙している。目の前の墓石は『コーチ松』。いや、急展開過ぎる。だいたい『一年後』というのもテロップが出たからそうだと理解しただけで私の中ではついさっきおでん屋告白事変があったばかりだ。センバツになった流れも一回目のセンバツも体験していない。本当に毎回いい加減にしろよこのクソアニメ時空め。むつごが何やら格好つけたことを言っているがすごく冷めた気持ちになってしまい、ただ立ち尽くす。正社員はどうした。あんなことがあったとはいえ、やはり原作軸には勝てないってことか。この流れを止めることはできないんだ。私との約束なんてチョロ松の就職のように軽く流されてまるでなかったことになってしまったんだろうな、だってセンバツだもんね。そっかそっか。
アニメで手紙回を見てハラハラした次週、センバツでズコーとなった気持ちをありありと思い出す。まさか身をもって同じ気持ちを体感するとは思わなかった。もっとも、今はもっと複雑な気持ちだけど。どこまでなかったことになってるんだろう。私の気持ちがバレたとこ?両想いっぽいのも告白っぽいのも全部??ぐるぐるしている間に第89回センバツ○△□大会決勝戦は9回の裏を迎えていた。場面は大詰め、あっチビ太くんがやられた。回想シーンで次々とあの人やその人たちが倒れていく。私は揃いのユニフォームは着ておらず、墓場で着ていた黒いスーツのままだった。みんな死んでいくからこの服装で正しいかもしれない。合掌。
「名前」
「オッはい!?び、びっくりした…カラ松くん、どうしたの?」
「イヤミやデカパンたちもやられた今…もうあとがない…」
「あっ見てなかった、みんな爆発しちゃった?」
「だがオレはこんなところで終われはしない…だってまだ正社員になれていない」
「えっ!?その話まだいきてたの!?」
「名前…今はこれを受け取ってほしい」
差し出されたのは5本のバラ。花言葉は『あなたに出会えて心から嬉しい』。
ちゃんと意味わかってるんだろうか、と見上げれば真剣な表情のカラ松とばっちり目が合った。彼の瞳の中に不安げな自分が映る。ふ、と優しく細められる双眼。
流れ出すエモいアレンジのはなまるぴっぴはよいこだけ…。
「この試合に勝てたら…残りの7本を受け取ってほしい」
「カラ松くん…」
「正社員にはなれなかったが…センバツ優勝者として名を残すから…そしたらオレと…」
「うん…うんっがんばってね、待ってる」
「フッ…任せろハニー…」
思わず涙ぐんだ私の頬をさらりと撫で、勝利の女神は微笑んでくれなんて言うから無理やり笑顔を作った。ほかの兄弟たちは煌めく全裸のトト子ちゃんに本気になっている。その列にカラ松も加わり、すごい覇気に球場が包まれた。
「うおおおおおお…!!!や、やりたいぃ…!!!」
「付き合いたいぃぃ…!!!!」
「卒業したいぃぃい!!!!」
「せめて見るだけでもぉ…!!!!」
「おっぱああい!!!!」
「いやヘソの皺ぁあ!!!!」
思い思いのことを叫びながら球を押し返す。
これはもしかしてもしかする?アニメと違う結末になる?もらった花束を握りしめる。お願い、打ち返して…!
「「「「「「無理なもんは無理ぃぃぃい~~~!!!!!!!」」」」」」
そう言い残してむつごは宇宙へ飛んで行った。
トト子ちゃんが遠くで切腹しているのが見える。
やっぱりこうなるのか。
四銀の校歌が流れる。終わっちゃった。握りしめすぎて折れてしまったバラが手の中でくたっとうなだれた。
最終回バージョンのエンディングテーマが流れだす。
あーあ、終わっちゃった。静かに目を閉じる。
………連中ね~~~シェーーーーーー。
「…おそまつ」
自分の声でハッとする。ふかふかの何かに横たわっていることに気づいてゆっくり起き上がった。ぼんやりと見渡せばもはや懐かしい自身の部屋。ハタ坊の家にある部屋ではなくOL名前の一人暮らし1Kの部屋だ。その狭い部屋のベッドの上にいた。ああ、やっと目が覚めたんだ。やっぱり夢だったんだ。自身の体を見下ろす。うん、出勤時に着ていた黒いスーツのまま。
あーあ!
ぼふっと再度ベッドに倒れこむ。カーテンの隙間からきらきらと光が漏れて電気のついていない部屋を薄明るく照らす。外もう明るいじゃん。すごいよく寝たんじゃない?とんでもない夢見たな。ああもう、夢なら夢でもっとハッピーエンドを迎えたかった。やっぱ無理ってなに!待ってろって言ったくせに!カラ松くんのばか!!付き合いたかった~~~!!!!!!!!!
枕に顔を埋めながらもごもごと文句を言い、顔を上げるとキリッとした眉のつぶらな瞳と目が合う。
「「えっ」」
心臓が止まった。
よくよく見知ったその顔。
いつもどおりの青い服。
部屋の中で床に座り込んでいて逆光だけれど、間違いなく居るはずのないその人…
松野カラ松がそこにいた。
私は黒いスーツに身を包み、夕暮れの墓場に立っていた。まわりには見慣れたあの人やその人が皆涙している。目の前の墓石は『コーチ松』。いや、急展開過ぎる。だいたい『一年後』というのもテロップが出たからそうだと理解しただけで私の中ではついさっきおでん屋告白事変があったばかりだ。センバツになった流れも一回目のセンバツも体験していない。本当に毎回いい加減にしろよこのクソアニメ時空め。むつごが何やら格好つけたことを言っているがすごく冷めた気持ちになってしまい、ただ立ち尽くす。正社員はどうした。あんなことがあったとはいえ、やはり原作軸には勝てないってことか。この流れを止めることはできないんだ。私との約束なんてチョロ松の就職のように軽く流されてまるでなかったことになってしまったんだろうな、だってセンバツだもんね。そっかそっか。
アニメで手紙回を見てハラハラした次週、センバツでズコーとなった気持ちをありありと思い出す。まさか身をもって同じ気持ちを体感するとは思わなかった。もっとも、今はもっと複雑な気持ちだけど。どこまでなかったことになってるんだろう。私の気持ちがバレたとこ?両想いっぽいのも告白っぽいのも全部??ぐるぐるしている間に第89回センバツ○△□大会決勝戦は9回の裏を迎えていた。場面は大詰め、あっチビ太くんがやられた。回想シーンで次々とあの人やその人たちが倒れていく。私は揃いのユニフォームは着ておらず、墓場で着ていた黒いスーツのままだった。みんな死んでいくからこの服装で正しいかもしれない。合掌。
「名前」
「オッはい!?び、びっくりした…カラ松くん、どうしたの?」
「イヤミやデカパンたちもやられた今…もうあとがない…」
「あっ見てなかった、みんな爆発しちゃった?」
「だがオレはこんなところで終われはしない…だってまだ正社員になれていない」
「えっ!?その話まだいきてたの!?」
「名前…今はこれを受け取ってほしい」
差し出されたのは5本のバラ。花言葉は『あなたに出会えて心から嬉しい』。
ちゃんと意味わかってるんだろうか、と見上げれば真剣な表情のカラ松とばっちり目が合った。彼の瞳の中に不安げな自分が映る。ふ、と優しく細められる双眼。
流れ出すエモいアレンジのはなまるぴっぴはよいこだけ…。
「この試合に勝てたら…残りの7本を受け取ってほしい」
「カラ松くん…」
「正社員にはなれなかったが…センバツ優勝者として名を残すから…そしたらオレと…」
「うん…うんっがんばってね、待ってる」
「フッ…任せろハニー…」
思わず涙ぐんだ私の頬をさらりと撫で、勝利の女神は微笑んでくれなんて言うから無理やり笑顔を作った。ほかの兄弟たちは煌めく全裸のトト子ちゃんに本気になっている。その列にカラ松も加わり、すごい覇気に球場が包まれた。
「うおおおおおお…!!!や、やりたいぃ…!!!」
「付き合いたいぃぃ…!!!!」
「卒業したいぃぃい!!!!」
「せめて見るだけでもぉ…!!!!」
「おっぱああい!!!!」
「いやヘソの皺ぁあ!!!!」
思い思いのことを叫びながら球を押し返す。
これはもしかしてもしかする?アニメと違う結末になる?もらった花束を握りしめる。お願い、打ち返して…!
「「「「「「無理なもんは無理ぃぃぃい~~~!!!!!!!」」」」」」
そう言い残してむつごは宇宙へ飛んで行った。
トト子ちゃんが遠くで切腹しているのが見える。
やっぱりこうなるのか。
四銀の校歌が流れる。終わっちゃった。握りしめすぎて折れてしまったバラが手の中でくたっとうなだれた。
最終回バージョンのエンディングテーマが流れだす。
あーあ、終わっちゃった。静かに目を閉じる。
………連中ね~~~シェーーーーーー。
「…おそまつ」
自分の声でハッとする。ふかふかの何かに横たわっていることに気づいてゆっくり起き上がった。ぼんやりと見渡せばもはや懐かしい自身の部屋。ハタ坊の家にある部屋ではなくOL名前の一人暮らし1Kの部屋だ。その狭い部屋のベッドの上にいた。ああ、やっと目が覚めたんだ。やっぱり夢だったんだ。自身の体を見下ろす。うん、出勤時に着ていた黒いスーツのまま。
あーあ!
ぼふっと再度ベッドに倒れこむ。カーテンの隙間からきらきらと光が漏れて電気のついていない部屋を薄明るく照らす。外もう明るいじゃん。すごいよく寝たんじゃない?とんでもない夢見たな。ああもう、夢なら夢でもっとハッピーエンドを迎えたかった。やっぱ無理ってなに!待ってろって言ったくせに!カラ松くんのばか!!付き合いたかった~~~!!!!!!!!!
枕に顔を埋めながらもごもごと文句を言い、顔を上げるとキリッとした眉のつぶらな瞳と目が合う。
「「えっ」」
心臓が止まった。
よくよく見知ったその顔。
いつもどおりの青い服。
部屋の中で床に座り込んでいて逆光だけれど、間違いなく居るはずのないその人…
松野カラ松がそこにいた。