良いお尻対決
美奈子とまことだけならまだしもうさぎまでもいいお尻だとアピールして介入してくるというまさかの展開になり、延長戦を迎える事になってしまい亜美は頭を抱えていた。
「で、亜美ちゃん!私たち3人でいいお尻は誰だと思う?」
巻き込まれたくはなかったが余りにしつこく、凄い勢いで迫ってくる美奈子達に圧倒されたのと、早くこのどうでもいい対決が終わって欲しかったので答えようとした。
が、その時である。
「やぁ子猫ちゃん達」
「御機嫌よう」
まさかのはるかとみちるの登場にその場の空気は一転し、全て2人に持っていかれた。
「はるかさん」
「みちるさん」
「こんにちは」
答えようとして口を開けたまま固まってしまった亜美を余所に3人ははるかとみちるに軽快に挨拶をする。
独特の空気を纏い華麗に登場したはるかとみちるは、その場の全てをかっさらい視線を全て集める。
「随分と楽しそうにしてたけど何をしているんだい?」
「私たちも混ぜてくださる?」
まさかの質問に持っていかれると感ずいた美奈子とまことは言い淀む。
「誰のおしりがいいお尻なのかって決めてるんです!」
何も考えていないド直球天然のうさぎが2人の代わりにさらっと答えてしまい美奈子とまことは頭を抱え(うさぎちゃんなんで言っちゃうのよ~)と心の中で号泣ツッコミを入れる。
「へぇーいいお尻対決か!面白そうだな」
「私たちもエントリーさせて頂くわ」
ほら言わないこっちゃない!と思う美奈子とまこと。
「この4人と対決って事でいいのか?」
「亜美ちゃんは違くて判定人です!」
判定人と言われた亜美ははるかとみちるまで加わって余計ややこしく、そして長くかかりそうな事にただただ気が重くなる。
「そうなの?亜美ちゃんは加わらなくてもよろしいのかしら?」
突然みちるに質問された亜美は困惑する。
「私は大丈夫です。そういう対決には興味無いので遠慮なく」
「そうなの?謙虚なのね?でも前にも言ったけど私たちに遠慮しているなら嬉しくなんかなくってよ!」
「本当にそんなんじゃないです!私は勉強にしか興味無いだけです!」
「そう、なら良かったわ」
「亜美ちゃんをいじめてやるなよ、みちる」
「そんなんじゃないわ!私はただ公平に勝負したいだけよ?」
「プライドの高いお嬢様は怖いなぁ。でもどうしてお尻対決するに至ったんだい?」
「前に白樺高校に見学に行った時にエルザグレイが美奈子ちゃんとまこちゃんのお尻揉んで陸上向きのいいお尻してるって言ってたので、どっちがいいお尻してるか?って所から対決するに至ったんですよ~」
はるかから経緯を聞かれ、うさぎがすかさず説明する。
「へぇー2人もエルザに揉まれてたのか」
「はるかもエルザに揉まれたの?」
「みちるも揉まれたのか?」
「ええ、初対面でいきなり」
何とはるかとみちるもエルザに揉まれていた過去がある事が判明する。
「僕も陸上やってるだけあっていいお尻してるって言われたっけ」
「エルザったら誰彼構わず揉んで…」
やれやれと頭を抱え込み申し訳無さそうにするみちる。
「エルザさんってお尻フェチなんだ!」
無邪気に納得するうさぎ。
「外国の血が流れているからそう言う事は自然とスマートに出来るのだと思うわ。とても気さくで人懐っこい姉御な性格だから」
「エルザが発端で始まった対決か…」
「で、どなたが1番かしら?」
長くなりそうなどうでもいい対決に心底うんざりする亜美だが、判定人として任命されたという事ははるかとみちるのお尻を揉めるのか?と言う期待をしてしまうと言う矛盾を抱えて葛藤いた。
「はるかさんとみちるさんには…」
「かないそうに…ありません」
言い出しっぺの美奈子とまことの2人は事実上の敗北宣言をしてしまった。
「えぇぇ~~!何で?どーして?私はどうなるの?」
突然の2人の敗北宣言に置いてきぼりを食らううさぎは納得が出来ず、状況についていけない。
亜美も又、はるかとみちるのお尻を揉む機会を奪われ残念な気持ちと漸くバカな争いが終わる事への安堵感で複雑な気持ちを抱えていた。
「そうよ!又と無い機会だったのに!」
亜美の意外な一言が響き渡り、一瞬その場の空気が止まる。
「良いのかしら?」
「どうぞどうぞ、お譲りしますぅ~」
「お団子頭はどうする?」
「あ、あたしも譲ります(納得はしていない)」
「じゃあいいお尻は僕とみちるのどちらかって事で!」
「あら?決めなくても良いの?」
「じゃあここは素敵なレディの君に譲るよ」
「それじゃあ私が誘導したみたいじゃない?」
「君には叶わないさ」
「まぁ、はるかったら!」
完全に2人だけの世界である。
そんな2人を見ながら美奈子は、今度は絶対はるかとみちるが入って来ない場所でいいお尻が誰か決着をつけてやると心の中で燃えていた。
おわり