18:きっとこれは、悪い夢
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「勝又様…」
恵を抱えて森を出ようとする勝又の前に、泥と無数のかすり傷をつけた天草が戻った。
うつむき、居たたまれない表情だ。
「…返り討ちにされたかい?」
「……申し訳ございません…」
「いや、問題はない。彼女の限界は近かった。追ってくる様子もないようだ…」
「……………」
「彼女が気になるかい?」
勝又に声をかけられ、天草ははっと顔を上げて目を伏せながら口にする。
「……あの女…北条レンは、自身の能力(ちから)を理解しきれていないはずなのに…。予測不能な引き出しには、肝が冷えました…」
その額には冷や汗が浮いていた。
「……私は北条の様子をずっと観察していました…。叶太輔や広瀬雄一と違い、なぜ候補のひとりなのか疑問に思っていましたが…」
「少しは納得できたかい?」
「腑に落ちないのは北条の能力(ちから)です! 私達の能力は相手に“死”を与えるというのに…、本来の使い方が、あんな……」
眉を顰める天草に、勝又は薄笑いを浮かべる。
「“心臓のカケラ”を手に入れた、今のキミならわかるはずだ。彼女の能力(ちから)が“電撃”ではなく―――」
「“保管”…ですね」
“残したい”という意志が強く在った。
レンの能力は、その意志が反映されて生まれたものだ。
「しかし、“誰かの席”はもう空いてません…。いずれ……」
「……決めるのは、彼女自身だ。生き延びたところで、由良君(存在意義)を失った彼女は、どう生きるつもりなんだろうね…」
「……………」
勝又は、空を見上げる。
「早く森を出ようか。陽が沈む…」
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