15:次会ったら
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コポ…、と口から漏れた水泡が上がる。
ゆっくりと目を見開いた華音は、自身が水中を漂っていることに気付いた。
(ここは…、どこ……? 水の中…?)
不思議と息苦しさは感じない。
温かくて心地良さまで覚えた。
どうしてここにいるのか、と華音は記憶を辿る。
(ああ、そっか…。華音…、死んじゃったんだ……。じゃあここは…、天国? 地獄……にしては…、なんて心地がいい……)
このまま眠ってもいいくらいだ。
真上の水面からは、仄かな光も差していた。
(みんなは…。みんなは、どうなったのかな…? 健ちゃん…、由良…、レンちゃん…)
“アクロの心臓”を手に入れたことによって起きた、自身の異変。
亀裂の入った身体から溢れ出し、その場にいた者達に見られてしまった、過去のトラウマ。そこにあった、本来の華音の姿。
絶望に包まれる中、物怖じせず駆け付けたのは、レンだった。
『華音!!!』
抱きしめられた感触は鮮明に残っている。
直後、華音の目に涙が込み上げ、水に融けた。
(レンちゃん…。ごめんね…、一緒に暮らそうって言ってくれたのに…、華音……約束破っちゃった…)
『華音、一緒に…―――』
その言葉が今際の際に聞いたレンの言葉だった。
(嬉しかった…。嬉しかったんだよ…? あの時、あの教室にレンちゃんがいてくれてたら…、華音は……)
もしレンと同級生だったら、真っ先に「やめろよ」と立ち向かうレンの姿が目に浮かぶ。
レンは囲む同級生たちをかき分け、迷いなく華音の手をつかみ、一緒に教室を飛び出していただろう。
そうやって、違った未来を進んでいたかもしれない。
(会いたい、レンちゃん…!)
今となっては遅すぎるほど、レンのことを強く想った。
すると、まるで引き寄せられるように身体が浮上していく。
「ぷは…っ」
水面から顔を出した華音は、目の前の光景に大きく目を見開いた。
「遊園地…?」
小さな、無人の遊園地だ。
しかも華音が顔を出した場所は、遊園地の噴水である。
水面を見下ろすと、自身の姿が映る。無傷で、服も綺麗にそのままだ。
なぜこんな場所に、と疑問を浮かべながら噴水の縁をつかもうと手を伸ばした瞬間、不意にその手をつかまれて引っ張り上げられた。
「ひゃっ!?」
突然のことに思わず声をあげてしまう。
「ああ、悪いな。驚かせちまった。まさか、“ここ”に誰かが来るとは思わなかったからな」
所々に金色のメッシュが入った黒のショートヘアの男が、苦笑しながらそう言った。
「ひとりでヒマしてたんだ。おまえ、レンの友達だろ?」
.To be continued