13:また明日
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夕食後、レンはリビングにあるひとり用ソファーに座りながら、耳にイヤホンをつけて音楽プレイヤーを聴いていた。
華音から借りたCDの曲がダビング出来ているか、確認も含めている。
基本聴くのはロックがメインだが、バラード調の曲も型にはまれば嫌いではなかった。
今聴いている曲も、サビ部分もクセがあって思わずハミングがこぼれる。
「!」
不意に、後ろから肩を指でつつかれた。
肩越しに振り返ると、「ご機嫌だな」とそこに立っていた由良に声をかけられる。
唐突な登場に慣れたものだと思っていたが、由良の顔と油絵の具が付着したオレンジ色のツナギを見ただけで、アトリエの出来事を思い出し、気持ちがそわそわと落ち着かない。
それでもレンは平静を装った。
「当たりの曲を見つけると、上機嫌にもなるだろ」
「へー。オレはあんまり音楽聴かねえからなあ。うるせーし」
「今、聴いてたのはおとなしい方だから聴きやすいと思うけど」
騒音が嫌いそうなのはイメージ通りだ。
「どんなの?」
「え?」と聞き返すと同時に、片耳からイヤホンが外され、由良が自分の片耳にそれを付けて聴き始めた。
有線なので顔の距離が近い。
油絵の具の匂いと、不意打ちの距離感にレンの目がぐるぐると回った。
(近い近い近い! なんでこいつこの距離で平気なんだよ!?)
いつもならばそのまま心のセリフを口にしながら由良の顔を強く押し返しているところだが、フリーズしたまま動けない。
聴いている曲もバラード調なのでさらに居た堪れなかった。
「確かにゆっくりしてるな…。これ、この前モリヲの車で流してたやつか」
「う、うん…。よく覚えてるな…」
動揺のあまり声が震えないように気を付ける。
「前から好きなのか?」
「は!?」
「こいつらの曲」
「あ…。あ―――…。そうだな…。兄貴にすすめられたのがきっかけで聴き始めて…、今、ファン歴2年」
そう言って人差し指と中指を立てた。
「短ぇな」
「あたしからすれば長い方だって」
「ふーん」と言ってから由良はイヤホンを外し、指でいじりながら口を開く。
「……話聞いてると、仲良いよな、兄ちゃんと。お年頃なのに珍しい…」
「まあ、血は繋がってないし、普通の兄妹がどうかはわかんねーけど…、仲は良い方だったかもな。殴り合いのケンカもあったけど」
「じゃあ…」
由良が言いかけた時だ。
「あー、レンちゃんがイチャイチャしてるー」
由良とレンは同時に振り返る。
声をかけてきたのは華音だった。
「い、イチャイチャしてないし…!」
慌てて弁解しようとしたが「はいはい」と受け流される。
「レンちゃん、覚えてるよね?」
「! …ああ」
「華音はこれから健ちゃんに声かけてくるからね!」
「レンちゃんもお願いねー」と言って華音はリビングをあとにする。
「…なんの話だ?」
首を傾げる由良に、レンは音楽プレイヤー止めてイヤホンを片付けながら切り出した。
「……由良、1時間後、空いてる?」
「!」
由良は、さてはこれは、とはっとする。
(お誘いか…?)
自然な動きでツナギのチャックを下ろそうとしたので、レンは「なんで脱ごうとしてんの?」と構えた。
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