リクエスト:愚痴もほどほどに
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季節は秋。
夕暮れの街は少し肌寒い。
電話で葵に誘われ、太輔は伶達の家に遊びに行った帰りだった。
公園沿いの道を歩き、駅へと向かっていた。
平日だからなのか、人通りは少ない。
やや強めの風が吹き、上着の裾と髪がなびいた。
「さびぃ…」
体を竦ませ、両手を上着のポケットに入れる。
歩道橋の下をくぐった先に、公園の出入口に近付いてきた。
ふと足を止め、出入口にある、公園の名が刻まれた石柱の下にある青いポリバケツを見下ろした。
この中にはゴミが入ってる、と思うのが普通だろう。
だが、蓋に、黒ペンの文字で書かれた紙が貼ってあった。
“拾ってください”
「!?」
ポリバケツが、ガタリ、と音を立てたことに驚愕する。
(なんかいる…)
「中のものを拾ってくれ」ではなく、「ポリバケツそのものを拾ってくれ」という印象が強い。
動物を入れるにしては、酷い容れ物だ。
よほど酷い飼い主だったのだろう。
「……………」
家で動物は飼えない。
しかし、素通りするのも心が痛む。
それに、このままでは、ゴミ収集車に間違って持っていかれてしまうかもしれない。
せめて、一度そこから出し、ポリバケツからダンボールに取り換えてやろうと考えてから蓋を開けた。
大きな目が合う。
しかしそれには、耳と尻尾がないどころか毛皮にも覆われていなかった。
毛皮の代わりに、黒のツナギを着ている。
頭にはフードをかぶっていた。
(人間!? つーか…)
太輔と面識のある人物だった。
太輔と顔を合わせてびっくりしていたが、
「…拾ってくれ」
ポリバケツの中で三角座りしていた由良が小さく言った。
太輔は、何事もなかったかのように蓋を閉める。
その行動は、「なにも見なかった」と表していた。
そのままダッシュで逃走を図ったが、背後からなにかが転がってくる音が聞こえ、走りながら振り返る。
「拾え―――!!!」
ポリバケツで転がって追いかけてくる由良。
太輔の足より断然速い。
「げ!!」
太輔は仰天したあと、ポリバケツに轢かれた。
そのまま転がった由良は、
「で!!」
すぐ先に会った電柱に止められ、弾かれたポリバケツから飛び出る。
その場に、うつ伏せに倒れた2人。
公園から母親と一緒に出てきた子供が2人を指さす。
「ママー、あのお兄ちゃん達、あんなとこで寝てるよー」
「見ちゃいけません」
母親は子供の手を引っぱり、足早にそこを立ち去った。
運よく通報されず、残されたふたりはうつ伏せになりながら会話する。
「…なにしてんだよ。…レンは?」
「そいつに追い出された…。…とりあえず…、腹空かねえ?」
由良の腹から、グ~…、と間の抜けた腹の虫が鳴いた。
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