リクエスト:不運の嵐をそよ風に
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・梅
山奥の屋敷へとつれてこられた。
ここを住処にしているのだろうか。
街を離れるなんて、正直、予定外だった。
気絶したフリをし、車内の3人の会話を聞き取っていたので、3人の名前はわかった。
黒髪は由良、赤髪は華音、そして金髪は森尾という名前だ。
屋敷に到着し、私は森尾に抱えられ、屋敷の中に入った。
そこの2階の空き部屋のベッドに寝かせられる。
「時間が経って死体にならなきゃいいけどな」
由良はふざけるように言った。
森尾が「由良!」とたしなめる。
ふと、私の手に誰かが触れた。
「これは…、切り傷?」
声からして森尾だ。
私の右腕の傷口を指でなぞる。
それから包帯を巻いた。
「!」
私はその手を思わず払ってしまった。
その場にいた全員がほぼ同時に驚いたのがわかる。
潮時だと思い、私は目を覚ましたふうに見せかけた。
瞳を開け、ゆっくりと起き上がる。
「ここはどこ?」
目の前の森尾に尋ねた。
「あ…、ああ、オレ達の屋敷。ワケあって、ここに住んでるんだ」
私が突然起きたことに驚いた様子だったが、すぐに笑顔を向けた。
そんな顔、できればしてほしくない。
私は思わず目を逸らしたが、森尾に尋ねられた。
「キミの名前は?」
「…梅」
「家は?」
「……………」
家はない。
けれど私はそのことを言わなかった。
代わりにこう言う。
「警察には黙っててあげるから、お金ちょうだい」
森尾の目の前に手を差し出した。
「え?」
「ちょっと! なによそれ!」
華音が声を上げる。
由良は怒るどころか笑った。
「ははっ、当たり屋か。威勢がいいな、嬢ちゃん」
「……家出?」
「そう…だけど…」
森尾に真剣な顔で訊かれ、しどろもどろに答えてしまう。
お金だけでも受け取って、一刻も早くここから出て行きたいというのに。
「少しだけでもいいの。早く渡して! でないと…」
真上から、ブツリ、という音が聞こえた。
電灯が森尾の真上に落ちる。
「!! 健ちゃん!!」
「!!」
ガシャンッ!
電灯の破片が床に飛び散った。
由良が森尾に声をかける。
「おい、平気か?」
「く……」
森尾は、飛び散った破片で左腕を切った様子だ。
「ああ、まただ」と私は思った。
森尾は傷口を右手で押さえている。
森尾の傍に近寄って具合を見ていた華音は立ち上がった。
「きゅ、救急箱…」
テーブルの上に置かれている救急箱へと走り寄る。
バキッ!!
「キャ―――!!」
突然、華音の足下の床が抜けた。
華音の右脚がはまってしまう。
「おいおい、なんだってんだ」
由良が華音の手を引っぱり、床から足を抜いてやった。
パアン!!
「!?」
とどめは強風により、窓ガラスが割れてしまった。
奇跡に近い不運続きに、3人が一斉に私を見つめる。
だから、早く出て行きたかったのに…
*****
連れてこられた場所は、エントランスホールだった。
リビングに向かっていた華音が、おじさんをつれて戻ってきた。
なんだか、あまり好きになれない空気を持った人だ。
「勝又さん、どう?」
勝又、と華音に呼ばれたおじさんが私に近付き、興味深そうな目で私の見つめる。
なにもかも見透かされるような目だ。
たじろがずにはいられない。
その背後で、森尾が「大丈夫だよ」と優しく声をかけてくれる。
「…人間だよ。他の人間と少し空気が違うがね」
私から顔を上げた勝又がそう言った。
なんだか、酷い言われようである。
「え~。人間(クズ)かよ~。期待してたのに…」
由良が残念そうに言った。
少し腹が立つ。
「……もう出て行くから…」
呟くように言って、扉へと向かった。
「死神」だと思われる前に、早くここを出て行きたかったから。
「ちょっと待って」
後ろから森尾に手首をつかまれた。
私は振り返り、振り解こうとする。
「放し……」
「今、何時だと思ってるんだ!」
「……はい?」
気がつけば、もう午前12時だ。
「出た。オカン」
由良の呟きが耳に入る。
森尾は私の手首をつかみながら、たしなめるように言った。
「女の子をこんな時間に外に出せるワケがないだろ!」
「いや…、帰り道くらいひとりで…」
「服も汚れてるし、今日は泊まっていきなよ。着替えも風呂もベッドもあるし、1階なら、空き部屋がいっぱいあるからそこを使うといい」
なんだか、勝手に話が進んでいる。
このお兄さん、金髪のクセに一番真面目そうだ。
「だから…」
「ひとりで帰れる」と言おうとしたところで、また遮られた。
「明日の午後、家まで送ってあげるから!」
「……………」
勝てない…。
森尾は勝又に振り向き、頭を下げる。
「すみません、勝又さん。勝手に…」
「かまわないよ」
勝又は笑顔で頷いた。
余計なこと…、しなくていいのに…。
さっきの見ても、まだ私のせいだと思ってないのかな。
そこで私は気がついた。
森尾の左腕の傷が消えていることに。
華音の右脚もだ。
…?
あれ?
さっき…、あそこに切り傷できてたよね…?
目の前の邪魔な自分の前髪をどけて確認する。
.
山奥の屋敷へとつれてこられた。
ここを住処にしているのだろうか。
街を離れるなんて、正直、予定外だった。
気絶したフリをし、車内の3人の会話を聞き取っていたので、3人の名前はわかった。
黒髪は由良、赤髪は華音、そして金髪は森尾という名前だ。
屋敷に到着し、私は森尾に抱えられ、屋敷の中に入った。
そこの2階の空き部屋のベッドに寝かせられる。
「時間が経って死体にならなきゃいいけどな」
由良はふざけるように言った。
森尾が「由良!」とたしなめる。
ふと、私の手に誰かが触れた。
「これは…、切り傷?」
声からして森尾だ。
私の右腕の傷口を指でなぞる。
それから包帯を巻いた。
「!」
私はその手を思わず払ってしまった。
その場にいた全員がほぼ同時に驚いたのがわかる。
潮時だと思い、私は目を覚ましたふうに見せかけた。
瞳を開け、ゆっくりと起き上がる。
「ここはどこ?」
目の前の森尾に尋ねた。
「あ…、ああ、オレ達の屋敷。ワケあって、ここに住んでるんだ」
私が突然起きたことに驚いた様子だったが、すぐに笑顔を向けた。
そんな顔、できればしてほしくない。
私は思わず目を逸らしたが、森尾に尋ねられた。
「キミの名前は?」
「…梅」
「家は?」
「……………」
家はない。
けれど私はそのことを言わなかった。
代わりにこう言う。
「警察には黙っててあげるから、お金ちょうだい」
森尾の目の前に手を差し出した。
「え?」
「ちょっと! なによそれ!」
華音が声を上げる。
由良は怒るどころか笑った。
「ははっ、当たり屋か。威勢がいいな、嬢ちゃん」
「……家出?」
「そう…だけど…」
森尾に真剣な顔で訊かれ、しどろもどろに答えてしまう。
お金だけでも受け取って、一刻も早くここから出て行きたいというのに。
「少しだけでもいいの。早く渡して! でないと…」
真上から、ブツリ、という音が聞こえた。
電灯が森尾の真上に落ちる。
「!! 健ちゃん!!」
「!!」
ガシャンッ!
電灯の破片が床に飛び散った。
由良が森尾に声をかける。
「おい、平気か?」
「く……」
森尾は、飛び散った破片で左腕を切った様子だ。
「ああ、まただ」と私は思った。
森尾は傷口を右手で押さえている。
森尾の傍に近寄って具合を見ていた華音は立ち上がった。
「きゅ、救急箱…」
テーブルの上に置かれている救急箱へと走り寄る。
バキッ!!
「キャ―――!!」
突然、華音の足下の床が抜けた。
華音の右脚がはまってしまう。
「おいおい、なんだってんだ」
由良が華音の手を引っぱり、床から足を抜いてやった。
パアン!!
「!?」
とどめは強風により、窓ガラスが割れてしまった。
奇跡に近い不運続きに、3人が一斉に私を見つめる。
だから、早く出て行きたかったのに…
*****
連れてこられた場所は、エントランスホールだった。
リビングに向かっていた華音が、おじさんをつれて戻ってきた。
なんだか、あまり好きになれない空気を持った人だ。
「勝又さん、どう?」
勝又、と華音に呼ばれたおじさんが私に近付き、興味深そうな目で私の見つめる。
なにもかも見透かされるような目だ。
たじろがずにはいられない。
その背後で、森尾が「大丈夫だよ」と優しく声をかけてくれる。
「…人間だよ。他の人間と少し空気が違うがね」
私から顔を上げた勝又がそう言った。
なんだか、酷い言われようである。
「え~。人間(クズ)かよ~。期待してたのに…」
由良が残念そうに言った。
少し腹が立つ。
「……もう出て行くから…」
呟くように言って、扉へと向かった。
「死神」だと思われる前に、早くここを出て行きたかったから。
「ちょっと待って」
後ろから森尾に手首をつかまれた。
私は振り返り、振り解こうとする。
「放し……」
「今、何時だと思ってるんだ!」
「……はい?」
気がつけば、もう午前12時だ。
「出た。オカン」
由良の呟きが耳に入る。
森尾は私の手首をつかみながら、たしなめるように言った。
「女の子をこんな時間に外に出せるワケがないだろ!」
「いや…、帰り道くらいひとりで…」
「服も汚れてるし、今日は泊まっていきなよ。着替えも風呂もベッドもあるし、1階なら、空き部屋がいっぱいあるからそこを使うといい」
なんだか、勝手に話が進んでいる。
このお兄さん、金髪のクセに一番真面目そうだ。
「だから…」
「ひとりで帰れる」と言おうとしたところで、また遮られた。
「明日の午後、家まで送ってあげるから!」
「……………」
勝てない…。
森尾は勝又に振り向き、頭を下げる。
「すみません、勝又さん。勝手に…」
「かまわないよ」
勝又は笑顔で頷いた。
余計なこと…、しなくていいのに…。
さっきの見ても、まだ私のせいだと思ってないのかな。
そこで私は気がついた。
森尾の左腕の傷が消えていることに。
華音の右脚もだ。
…?
あれ?
さっき…、あそこに切り傷できてたよね…?
目の前の邪魔な自分の前髪をどけて確認する。
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