リクエスト:不運の嵐をそよ風に
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
・森尾
買い物の帰り、たいやきの匂いにつられた2人にそれを買ってやったあと、オレ達は車を停めた駐車場へと向かっていた。
「待ちなさい。そこの金髪のあなた」
その時、シャッターが閉まった店の前にいる、あからさまな占い師の格好をして座っているオバサンに呼び止められた。
オレ達は同時に足を止める。
「はい?」
葬式にでも行くのかと聞きたいくらい上下の服は黒く、化粧が濃くて香りが少しきつめだ。
由良が露骨に顔をしかめるので、小声で注意する。
占い師は構わず言葉を続けた。
「あなた、今日、不運を拾って帰るわ」
「不運?」
オレは首を傾げる。
腕時計を見ると、もう夜の10時だ。
あと2時間で「今日」が終了するというのに。
「それを拾うかどうかはあなたの選択次第よ。間違って拾っても、すぐに捨てれば問題はないわ」
「由良ならともかく、健ちゃんはゴミとか拾ってきたりしないもんねー」
華音はオレの腕に自分の腕を絡ませ、「ねー」と言った。
オレもここで「ねー」と返すべきなのだろうか。
「おい、早く行こうぜ」
匂いに耐えられなくなった由良は先に歩き出した。
よほど香水の匂いがダメなようだ。
たいやきの時でも、匂いを嗅ぎつけて見つけたのだ。
人より鼻が利くのだろう。
「あ…、ああ…」
一応、礼儀として占い師に会釈したあと、オレは華音をつれて由良のあとを追った。
*****
車に乗って駐車場を出たあと、オレは屋敷へ戻ろうとハンドルを動かす。
華音は助手席でジュースを飲み、由良は後部座席で眠っていた。
街を出る手前で、それは突然起こった。
「!!」
ヘッドライトに人影が映り、慌ててブレーキを思いっきり踏む。
「きゃ!?」
「いて!」
急ブレーキだったため、華音は声を上げ、由良は運転席の背もたれに顔面をぶつけてしまった。
由良のようにならないために、後部座席でもシートベルトを心がけるように。
「なんだ?」
由良は顔を押さえ、フロントガラスの先を見る。
オレはヘッドライトに映った人影がなくなっていることに気付いた。
「?」
気になって、シートベルトをはずし、車から降りる。
「!!」
車の前に、高校生くらいの女の子がうつ伏せで倒れていた。
紺色の学生服を着ている。
あとから降りた華音もそれを見て仰天した。
「うっそ、健ちゃん、やっちゃったの?」
オレは慌てて首を横に振る。
「違う!」
車のボンネットに視線を移す。
人が当たったのなら、凹んでいるはずだ。
その事故跡はない。
しかし、その女の子の右腕からは血が流れていた。
当てた当ててない関係なく、放っておける状態ではない。
オレは急いでそのコに近付き、抱きかかえた。
「どうするの!?」
「一度、つれていく」
「ええ!?」
華音の驚きの声を無視し、オレは後部座席にそのコを乗せる。
ちゃんとシートベルトを締めてあげた。
隣の由良は困惑した表情を浮かべる。
「おいおい、つれて帰って大丈夫か? 誘拐犯は困るぜ。オレがキレーに消してやろうか?」
「ま、待て由良…。いきなりそんな…」
「んん? こいつ、えらく汚れてるな」
シートベルトを締めたときに由良がそう言ったので、そのコに振り返る。
確かに髪はあまり手入れされず、前髪は目の下まで伸ばされていた。
肌も泥などで汚れている。
「とにかく、早くつれていこう。いつ他の車が来るかわからない」
前を向く直前、前髪越しの彼女の目が合った気がしたのは、気のせいだろうか。
.
買い物の帰り、たいやきの匂いにつられた2人にそれを買ってやったあと、オレ達は車を停めた駐車場へと向かっていた。
「待ちなさい。そこの金髪のあなた」
その時、シャッターが閉まった店の前にいる、あからさまな占い師の格好をして座っているオバサンに呼び止められた。
オレ達は同時に足を止める。
「はい?」
葬式にでも行くのかと聞きたいくらい上下の服は黒く、化粧が濃くて香りが少しきつめだ。
由良が露骨に顔をしかめるので、小声で注意する。
占い師は構わず言葉を続けた。
「あなた、今日、不運を拾って帰るわ」
「不運?」
オレは首を傾げる。
腕時計を見ると、もう夜の10時だ。
あと2時間で「今日」が終了するというのに。
「それを拾うかどうかはあなたの選択次第よ。間違って拾っても、すぐに捨てれば問題はないわ」
「由良ならともかく、健ちゃんはゴミとか拾ってきたりしないもんねー」
華音はオレの腕に自分の腕を絡ませ、「ねー」と言った。
オレもここで「ねー」と返すべきなのだろうか。
「おい、早く行こうぜ」
匂いに耐えられなくなった由良は先に歩き出した。
よほど香水の匂いがダメなようだ。
たいやきの時でも、匂いを嗅ぎつけて見つけたのだ。
人より鼻が利くのだろう。
「あ…、ああ…」
一応、礼儀として占い師に会釈したあと、オレは華音をつれて由良のあとを追った。
*****
車に乗って駐車場を出たあと、オレは屋敷へ戻ろうとハンドルを動かす。
華音は助手席でジュースを飲み、由良は後部座席で眠っていた。
街を出る手前で、それは突然起こった。
「!!」
ヘッドライトに人影が映り、慌ててブレーキを思いっきり踏む。
「きゃ!?」
「いて!」
急ブレーキだったため、華音は声を上げ、由良は運転席の背もたれに顔面をぶつけてしまった。
由良のようにならないために、後部座席でもシートベルトを心がけるように。
「なんだ?」
由良は顔を押さえ、フロントガラスの先を見る。
オレはヘッドライトに映った人影がなくなっていることに気付いた。
「?」
気になって、シートベルトをはずし、車から降りる。
「!!」
車の前に、高校生くらいの女の子がうつ伏せで倒れていた。
紺色の学生服を着ている。
あとから降りた華音もそれを見て仰天した。
「うっそ、健ちゃん、やっちゃったの?」
オレは慌てて首を横に振る。
「違う!」
車のボンネットに視線を移す。
人が当たったのなら、凹んでいるはずだ。
その事故跡はない。
しかし、その女の子の右腕からは血が流れていた。
当てた当ててない関係なく、放っておける状態ではない。
オレは急いでそのコに近付き、抱きかかえた。
「どうするの!?」
「一度、つれていく」
「ええ!?」
華音の驚きの声を無視し、オレは後部座席にそのコを乗せる。
ちゃんとシートベルトを締めてあげた。
隣の由良は困惑した表情を浮かべる。
「おいおい、つれて帰って大丈夫か? 誘拐犯は困るぜ。オレがキレーに消してやろうか?」
「ま、待て由良…。いきなりそんな…」
「んん? こいつ、えらく汚れてるな」
シートベルトを締めたときに由良がそう言ったので、そのコに振り返る。
確かに髪はあまり手入れされず、前髪は目の下まで伸ばされていた。
肌も泥などで汚れている。
「とにかく、早くつれていこう。いつ他の車が来るかわからない」
前を向く直前、前髪越しの彼女の目が合った気がしたのは、気のせいだろうか。
.