短編:君と似た温もり
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・奈美
「「!!?」」
一度家に戻ってきた私達は、我が目を疑った。
「キャンッ♪」
「あら、遅かったのね」
玄関で、母さんに体をタオルで拭いてもらっている犬がそこにいたのだ。
呑気に「キャンッ」と再び吠える。
「待って。今、タオル持ってくるから…」
母さんは犬を拭いたタオルを持って、廊下を渡って行った。
それを見送った私の中で、あるスイッチが入る。
「キャン!?」
私を見上げた犬が腰を抜かした。
私が氷の爪を構えていたからだ。
「どれだけ…心配したと…!」
構えた手が怒りで震える。
叶の両腕が、私の両脇にかけられた。
「ナ、ナミさん! どーどー」
私の怒りは収まらず、叶に止められながら、母さんが戻ってくるまでそれは続いた。
「ほら、犬! おまえも謝れ!」
「キャインッ」
犬はその場で伏せをし、両方の前足に顔をうずめて謝り続けた。
翌日、ようやく犬の飼い主が見つかった。
電話がかかってきて住所を教え、数時間後、母子が車でやってきた。
門の前に停め、白の軽車から降りる。
私と叶と母さんの3人で出迎えた。
「キャンッ、キャンッ」
犬は女の子のもとへ駆け寄る。
「会いたかったー!」
女の子は飛びついて来た犬を受け止め、嬉しさのあまり泣き顔になった。
「本当にありがとうございました。このコ、仔犬がいなくなってずっと塞ぎこんでたんです」
母親は礼を言ったあと、犬と戯れている女の子に視線を落とす。
母さんは「よほど心配だったんですね…」と女の子に目を移して言った。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう!」
「もう逃がしちゃダメだぞ」
叶が優しく女の子の頭を撫でる。
女の子は「うん!」と明るく答えた。
隣で母親と母さんが話している間、私達はもう少し犬と戯れる。
今のうちに思いっきり抱きしめておいた。
覚悟していた、お別れの時間はすぐに来た。
母親は私達にもう一度礼をしたあと、運転席に乗り込んだ。
「ばいばーい」
女の子は手を振り、助手席の扉を開けて犬の名を呼んだ。
「ナミ!」
叶と母さんがこちらに顔を向ける。
私は思わず自分自身を指さした。
「キャンッ」
ばれた犬が助手席の中に飛び込む。
窓から顔を出した女の子はまた手を振った。
私達も振り返す。
車が見えなくなったあと、叶は腹を抱えて笑いだした。
「……なにを笑ってる…」
「だ…、だって、ナミって…」
母さんまで、口に手を当てて笑っている。
「もう…」と腹を立てて門をくぐろうとして、立ち止まった。
ふと思ったのだ。
もし…、最初に名前を知っていたら…?
「おいで、ナミ」
「ナミー、一緒にフロ入ろうぜー」
「ナミはカワイイなぁ」
「今日は一緒に寝ような、ナミ」
数々の言葉攻め。
考えただけでも顔から火が出た。
フラリと門に寄りかかる。
「ナミ!?」
叶がびっくりして駆け寄ってきた。
私の両肩をつかんで揺する。
「ナミ、大丈夫か!? ナミ! ナミ!?」
「呼ぶなあ!!!」
ゴッ!!
「ぐは!!」
恥ずかしさが頂点に達し、叶の顔面に回し蹴りを食らわせた。
叶は横に吹っ飛び、門の扉に体を打ちつける。
「あらあら」と母さんが叶に駆け寄った。
私は気に留めることなく、家の中に駆け込む。
*****
しばらく、自分の部屋のベッドにうつ伏せになり、頭を冷やしたあと、ベッドから立ち上がった。
叶に謝らなければ、と1階におりようとしたとき、目の端に、机上に置きっ放しにしておいた現像したての写真が映った。
手に取り、確認していく。
「!」
その中に、撮った覚えのない写真が混ざっていた。
座敷で、私が犬に腕枕をして眠っている写真だ。
写真の端には、カメラ目線でVサインをしている笑顔の叶が写っていた。
眠っている間に撮られてしまったらしい。
口元がほころぶ。
「ナミー」
下から叶の声が聞こえる。
行かなくちゃ…。
叶が勝手に撮った1枚を抜き取り、生徒手帳の中に大事に挟んだ。
.END
「「!!?」」
一度家に戻ってきた私達は、我が目を疑った。
「キャンッ♪」
「あら、遅かったのね」
玄関で、母さんに体をタオルで拭いてもらっている犬がそこにいたのだ。
呑気に「キャンッ」と再び吠える。
「待って。今、タオル持ってくるから…」
母さんは犬を拭いたタオルを持って、廊下を渡って行った。
それを見送った私の中で、あるスイッチが入る。
「キャン!?」
私を見上げた犬が腰を抜かした。
私が氷の爪を構えていたからだ。
「どれだけ…心配したと…!」
構えた手が怒りで震える。
叶の両腕が、私の両脇にかけられた。
「ナ、ナミさん! どーどー」
私の怒りは収まらず、叶に止められながら、母さんが戻ってくるまでそれは続いた。
「ほら、犬! おまえも謝れ!」
「キャインッ」
犬はその場で伏せをし、両方の前足に顔をうずめて謝り続けた。
翌日、ようやく犬の飼い主が見つかった。
電話がかかってきて住所を教え、数時間後、母子が車でやってきた。
門の前に停め、白の軽車から降りる。
私と叶と母さんの3人で出迎えた。
「キャンッ、キャンッ」
犬は女の子のもとへ駆け寄る。
「会いたかったー!」
女の子は飛びついて来た犬を受け止め、嬉しさのあまり泣き顔になった。
「本当にありがとうございました。このコ、仔犬がいなくなってずっと塞ぎこんでたんです」
母親は礼を言ったあと、犬と戯れている女の子に視線を落とす。
母さんは「よほど心配だったんですね…」と女の子に目を移して言った。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう!」
「もう逃がしちゃダメだぞ」
叶が優しく女の子の頭を撫でる。
女の子は「うん!」と明るく答えた。
隣で母親と母さんが話している間、私達はもう少し犬と戯れる。
今のうちに思いっきり抱きしめておいた。
覚悟していた、お別れの時間はすぐに来た。
母親は私達にもう一度礼をしたあと、運転席に乗り込んだ。
「ばいばーい」
女の子は手を振り、助手席の扉を開けて犬の名を呼んだ。
「ナミ!」
叶と母さんがこちらに顔を向ける。
私は思わず自分自身を指さした。
「キャンッ」
ばれた犬が助手席の中に飛び込む。
窓から顔を出した女の子はまた手を振った。
私達も振り返す。
車が見えなくなったあと、叶は腹を抱えて笑いだした。
「……なにを笑ってる…」
「だ…、だって、ナミって…」
母さんまで、口に手を当てて笑っている。
「もう…」と腹を立てて門をくぐろうとして、立ち止まった。
ふと思ったのだ。
もし…、最初に名前を知っていたら…?
「おいで、ナミ」
「ナミー、一緒にフロ入ろうぜー」
「ナミはカワイイなぁ」
「今日は一緒に寝ような、ナミ」
数々の言葉攻め。
考えただけでも顔から火が出た。
フラリと門に寄りかかる。
「ナミ!?」
叶がびっくりして駆け寄ってきた。
私の両肩をつかんで揺する。
「ナミ、大丈夫か!? ナミ! ナミ!?」
「呼ぶなあ!!!」
ゴッ!!
「ぐは!!」
恥ずかしさが頂点に達し、叶の顔面に回し蹴りを食らわせた。
叶は横に吹っ飛び、門の扉に体を打ちつける。
「あらあら」と母さんが叶に駆け寄った。
私は気に留めることなく、家の中に駆け込む。
*****
しばらく、自分の部屋のベッドにうつ伏せになり、頭を冷やしたあと、ベッドから立ち上がった。
叶に謝らなければ、と1階におりようとしたとき、目の端に、机上に置きっ放しにしておいた現像したての写真が映った。
手に取り、確認していく。
「!」
その中に、撮った覚えのない写真が混ざっていた。
座敷で、私が犬に腕枕をして眠っている写真だ。
写真の端には、カメラ目線でVサインをしている笑顔の叶が写っていた。
眠っている間に撮られてしまったらしい。
口元がほころぶ。
「ナミー」
下から叶の声が聞こえる。
行かなくちゃ…。
叶が勝手に撮った1枚を抜き取り、生徒手帳の中に大事に挟んだ。
.END