短編:番犬は咎人と語る
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・レン
「交…代…?」
休憩室で休憩をとっていたら、署長が中に入ってきたと同時にそう言われた。
署長はあたしの向かいに座り、コーヒーを淹れる。
「ああ。1ヶ月、寮で休暇をとってもらう」
休暇というより、謹慎処分だ。
「ずいぶんと急な話ですね」
「キミは由良という死刑囚に情があると聞いてね」
ギクリとする。
署長は言葉を続けた。
「脱獄を目論んでいるとまでウワサされている…」
「あたしはそんなことしない! 署長だってわかってるはずだ! 何年の付き合いだと…」
パイプ椅子から立ち上がり、思わず素に戻ってしまった。
「では、こだわる理由もないはずだ」
「…っ」
「キミには、この仕事を1ヶ月の間、おりてもらう。あの死刑囚の死刑執行後まで…」
*****
寮にある自分の部屋に戻ったあたしは、フローリングの床の上で仰向けになってぼんやりと考えた。
―――1ヶ月後…。
腕時計の針を見ると、午前1時をまわっていた。
ちっとも眠れる気がしない。
起き上がって窓を開け、目と鼻の先にある監獄を眺めた。
この建物が邪魔で、あたしの部屋の2階の窓からでは空が満足に見えない。
下から話し声が聞こえた。
看守の2人だ。
「あの由良っていう死刑囚、面倒な奴だな」
「!」
あたしは急いで電気を消し、窓から聞き耳を立てる。
「罰を受けても、怯えもしない」
「死刑も痛みも怖くないのか」
「何度撲っても、罵声を浴びせても、なにも言い返さない。無口で気味の悪い…」
―――無口? あいつが?
信じられない言葉だ。
「けど、最初「レンはどうなった?」と聞かれた」
「北条レンのことか。なんて答えたんだ?」
「正直に「謹慎処分を受けた」とだけ言って、撃ってやったよ」
「やっぱ、あのウワサってマジなんじゃ…」
「バカ言うな。あの北条だぞ。署長のお気に入りだ」
「だよなー…」
悪い意味なのか、良い意味なのか。
「おい、そろそろ時間だぞ」
そう言われた看守は腕時計を確認にし、監獄へと戻った。
もうひとりはそのまま自分の部屋へと戻る。
あたしは窓を閉め、再び寝転んだ。
「……………」
起き上がり、壁に背をもたせかけて座る。
この方が落ち着くからだ。
今頃、由良は先程の看守に痛めつけられているのだろう。
当初のあたしの時のように。
―――1ヶ月後…、戻った時には…、もう…。
カラの檻を思い浮かべてしまった。
同時に、またどこかが痛んだ。
あの時の並ではない。
瞳から溢れ出たのは、死刑囚が諦めや最後の抵抗を見せる時に見せた、アレだった。
.
「交…代…?」
休憩室で休憩をとっていたら、署長が中に入ってきたと同時にそう言われた。
署長はあたしの向かいに座り、コーヒーを淹れる。
「ああ。1ヶ月、寮で休暇をとってもらう」
休暇というより、謹慎処分だ。
「ずいぶんと急な話ですね」
「キミは由良という死刑囚に情があると聞いてね」
ギクリとする。
署長は言葉を続けた。
「脱獄を目論んでいるとまでウワサされている…」
「あたしはそんなことしない! 署長だってわかってるはずだ! 何年の付き合いだと…」
パイプ椅子から立ち上がり、思わず素に戻ってしまった。
「では、こだわる理由もないはずだ」
「…っ」
「キミには、この仕事を1ヶ月の間、おりてもらう。あの死刑囚の死刑執行後まで…」
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寮にある自分の部屋に戻ったあたしは、フローリングの床の上で仰向けになってぼんやりと考えた。
―――1ヶ月後…。
腕時計の針を見ると、午前1時をまわっていた。
ちっとも眠れる気がしない。
起き上がって窓を開け、目と鼻の先にある監獄を眺めた。
この建物が邪魔で、あたしの部屋の2階の窓からでは空が満足に見えない。
下から話し声が聞こえた。
看守の2人だ。
「あの由良っていう死刑囚、面倒な奴だな」
「!」
あたしは急いで電気を消し、窓から聞き耳を立てる。
「罰を受けても、怯えもしない」
「死刑も痛みも怖くないのか」
「何度撲っても、罵声を浴びせても、なにも言い返さない。無口で気味の悪い…」
―――無口? あいつが?
信じられない言葉だ。
「けど、最初「レンはどうなった?」と聞かれた」
「北条レンのことか。なんて答えたんだ?」
「正直に「謹慎処分を受けた」とだけ言って、撃ってやったよ」
「やっぱ、あのウワサってマジなんじゃ…」
「バカ言うな。あの北条だぞ。署長のお気に入りだ」
「だよなー…」
悪い意味なのか、良い意味なのか。
「おい、そろそろ時間だぞ」
そう言われた看守は腕時計を確認にし、監獄へと戻った。
もうひとりはそのまま自分の部屋へと戻る。
あたしは窓を閉め、再び寝転んだ。
「……………」
起き上がり、壁に背をもたせかけて座る。
この方が落ち着くからだ。
今頃、由良は先程の看守に痛めつけられているのだろう。
当初のあたしの時のように。
―――1ヶ月後…、戻った時には…、もう…。
カラの檻を思い浮かべてしまった。
同時に、またどこかが痛んだ。
あの時の並ではない。
瞳から溢れ出たのは、死刑囚が諦めや最後の抵抗を見せる時に見せた、アレだった。
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