短編:番犬は咎人と語る
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・由良
オレの死刑まで、あと2ヶ月と18日。
食堂でメシを食う時は、手枷をはずされる。
食堂の出入口の扉の前では、レンが警棒を手に見張っていた。
オレは給仕係が配ったメシをトレーにのせ、席につく。
正直、あまりおいしくない。
不味いメシでも、デザートがついてれば文句なしなのに。
食堂にいる死刑囚は、オレを合わせて50人。
他の死刑囚から聞いた話じゃ、この監獄にいる死刑囚は、全部で250はいるらしい。
いや、死刑囚用の檻が250部屋と言った方がいいかもしれない。
減ったり増えたりするからだ。
監獄は10階建てで、1階~5階まで死刑囚用の部屋が50部屋ずつあるようだ。
死刑台は地下にあると聞く。
この中にいる奴でオレより先に来た奴は、もしかしたら、これが最後の食事になるかもしれない。
オレだったら、死ぬ前は菓子類のひとつやふたつは食いたいな。
硬いごはんを口にしながらそう思った。
その時、不意に左肩を後ろからつかまれた。
「!」
撃たれたところだったため、痛みで顔をしかめる。
振り返ると、大柄の男がいた。
見覚えのない奴だ。
入ってきたばかりかもしれない。
「おまえが由良か? ひとりだけ首輪つけてるからすぐにわかったぜ」
そう、オレの首には鎖のない首輪がつけられたままだ。
大柄の死刑囚は下品に笑う。
「げげげ。53人も殺したってホントかよ」
「54人だ」
臭い口臭に、汗の臭い。
メシがさらにマズくなる。
「どうやって人を殺したんだ? オレよりチビのクセに!!」
コブシが振り上げられ、オレに向かって降ってきた。
オレは横に飛び、コブシを避ける。
ガシャアンッ
オレのメシがひっくり返った。
他の死刑囚達が何事かとこちらに注目する。
「メシ時ぐらいゆっくりさせろよ」
レンに蜂の巣にされるだろ。
大柄の死刑囚がこちらに振り返り、フォークとナイフを投げつける。
オレは顔を逸らして避けた。
「ぎゃああ!」
通過したフォークとナイフは別の死刑囚の背中や足に刺さり、死刑囚達は悲鳴を上げる。
クレイジーな奴が転校してきたもんだ。
そいつの攻撃は続けられる。
椅子や金属類などを続けざまに投げつけた。
オレはそれらすべてを、伏せたり反らしたりで避ける。
足枷が重く、早くも疲れてきた。
大柄の死刑囚が続いてテーブルを投げようと手をつけたとき、
「行儀の悪ぃ奴だな」
ゴッ!!
大柄の死刑囚の後頭部にレンの警棒が炸裂する。
痛そうな音がした。
しかし、大柄の死刑囚は見た目のとおり、頑丈な奴だった。
「お…、おまえええ!」
怒りで顔を真っ赤にしながら、コブシを振り上げる。
レンはテーブルの上にあった金属をつかみ、投げた。
ドス!
「ぐああ!」
大柄の死刑囚の手首にフォークが突き刺さる。
仰け反ったと同時に、レンはホルスターから拳銃を取り出し、そいつに向けた。
ドドン!
「が…っ」
肋骨と首に一発ずつ。
ゴッ!!
トドメはアゴにいい蹴りが入り(砕けたかも)、大柄の死刑囚は仰向けに倒れて気を失った。
「コエー…」
「一家惨殺犯を…」
見ていた死刑囚達は怯えた目でレンを見つめている。
静けさが食堂を支配した。
レンはこちらに向かってくる。
「強ぇな」
「……………」
怒らせたかな、と思ったが、レンは警棒を縮めて腰のベルトに挟んだ。
そのあと、テーブルにひっくり返っていたトレーを手にし、オレに差し出した。
「……給仕係に頼んでやるから、もう一回メシもらってこい」
顔は無表情だ。
オレは撲られる覚悟で尋ねる。
「喧嘩両成敗でボコらねえの?」
「おまえは悪くない」
嬉しいこと言ってくれるねえ。
「ありがとな」
「………腹が減ったと喚かれても、うざい」
礼を言っただけなのに、なんで腑に落ちない顔になるんだか。
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オレの死刑まで、あと2ヶ月と18日。
食堂でメシを食う時は、手枷をはずされる。
食堂の出入口の扉の前では、レンが警棒を手に見張っていた。
オレは給仕係が配ったメシをトレーにのせ、席につく。
正直、あまりおいしくない。
不味いメシでも、デザートがついてれば文句なしなのに。
食堂にいる死刑囚は、オレを合わせて50人。
他の死刑囚から聞いた話じゃ、この監獄にいる死刑囚は、全部で250はいるらしい。
いや、死刑囚用の檻が250部屋と言った方がいいかもしれない。
減ったり増えたりするからだ。
監獄は10階建てで、1階~5階まで死刑囚用の部屋が50部屋ずつあるようだ。
死刑台は地下にあると聞く。
この中にいる奴でオレより先に来た奴は、もしかしたら、これが最後の食事になるかもしれない。
オレだったら、死ぬ前は菓子類のひとつやふたつは食いたいな。
硬いごはんを口にしながらそう思った。
その時、不意に左肩を後ろからつかまれた。
「!」
撃たれたところだったため、痛みで顔をしかめる。
振り返ると、大柄の男がいた。
見覚えのない奴だ。
入ってきたばかりかもしれない。
「おまえが由良か? ひとりだけ首輪つけてるからすぐにわかったぜ」
そう、オレの首には鎖のない首輪がつけられたままだ。
大柄の死刑囚は下品に笑う。
「げげげ。53人も殺したってホントかよ」
「54人だ」
臭い口臭に、汗の臭い。
メシがさらにマズくなる。
「どうやって人を殺したんだ? オレよりチビのクセに!!」
コブシが振り上げられ、オレに向かって降ってきた。
オレは横に飛び、コブシを避ける。
ガシャアンッ
オレのメシがひっくり返った。
他の死刑囚達が何事かとこちらに注目する。
「メシ時ぐらいゆっくりさせろよ」
レンに蜂の巣にされるだろ。
大柄の死刑囚がこちらに振り返り、フォークとナイフを投げつける。
オレは顔を逸らして避けた。
「ぎゃああ!」
通過したフォークとナイフは別の死刑囚の背中や足に刺さり、死刑囚達は悲鳴を上げる。
クレイジーな奴が転校してきたもんだ。
そいつの攻撃は続けられる。
椅子や金属類などを続けざまに投げつけた。
オレはそれらすべてを、伏せたり反らしたりで避ける。
足枷が重く、早くも疲れてきた。
大柄の死刑囚が続いてテーブルを投げようと手をつけたとき、
「行儀の悪ぃ奴だな」
ゴッ!!
大柄の死刑囚の後頭部にレンの警棒が炸裂する。
痛そうな音がした。
しかし、大柄の死刑囚は見た目のとおり、頑丈な奴だった。
「お…、おまえええ!」
怒りで顔を真っ赤にしながら、コブシを振り上げる。
レンはテーブルの上にあった金属をつかみ、投げた。
ドス!
「ぐああ!」
大柄の死刑囚の手首にフォークが突き刺さる。
仰け反ったと同時に、レンはホルスターから拳銃を取り出し、そいつに向けた。
ドドン!
「が…っ」
肋骨と首に一発ずつ。
ゴッ!!
トドメはアゴにいい蹴りが入り(砕けたかも)、大柄の死刑囚は仰向けに倒れて気を失った。
「コエー…」
「一家惨殺犯を…」
見ていた死刑囚達は怯えた目でレンを見つめている。
静けさが食堂を支配した。
レンはこちらに向かってくる。
「強ぇな」
「……………」
怒らせたかな、と思ったが、レンは警棒を縮めて腰のベルトに挟んだ。
そのあと、テーブルにひっくり返っていたトレーを手にし、オレに差し出した。
「……給仕係に頼んでやるから、もう一回メシもらってこい」
顔は無表情だ。
オレは撲られる覚悟で尋ねる。
「喧嘩両成敗でボコらねえの?」
「おまえは悪くない」
嬉しいこと言ってくれるねえ。
「ありがとな」
「………腹が減ったと喚かれても、うざい」
礼を言っただけなのに、なんで腑に落ちない顔になるんだか。
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