短編:過去拍手文
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・面影(由良視点)
オレとあいつが生き別れになって、まだ再会していない頃の話。
8ヶ月間世話になった女のところから出てちょっとの頃かな。
口の中でイチゴ味の飴玉を転がしながら、歩道橋の階段に座っていた時だ。
冬が近くて肌寒かったし、靴なんて履いてないから足の裏は痛いくらい冷たい。
そんな姿を見兼ねたのか、面倒見のよさそうな女が近付いてきた。
自慢じゃないけど、あいつと出会ってない頃もよくあった。
母性本能なのか、惚れられたのか、好奇心なのか。
声をかけてくる女の理由は様々だ。
でも、冬を過ごすには便利だった。
この女も、野良猫に声をかけるように自分の家に誘ってきた。
「帰るところないの?」
「ない」
「うちに、来る?」
頷いてついていくはずだったけど、そいつがあいつと同じ茶髪だったから、
「遠慮しとく」
思わず断ってしまった。
自分でもびっくりだった。
茶髪といっても、明らかに染めた髪なのに。
その数日後、オレはまた女に誘われた。
食べモノにつられたけど、前と同じように断った。
その女の髪型がどことなくあいつに似てたからだ。
なんであいつと似てるところがあるだけで断ってしまうのか、自分でもよくわからない。
断られた女に罵られても、不思議と殺意も湧かないってのも自分自身理解不能。
言葉遣い、身長、髪の色、髪型、肌の色、目の色、目元、口元、輪郭、体型…。
少しでもあいつの一部が掠っただけで、ついていく気がなくて断っちまう。
女が去ったあとも、なんだか惜しい気になることもあった。
オレはいったいなにを考えて断ったんだか。
そんなのに悩まされて寒い冬をひとり迎えることになっちまった。
凍死するかと思った。
どうしよう、女性恐怖症ってやつか…?
あの時はマジで悩んだぜ。
べつに女が怖いってわけじゃなかったのに。
心の病気だったのかもしれない。
原因不明に病名不明。
*****
窓を見ると、チラチラと雪が降ってるのが見えた。
「今なら、ちょっとわかる気がする…」
「なんか言ったか?」
オレに背を向けて雑誌を読んでいたあいつがこちらに振り返る。
「いや…」
オレは笑みを向けてあいつに近付き、その背中に抱きついた。
そいつの肩に自分の頬を押しつける。
「やっぱ、おまえが一番あったけぇなぁ…」
「なんだよそれ」
そいつは困ったように笑う。
型にはまったみたいだ。
.
オレとあいつが生き別れになって、まだ再会していない頃の話。
8ヶ月間世話になった女のところから出てちょっとの頃かな。
口の中でイチゴ味の飴玉を転がしながら、歩道橋の階段に座っていた時だ。
冬が近くて肌寒かったし、靴なんて履いてないから足の裏は痛いくらい冷たい。
そんな姿を見兼ねたのか、面倒見のよさそうな女が近付いてきた。
自慢じゃないけど、あいつと出会ってない頃もよくあった。
母性本能なのか、惚れられたのか、好奇心なのか。
声をかけてくる女の理由は様々だ。
でも、冬を過ごすには便利だった。
この女も、野良猫に声をかけるように自分の家に誘ってきた。
「帰るところないの?」
「ない」
「うちに、来る?」
頷いてついていくはずだったけど、そいつがあいつと同じ茶髪だったから、
「遠慮しとく」
思わず断ってしまった。
自分でもびっくりだった。
茶髪といっても、明らかに染めた髪なのに。
その数日後、オレはまた女に誘われた。
食べモノにつられたけど、前と同じように断った。
その女の髪型がどことなくあいつに似てたからだ。
なんであいつと似てるところがあるだけで断ってしまうのか、自分でもよくわからない。
断られた女に罵られても、不思議と殺意も湧かないってのも自分自身理解不能。
言葉遣い、身長、髪の色、髪型、肌の色、目の色、目元、口元、輪郭、体型…。
少しでもあいつの一部が掠っただけで、ついていく気がなくて断っちまう。
女が去ったあとも、なんだか惜しい気になることもあった。
オレはいったいなにを考えて断ったんだか。
そんなのに悩まされて寒い冬をひとり迎えることになっちまった。
凍死するかと思った。
どうしよう、女性恐怖症ってやつか…?
あの時はマジで悩んだぜ。
べつに女が怖いってわけじゃなかったのに。
心の病気だったのかもしれない。
原因不明に病名不明。
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窓を見ると、チラチラと雪が降ってるのが見えた。
「今なら、ちょっとわかる気がする…」
「なんか言ったか?」
オレに背を向けて雑誌を読んでいたあいつがこちらに振り返る。
「いや…」
オレは笑みを向けてあいつに近付き、その背中に抱きついた。
そいつの肩に自分の頬を押しつける。
「やっぱ、おまえが一番あったけぇなぁ…」
「なんだよそれ」
そいつは困ったように笑う。
型にはまったみたいだ。
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