短編:飛び入り転校生
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放課後、廊下の1階の窓から抜け出し、レンは辺りを確認しながら裏門へと向かっていた。
たまに茂みの中に飛び込んでは隠れ、鞄を抱えたまま慎重に忍び足で素早く中庭を通り抜ける。
もうすぐで裏門へとたどりつこうとしたとき、
由「発・見!!☆」
レン「!!」
裏門から突然由良が飛び出し、レンはビクッと驚いて立ち止まる。
レン「くっ…! 見つかった!」
すぐに引き返し、中庭に逃走した。
その背中を見届けた由良は、無線機を取り出してメンバーと連絡をとる。
由「えー、こちら由良ー。ターゲット、中庭に逃走ー。どうぞー」
森“こちら森尾。由良、オレはあまりこういうやり方は好きじゃないんだが…”
由「ちゃんと語尾に「どうぞ」つけろ」
無線機使用の暗黙の了解になっているのだろうか。
森“……どうぞ”
さっきの質問に由良は答える。
由「あいつは手加減されるのを嫌う。よって、オレ達は一切容赦しねえ☆ どうぞ♪」
森“鬼か。…どうぞ”
華“こちら華音ー! ターゲット確認! どうぞ!♪”
*****
その頃レンは、華音に発見されたとも知らずに正門目指して逃走中だった。
レン(逃げないと…! 早く逃げないと…!)
その時、屋上でなにかが光ったのが目の端に入った。
踏み込んで前へ飛ぶ。
ドン!
足下に銃弾が撃ち込まれる。
屋上に振り返ると、D2がこちらをライフルで狙っていた。
D2「はずした…。いいカンしてるよね」
命の危機を感じ取ったレンは、本気で逃げだす。
レン(殺される…!!)
あと少しで正門を通過しようとしたとき、不意に背中に重みを感じ取った。
レン「う!? あだ!」
重い空気のようなものが圧し掛かり、正門の手前でうつ伏せに倒れる。
体を起こそうとしたが、背中に圧し掛かる空気のせいで起き上がれない。
ミ「ホ―――カ―――ク―――!!」
犯人はミケーレだった。
正門からコブシを握りしめたミケーレが出てくる。
レン「うぐぐ…」
他の教師達も集まってきた。
レンは逃げようと必死に体を動かすが、転がって逃げることもできない。
近づいた伶がこちらを見下ろした。
口には3本のタバコが咥えられ、その表情から苛立ちが窺える。
伶「捕まえたぞ、この脱獄犯が…」
レンは誤魔化すように苦笑いを浮かべた。
レン「れ…、伶先生…、タバコの吸いすぎは体に毒っスよ」
伶「やっかましいわ、この不良(ヤンキー)娘がっっっ!!」
落ちてきたタバコの灰が顔にかかりそうになる。
森「やっと捕獲できた」
華「いつも撒かれてたからねー」
レンは最後の抵抗を見せた。
自分を囲む教師達を睨みつけて叫ぶ。
レン「ええい、放せー!! PTA呼ぶぞ―――!!」
右から、笑顔の麻生が近付いてきた。
麻「まあまあ、落ち着いてください」
レンの右肩に触れ、能力を発動する。
右肩から徐々に石化していく。
レンはすぐに音を上げた。
レン「すんません!! 全部ウソです―――!! 望みはなんだ―――!?」
石化が解除される。
ホッとしたレンの前に、由良が現れた。
その場にしゃがみ、意地悪な笑みを向ける。
由「追試☆」
*****
教室に連れ戻されたレン。
もう自分と数人の教師しかいない。
席に着席しても、逃げないようにと教師達に囲まれていた。
レン「なんで追試なんか…」
伶「実技以外、ほとんど全滅していたからだろ。そんなに留年したいか」
根性焼きでもいれられるんじゃないかと思うくらい、額にタバコの先を突きつけられる。
華「そうさせないために、華音達が立ち上がったってわけ♪」
レン「……音楽と美術の成績は悪くなかったはずだが?」
当然のように由良と華音がいる。
2人は笑顔で答えた。
由・華「面白そうだから♪」
レン「センセー、あの2人ブッ刺していいですか?」
左手にシャーペンを握りしめる。
*****
国語、数学、社会、理科、英語、哲学。
レンはこの6教科のテストを落としている。
伶「太輔はさっさと追試終わらせたぞ。逃げるおまえが悪い」
レン「追試なんて面倒じゃねえか…。学生の敵だ」
伶は積まれた教科書のてっぺんを強く叩いた。
伶「この6教科、明後日の追試までに内容をすべてたたき込め! 全部で80点以上とらねえと不合格!!」
レン「80点だあ!? ざけんな!! とれるか!!」
逆切れするレンに由良は菓子を頬張りながら声をかける。
由「たった80点だろうが」
レン「一度でも言ってみてーよ、そのセリフ」
目の前の机を投げつけてやりたくなる。
80点以上は国語以外、過去最高なのだ。
レンは首を横に振って訴える。
レン「絶対できねえよ!! せめて60点!!」
伶「甘えんなあ!! やるんだよ!! 留年したくなかったらな!!」
怒鳴る伶に、レンは「うっ」と唸って黙りこんだ。
伶は容赦なく言葉を続ける。
伶「それとも、10点プラスして90点にしてやろうか?」
レン「80点!! 頑張ります!!」
「ひらにー、ひらにー」と頭を下げた。
それからレンの猛勉強が始まった。
レン・ミ「意味わからねーよ!!」
国語では、ミケーレと共に教科書を床に叩きつけたり、
麻「そもそも、あなたは神を信じますか?」
レン「先生、誘わないでください」
哲学では、麻生に勧誘されたり、
ホ「解剖させてくれたら、超簡単な問題を出してあげるよ―――♪」
レン「「簡単」……」
伶「超難関な要求を気にしろ」
理科では、ホーナーの実験材料にされかけたり、
雨「社会に出てからは、こんな成績とってちゃ就職に不利よ!」
レン「はぁ…」
雨「今ならまだ間に合うわ! 面接の仕方だけでも…」
レン「勉強の仕方教えてください」
社会では、雨宮の長い説教を聞かされたり、
森「―――であって、この方式が成り立つわけであり…」
レン「~~~~?」
森「……わかる?」
レン「その…、つまり…、△ABCが…」
森「そこ違うとこ!」
華「基本的なところから教えた方がいいんじゃな~い?」
数学では、華音が問題を出題し、森尾はなぜ間違えたのかを丁寧に教えていった。
そして、現在、伶と由良の2人に英語を教わっている最中だ。
伶「【さっさと終わらせろよー】」
由「【終わったらメシの時間だぜ】」
問題集をしている時でも、2人は日本語を使ってくれない。
もちろん、レンにはわからず、バカにしているようにしか聞こえなかった。
レン「……………」
問題集はなかなか終わらない。
持っているシャーペンを投げ出したくなってきた。
レン「ムリだ…」
机に伏せてしまう。
伶「コラ!!」
スパアン!
レン「!!」
ハリセンで頭をしばかれてしまう。
伶「【やる気出せ!! 来年、ひとりで授業したくなかったらな!!】」
レン「~~~~~」
レンは頭を抱えて泣きそうになった。
由「…よし、80点以上とったら、オレがご褒美をやろう♪」
レン「缶クッキーだろ」
由「アメもつけるぜ♪」
*****
レン「頭の中に詰め込んだものが溢れ出しそう…」
寝る間も惜しんで勉強し、追試の日がやってきた。
伶「始め!」
レン「……………」
レンは今までの勉強を思い出し、問題を見て、考え、書きこんでいく。
*****
翌日、追試のテストが返された。
国語・92点。
数学・81点。
社会・83点。
理科・89点。
哲学・82点。
英語・98点。
テストの点数を見て一番驚いていたのはレンの方だった。
テストを握りしめたまま、体を震わせている。
伶「やればできるじゃねえか!」
森「英語が一番不得意じゃなかったっけ…?」
由「おー、助かったなー」
背後から由良の声が聞こえ、レンは自慢げに見せつける。
レン「ど…、どーだ! あたしだってその気になったらなぁ…」
由「じゃあ、はい」
約束のクッキー缶を渡された。
レン「いや…、クッキーもいいんだけどさぁ…。頑張りのわりに呆気なさすぎねえ?」
由「ん――――」
不満そうなレンに対し、由良は考える仕草をしたあと、レンの肩を、ぽん、と叩いて提案する。
由「じゃあ、ぱあっと菓子パーティーでもするか。スイーツビュッフェとかどーよ。ケーキバイキングも楽しいよなー」
レン「え」
由「気になってたところがあってさぁ~。いろいろまわろうぜー」
それってデートじゃね、と思う前に、あれよあれよと由良につかまれて連れて行かれるレン。
それを見送る先生達。
レンの様子はまんざらでもなさそうだ。
伶「次も由良先生に協力してもらうか」
レンが留年しなくて済むかもしれない。
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