短編:飛び入り転校生
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HR終了のベルが鳴る。
だが、誰も教室を出ようとはしなかった。
担任の伶がまだ来ていないからだ。
太「…なぁ、伶先生遅くね?」
勇「おいおい、センコーが遅刻かよ」
葵「ねー、教室出ちゃダメなのー?」
奈「事故かなにかあったんじゃないか?」
レンは席から立ち上がり、扉に足を向ける。
レン「あたし、呼んでくる」
恵「あ、私も行く!」
恵もあとから追いかけた。
2人は東側の階段からおりて職員室へと向かう。
しばらくして、西側の廊下から伶がやってきた。
伶は煙草を吹かしながら両手を使って教室の扉を開け、足下に置いた出席簿を手に、教室へと入る。
伶「おはよー」
教室内が静まりかえる。
伶「遅くなっちまったが、HR始めるぞー」
太輔達は困惑して声を潜めて話し合った。
なぜなら、子供が入って来たからだ。
太輔達はそれが伶だということに気付かない。
葵「誰なの? あのコ」
勇「オレに聞くなよ」
奈「迷い込んだんじゃ…」
広「でも、伶先生に似てない?」
太「あ! そうか!」
太輔は席を立ち、伶を指さす。
太「伶先生のお子さん!? いつの間に…」
伶「ババアと一緒にすんなあ!!」
太輔の額に、ジュッ、と煙草を押しつける。
太「ギャ―――!」
奈「伶先生…!?」
そこで奈美が本人であることに気付いた。
生徒全員「え―――!!?」
伶「レンと恵ちゃんはどこだ!?」
奈「は…、反対側の廊下から職員室に…」
伶「なに!? 今、ややこしいことになってんのに…!」
*****
一方、職員室に入ったレンと恵は混乱していた。
レン「これは…」
恵「いったい…」
職員室には、大人ではなく子供がいた。
入ったきたレンと恵を見て、ぎょっとしている。
その内のひとりの子供が小走りで走ってきた。
そのまま、レンにぶつかる。
レン「っと」
レン(……誰かに似てる…)
抱き上げてよく見ると、見たことある髪型に見たことある顔だ。
子供はレンの胸にしがみつく。
子供に甘えられ、レンは困惑した顔をしながら、その小さな背中をポンポンと叩いた。
レン「全員、先生達の子供かな?」
恵「幼稚園の子供を預かってるとか…」
森「そんなわけないだろ!」
華「レンちゃん、メグちゃん!」
金髪の男の子と赤毛の女の子が走り寄ってきた。
2人の特徴を見て、レンと恵は「あ!!」と声を上げる。
恵「森尾先生と華音先生!?」
レン「じゃ、こっちは…」
抱き上げた子供を見た。
由「ばぁ。バレた?♪」
レン「由良ぁ!?」
そこでレンと恵は事の大きさに気付く。
教師が全員、幼児体型になっているのだ。
レン「いい加減離れろ」
由「チェ―――」
いつまでたっても、由良はレンの胸から離れようとしなかったので、レンは無理やり服を引っ張って引き剥がした。
*****
教員と生徒全員は会議室に集合した。
レン「なんでこんなことになってんだ?」
勇「新しいのっかり方?」
太「全員起きたら子供だったとか?」
ユ「これから原因を話すわ、太兄」
伶「葵のフリすんな、ババア!!」
葵「あたしが2人いる―――!」
純「……………」
論「オギャー」
麻「泣かないでください。よしよし」
雨「私達、どうなっちゃうのかしら…」
伶「おまえ、ガキの時からデカいのか…」
ミ「HAHAHAHA!」
森「眼帯がずれる…」
由「メンドクセーモンつけんなよ」
華「ひゃはははっ、声高い―――!」
ドンドンドンッ
マクファーソンの命令で銃を発砲したD2。
会議室が静かになった。
マ「オレが話そう」
マクファーソンの話では、早朝、ホーナーが“背が伸びる”薬を開発し、自慢しようとビーカーのまま職員室に持ち込み、転んで割ってしまい、煙が発生し、窓を開けて煙を追い払ったのはいいものの、
マ「周りを見たら子供だらけだ」
伶「背が伸びる薬かと思ったら、若返りの薬だったってオチだ」
ユ「校長先生が出張してる時でよかったわ」
由「これからどうすんだよ? こんな姿じゃ不便だぜ」
由良はそう言いながら、クッキーを食い漁る。
レン「おまえは幼児化しても変わらねえな。つーかほとんどが子どもの頃に戻ってるっていうより、3頭身にデフォルメ化してるだけな気がする…。華音先生は赤毛のままだし、森尾先生は眼帯の下が治ったわけじゃないし…」
そう言いながら、由良の頬を指先でつつくと、ぷにぷにしていた。
奈「ホーナー先生に、逆の薬を開発してもらえば……」
マ「それが……」
ホ「ウッキャ―――!!」
サルの姿となってしまったホーナー。
マ「吸いすぎで使い物にならない」
生徒全員「え―――」
レン「違う意味で退化してる…」
伶「というわけで、今日の授業は理科のみ! 理科室の机にある材料を使って元に戻る薬を作れ! 徹夜してでもな」
生徒全員「ええ!!?」
レン「無茶言うなよ! 一般生徒にそんな高度な薬作れるか!」
華「だって、華音達で作って失敗したらどうするの? サルになるは嫌」
太「だからって…」
伶「いいから作れ、頼むから」
終いには、伶が拳銃を向ける始末。
太「脅しだ…」
しぶしぶ、生徒達は理科室へと向かった。
教師達も後ろからついてくる。
白衣に着替えたあと、理科室の床や机上に散乱している器具や資料や材料を見て、太輔達は早くも挫折しそうになる。
太「ほ…、本気でオレ達が作るのか?」
伶「後ろからオレ達も見てるから」
教室の一番後ろで教師達が見守っていた。
まるで、社会見学にきた子供達だ。
レン「後ろが気になってしょうがねえ」
太輔達は先に、床に散らかったものを拾い、3つのテーブルに器具と材料と資料を分けて置いておく。
勇太は“背が伸びる薬”と書いた資料を手にし、作り方を読んだ。
勇「薬の名前はあてにしない方がいいな」
そう言いながら、“背が伸びる薬”という字を消し、“若返りの薬”と書き直す。
葵は、もともとテーブルに置かれていたビーカーを手にした。
中には、紫色の液体が入っている。
葵「これが“若返りの薬”?」
マ「ああ。確かそんな色をしていた」
太「余りものか。これと逆のものを作らなくちゃいけないのか…」
勇太は他の資料にも目を通した。
勇「これじゃねえの?」
中には、“背が縮む薬”と書かれている。
広「なるほど。もしかしたら、それも誤りで、ホントは……」
レン「さっそく作っていこうぜ」
資料をもとに、太輔達は薬を作っていった。
量に気をつけながら、慎重に、怪しげな液体を組み合わせる。
徐々に変な臭いまでしてきた。
その悪臭に誰もが顔をしかめる。
太「う…っ」
レン「ヒデー臭い…」
奈「できた!」
出来上がったものは、トマトジュースのような液体だった。
生徒達が真っ青な顔でだんまりになる。
雨「う…、うわあ、おいしそー…」
華「どろどろして気持ち悪―――」
森「言うな、華音。生徒達が飲みにくくなるだろ」
レン「やっぱ、あたしらに治験させる気か」
飲んでどうなるかなんてわかるわけがない。
誰が飲むか、太輔が提案をだした。
ポケットから生徒人数分のつまようじを取り出す。
太「よ、よし、ここは、くじ引きで! どうせなら、順番も…!」
太輔が1番(ハズレ)だった。
すすり泣く太輔。
恵「こういうのって、言いだした人が引いちゃうのよねぇ」
勇「ほれ、いけ、犬」
勇太に渡され、太輔は震える手で持ちながらビーカーの液体を見つめた。
太「い…、いくぜ!」
腰に手を当て、そのまま一気飲みする。
そのあと、真っ青になり、床に片膝をついた。
太「ぐ…っ」
奈「叶!」
恵「大丈夫!?」
奈美と恵が心配して駆け寄ると、太輔はゆっくりと顔を上げ、
太「ワン」
全員「は?」
太輔の頭には犬の耳が生え、尻には尻尾が生えた。
ユ「あらあら、カワイイわんちゃんねー」
伶「な…!?」
広「もしかして…、“犬化する薬”…?」
勇「“背が縮む薬”なんて書くんじゃねえよ!!」
勇太は資料を床に叩きつける。
レン「ひょっとして、材料か量を間違えたんじゃねえの?」
奈「もう一度、作り直してみよう」
そして出来上がったのが、今度はダークグリーンの液体だ。
勇「な、なんか…、さらにエグいのが出来上がったぞ…」
レン「2番手は…、確か、あたしだったな…」
レンは真っ青な顔でビーカーをつかみ、一気に飲み干した。
効果はすぐに現れる。
大きくなるどころか、どんどん背は縮み、幼児化してしまった。
勇「わっ!」
葵「え、これも“若返りの薬”!?」
レン「……う…っ、うぁあああんっ、まずいよぉ―――」
奈「心まで幼児化…」
由「レン、こっち来い」
レン「ふぇぇ…」
レンは教師達に囲まれ、慰められる。
由「ほーら、アメやるから」
華「レンちゃん、カワイ―――ッ」
奈美と恵は不安になる。
奈「よした方がよくないか。このままだと、私達まで……」
太「ガウ」
勇「そんなこと言っても、これしか資料は…」
葵「も―――っ。まとめて入れちゃえばいいじゃない!」
葵は自棄になり、テーブルの上にあった液体を、量を測ることなく全部混ぜた。
勇「バッ…。なにやって…!」
勇太は葵の両手首をつかんでやめさせようとしたが、葵の手から、いろんな液体が混ざったビーカーが落ちる。
全員、声をそろえて「あ」と言った。
ガシャンッ
ビーカーは粉々に砕け、発生した煙が理科室内に充満する。
*****
翌日、いつものように生徒達は自分の席に着き、HRで伶の話を聞いていた。
伶は元の姿に戻っている。
伶「―――それにしても、あんな適当で元に戻れるとは正直思わなかった」
レン「飲んで損した…」
レンはあとから、由良にからかわれて赤っ恥をかいてしまったのだ。
広「…でも、叶君はどうしよう…」
困って笑う広瀬の視線の先には、机の上で伏せて眠っている犬輔の姿があった。
太「Zz…」
奈「……元に戻してしまうのか?」
レン「まんざらでもなさそうだな、奈美」
勇「バカ犬よりオレ達だ!」
葵「えー。けっこう気に入ってるよ?」
勇太と葵は大人の姿になってしまい、薬を飲んだのに元に戻れなかったのだ。
着ている制服がきつそうだ。
伶「いいじゃねえか。いい男だぜ。葵はママそっくりだし」
勇「関係あるか! ホーナー先生呼んでよ!」
伶「ホーナー先生は、残念だが、まだ元に戻ってない」
ホ「ウキャキャキャキャ!」
勇「バカ犬! おまえも抗議しろ!」
机ごと太輔を蹴り飛ばす。
太「ギャワン!?」
レン(八当たり…)
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