短編:とっとこ
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その日、森尾に無理やり風呂に放り込まれた由良は、浴室から出ようとしていたところだった。
「ふぅ…。………ん?」
手探りでツナギを探ったが、ツナギがない。
「………あ」
(そういや、洗濯中だっけ?)
由良は扉を開けて、ちょうど扉の前通過しようとしたレンを呼んだ。
「なあ、レンー」
「うわっ! なんだよ!?」
レンは風呂あがりの由良の姿を見て驚き、慌てて背を向けた。
由良は気にすることなく続ける。
「オレのツナギ、今、洗濯中だから、オレの部屋入ってクローゼットから替わりのツナギ持って来てくれよ。湯冷めするー」
なんであたしが、と言いかけたレンだったが、他に頼む人間がいなければ構わずすっぽんぽんのまま屋敷をうろつくのだろうと予想し、少し考えてから溜め息をついた。
「……しょうがねーな。その格好でウロウロすんなよ…」
*****
のちに、彼女は語るのだった。
―――あたし、知らなかったんです…
まさか由良の部屋で、
あんな目に合うなんて…
由良の部屋を開けたレンは絶句し、呆然と立った。
「………う―――わ――……」
あまりの部屋の散らかりようで、それ以上の言葉が出なかった。
由良の部屋は、粗大ゴミにまみれ、クッキーの缶がそこらじゅうに散らかっていた。
壊れた冷蔵庫、タイヤ、使い切った絵の具、自転車などだ。
(……なんでアイツは、散らかすかなぁ……)
レンは頭を抱えて呆れていたが、由良のツナギを持ってこないとうるさいので、我慢して進み、ツナギを取りに行くことを決心した。
「アイツだけは……本当に……」
情けない声で呟きながら、レンはゴミを避けながら一歩ずつ進んでいく。
「あ、痛っ!」
なにかトゲのようなものを踏んだ。
「なんだコレ?」
踏んだ物体を拾うと、鉛筆だった。
しかも、折れて鋭くなったものだ。
(片付けろよ!!)
腹が立って、レンは拾った鉛筆をバキッとさらに折った。
慎重に、手でゴミなどを掻き分けて、クローゼットへと進む。
「歩きにくいな―――…」
そして、ようやく、クローゼットの前に到着したレン。
その頃、森尾は廊下を進み、由良の部屋のドアが開いていることに気付いた。
いつもは閉まっているのに、と気になって由良の部屋を覗くと、レンの後ろ姿を見つけた。
「レン? なにして……」
その声に、クローゼットに手をかけたまま、レンは肩越しに振り返った。
「ん? 森尾?」
「!!? レン! そこは!!(汗)」
森尾は慌ててレンを止めに入ったが、遅かった。
レンはクローゼットの扉を開けてしまった。
「え?」
レンと森尾の頭上に黒い影ができ、ガラリと音を立てると、
ズザァァァァァッ!!!
「「ギャアァァァァァ!!」」
中にぎっちぎちに詰められた大量のクッキー缶が、一気に雪崩を起こした。
巻き込まれたレンと森尾の悲鳴が屋敷中に響き渡る。
「「………ぷはっ」」
静かになり、生き埋めになっていたふたりは、同時に這い上がってきた。
「なんだよ、このお菓子の山~~~!」
「由良の奴、クローゼットにためるだけためてるんだ。オレが開けた時も、こうなった…」
経験者の森尾は語る。
呆れ果てたレンは心の中でつっこんだ。
(ハムスターか、あいつは!!)
同時に、カンッ、と上から転がってきたクッキー缶がレンの頭にぶつかった。
*****
同じ頃、湯冷めしないように、湯舟に入りなおして身体を温めなおしている由良。
「遅いなぁ、レンの奴…」
ふやけちまう、と呑気にこぼすのだった。
.END