短編:過去拍手文
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・飛散
これは、あたしが雨宮の家に居候させてもらってた頃の話だ。
雨宮が自分の働く出版社で仕事をしている間、あたしと論は家で留守番することがほとんどだった。
机に向かって勉強していることが多かった。
世話になっといてアレだが、バイトをする気はないし。
「あそぼー」
「ん」
その代わり、ちゃんと論の面倒は見ていた。
「遊べ」と言われれば遊ぶ。
まだ小学生にも満たない子供で、初めはどう遊んでいいのか困惑したものだ。
特に、家の中では。
「きゃははっ」
液状化して肩にのってきた。
服が少し濡れるが、気持ち悪くはない。
本人から聞いたのだが、仲間だろうが、他の奴らには気味悪がられるらしい。
最初見た時はびっくりしたが、気味が悪いとは思わなかった。
「なんか、ゲームにいたな、こういうの」的な感じだった。
机に置いた本を手に取り、論を肩にのせたまま椅子から立ち上がり、本棚へと向かう。
「その本、なぁにー?」
論は指をくわえ、あたしの両手にある一番上に積まれた本の表紙を見て尋ねた。
「英語の一級問題集」
「いっきゅう?」
子供にわかりやすく説明するのはちょっと苦手だが、説明する。
「簡単と難しいで言えば、難しい問題が載った本」
本を右腕で抱え、左手でページをペラペラとめくって内容を見せる。
「暗号みたいだね」
「簡単な問題からやって、徐々に慣れていけば、解けるようになるさ」
こういう問題で勉強するクセに、大学には行かない。
苦手な教科さえやっておけば、嫌なことも一時的に忘れられるからやってるだけだ。
つまり、ただの現実逃避である。論と遊ぶのも、それに含まれているのかもしれない。
たまにみんなのことを思い出して、胸が苦しくなることもあるけど、住む場所を貸してくれている雨宮と一緒にいてくれる論には感謝している。
本棚に持っていた本を収め、新しい本を取り出そうとした。
一番上の段にある。
手を伸ばし、本の角に指をかけて引いた。
肩にのっている論は、それを見上げる。
「あ」
引いたと同時に、隣にある厚めの本がつられて落ちてきた。
バシャッ!
「!!!」
顔に生温いものがかかった。
落下した本は、液状化中の論に直撃したのだ。
そのまま、本はあたしの足下に落ちた。
「あぶないよ…」
論はまったくの無傷である。
あたしもケガはなかったが、顔と髪が濡れてしまっていた。
論の液が顔にかかり、びっくりしすぎてその場で硬直してしまう。
「…どうしたの?」
「い…、いや…、ケガがなくてなにより…」
(この液…、なにで出来てんだろ…)
今まで気にもならなかったが、実際、自分の顔にモロに浴びて初めて考えた。
2年も雨宮達に世話になったが、論の液体がかかってびっくりしなかったことはなかった。
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これは、あたしが雨宮の家に居候させてもらってた頃の話だ。
雨宮が自分の働く出版社で仕事をしている間、あたしと論は家で留守番することがほとんどだった。
机に向かって勉強していることが多かった。
世話になっといてアレだが、バイトをする気はないし。
「あそぼー」
「ん」
その代わり、ちゃんと論の面倒は見ていた。
「遊べ」と言われれば遊ぶ。
まだ小学生にも満たない子供で、初めはどう遊んでいいのか困惑したものだ。
特に、家の中では。
「きゃははっ」
液状化して肩にのってきた。
服が少し濡れるが、気持ち悪くはない。
本人から聞いたのだが、仲間だろうが、他の奴らには気味悪がられるらしい。
最初見た時はびっくりしたが、気味が悪いとは思わなかった。
「なんか、ゲームにいたな、こういうの」的な感じだった。
机に置いた本を手に取り、論を肩にのせたまま椅子から立ち上がり、本棚へと向かう。
「その本、なぁにー?」
論は指をくわえ、あたしの両手にある一番上に積まれた本の表紙を見て尋ねた。
「英語の一級問題集」
「いっきゅう?」
子供にわかりやすく説明するのはちょっと苦手だが、説明する。
「簡単と難しいで言えば、難しい問題が載った本」
本を右腕で抱え、左手でページをペラペラとめくって内容を見せる。
「暗号みたいだね」
「簡単な問題からやって、徐々に慣れていけば、解けるようになるさ」
こういう問題で勉強するクセに、大学には行かない。
苦手な教科さえやっておけば、嫌なことも一時的に忘れられるからやってるだけだ。
つまり、ただの現実逃避である。論と遊ぶのも、それに含まれているのかもしれない。
たまにみんなのことを思い出して、胸が苦しくなることもあるけど、住む場所を貸してくれている雨宮と一緒にいてくれる論には感謝している。
本棚に持っていた本を収め、新しい本を取り出そうとした。
一番上の段にある。
手を伸ばし、本の角に指をかけて引いた。
肩にのっている論は、それを見上げる。
「あ」
引いたと同時に、隣にある厚めの本がつられて落ちてきた。
バシャッ!
「!!!」
顔に生温いものがかかった。
落下した本は、液状化中の論に直撃したのだ。
そのまま、本はあたしの足下に落ちた。
「あぶないよ…」
論はまったくの無傷である。
あたしもケガはなかったが、顔と髪が濡れてしまっていた。
論の液が顔にかかり、びっくりしすぎてその場で硬直してしまう。
「…どうしたの?」
「い…、いや…、ケガがなくてなにより…」
(この液…、なにで出来てんだろ…)
今まで気にもならなかったが、実際、自分の顔にモロに浴びて初めて考えた。
2年も雨宮達に世話になったが、論の液体がかかってびっくりしなかったことはなかった。
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