短編:過去拍手文
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝の風呂上がり、体重計にのってみる。
「!」
その数字を見た瞬間、眉がピクッと吊り上がった。
*****
リビングに全員を呼び出し、会議を開く。
“ダイエットプラン実行会議”
そうホワイトボードに書き、みんなに振り返って左手で叩いた。
「はい、注も―――く!!」
「おいおい、いきなりミーティングってそれかよ」
一人用のソファーに座る由良が言った。
あたしは、華音と一緒に2人用ソファーに座っている森尾に、顔を向けて尋ねる。
「森尾、今朝のメニューはなんだった?」
「え…、えーと…、フレンチトースト、フルーツサラダ、スクランブルエッグ、ソーセージ…」
指を折って数える森尾。
「と、まあ、栄養満点で全品おいしい料理」
「ど、どうも…」
照れている場合じゃないのだ。
「ただ、おかわりしたくなるほど美味しいから…、その……」
いざ口にしようと思うと躊躇ってしまう。
口を濁していると、由良が悪気もなく言った。
「太った?」
「わかってても口にするな!!」
指さしして怒鳴る。
「そういえば、華音もちょっと…」
華音は不安げに自分の右頬に手を当てた。
「体を動かしても動かしても、その分、いっぱい摂取してしまうし…。…というわけで、今日からダイエットメニューに変更してもらうから」
わがままだと思われても構わない。
由良と、向かい側に座る岡田に向かって言い放った。
「それから、菓子類とジュースは没収して、しばらく封印するから」
誘惑に負けてしまう恐れがあるからだ。
当然2人は納得するわけがない。
勢いよく立ち上がり、同時に抗議してきた。
「「異議あり――――!!」」
「テメーの都合で好物とられてたまるか―――!!」
「そうだよ! だいたい、ちょっと太ったからってそこまで…」
静粛に、と場を治めたかったが、岡田の言葉を聞いてその考えがどこかへと吹き飛んだ。
青筋を立て、ブチッという音が自分から聞こえた。
ドゴッ!!
岡田の目の前の低いテーブルをコブシで粉砕する。
低い声で、唸るように言った。
「テメーにだけは言われたくねえ…! 断食にしてもいいんだぜ?……異論は?」
「あ…、ありませぇん…」
「脅しじゃねえか…」と由良がつっこむ。
それから数日、みんなで協力してダイエット計画に勤しんだ。
森尾にダイエットメニューを作ってもらい(ヘルシー)、真夏の坂道を走り(華音が熱中症で倒れる)、半身浴をし(浸かりすぎでのぼせ、由良に発見される)、糖分摂取に耐え(由良がキレる)、そして結果は…。
華音と交代で体重計にのり、その数字を見て一緒に笑みを浮かべた。
「「戻った―――!!♪」」
2人でハイタッチする。
リビングに行くと、結果待ちをしていた由良と森尾がいた。
体重は言わなかったが、嬉しい結果を報告し、2人は安堵を露わにする。
「これでオカシにありつける…」
「オレ達男組には酷だったな…」
ソファーにもたれる2人。心なしかげっそりしているように見えた。
「ああ、じゃあ、もう好きなもの食べてもいいの?」
「……………」
リビングの出入口から現れた人物にあたし達は全員沈黙する。
眼鏡をかけた、細身の青年が何食わぬ顔でそこにいた。
あたし達は一か所に集まり、小声で話す。
「誰だ、あいつ?」と由良。
「新しい仲間?」と森尾。
「馴れ馴れしくない?」と華音。
「でも、あのメガネ…」とあたし。
初めて会った気がしない。
眼鏡の青年は当然のように冷蔵庫に向かって進んだ。
「いやぁ、豪快に飲めないのってキツいよね」
そう言いながら冷蔵庫を開けて2リットルコーラを手に取り、こちらに振り返って爽やかな笑顔を向けた。
「これでやっと、大好きなコーラが飲めるよ」
「「「「岡田あ!!?」」」」
あたし達は同時に驚愕の声を上げる。
岡田はあたし達の何倍も痩せていた。
あのいらない脂肪の塊はどこへ消え去ったのだろうか。
「最近、見かけないと思えば…」
そう呟く森尾。
「こ、これ、最後に見た岡田の姿…」
由良は動揺しながらスケッチブックを開いた。
確かに、以前とはまるで別人だ。清潔感まで全然違う。
もしかしたら、街に出たらモテるんじゃねえのか。
「岡田、おまえ、その姿の方が…」
そう言ってやろうかと思ったとき、岡田の足下には2リットルのカラのペットボトルがいくつか転がっていた。
岡田を見ると、でっぷ~ん、と元に戻っていた。
「ん?」
みんなでソファーごと後ろにコケる。
一瞬でナイスリバウンド。
.