短編:過去拍手文
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庭はほどよい気温。
午後3時、華音と一緒にそこにあるテーブルに着いてファッション誌を仲良く見ていた。
「コーヒー飲みたくなってきたよな」
「ケーキ食べたくなってきたよねー」
雑誌から顔を上げ、華音と目を合わせて笑みを浮かべる。
華音はテーブルに置いておいた小さなベルを指でつまみ、チリンチリン、と鳴らした。
すぐにあいつらがやってくる。
「「お呼びですか、お嬢様」」
不機嫌な顔でやってきたのは、執事の燕尾服を着た由良と森尾だった。
腹を抱えて大口で笑いたい。
けれど、堪える。
「執事はそんな不機嫌な声で言わないの」
華音が「めっ」と注意した。
由良と森尾の額に青筋が立つ。
「ぷっ。仕方ねーだろー。華音がカードゲームで勝ったんだから」
勝者は負けた者を好きに扱える、というルールだ。
華音が出した命令は、男組は全員執事になれ、とのことだ。
あたしは命令を受けずに済んだ。
「なんでテメーは罰ゲームなしなんだよ」
由良は不服そうに言うが、あたしはあっさりと言ってやる。
「罰ゲーム? 受けてるぞ」
「あ?」
「主人になりきって、おまえをコキ使うことだ」
意地悪な笑みを浮かべて指をさした。
「こ…のアマ…」
由良は笑みを浮かべるが、目が怒ってる。
「なんで執事?」
淹れたてのコーヒーをトレーに載せて運んできた森尾が尋ね、華音が答えた。
「ほら、最近執事ブームだし♪」
「過ぎたと思う…」
森尾がボソリと言ったあと、由良が不機嫌な声で呟く。
「執事になるくらいなら、羊の方がいい」
「つまんねえんだよ」
そう言いつつ、モコモコしている由良を想像してしまった。
「ちゃんとお仕事しなかったら、1週間に引き延ばすからね、そのカッコ」
意地悪な華音の言葉に、「ぐ…」と呻く執事2人。
「マニキュア塗ってー」
「肩もめー」
わがままなあたし達の命令に素直に従う2人。
その時、この2人がアイコンタクトのようなものをとった気がした。
*****
翌日、庭に設置されたテーブルの席には、いつもどおりの服を着た由良と森尾が座っていた。
「ケーキ持ってこーい」
由良がしつこく呼び鈴を鳴らす。
あたしはトレーの上にチョコレートケーキを、華音はコーヒーを載せて2人のもとへと向かった。
不機嫌な顔で。
「こ…、こちらでございますか」
「ご主人様ぁ」
そりゃ不機嫌にもなる。
だって、あたしと華音の今の姿はメイドなのだから。
「お、なんだ? ツンデレか?」
由良がニヤニヤとしながら言った。
今すぐにこのケーキをその顔面に、パイ投げの如くぶつけてやりたくなる。
昨夜、もうすぐで1日が終わろうとしたとき、あいつらはもう一度勝負を申し込んできた。
調子に乗っていた華音は、あたしが止めるのも聞かず、勝負に挑んだ。
その結果が、これだ。
あいつら絶対グルでイカサマしたに違いない。
「よくこんな服あったな…」
森尾はコーヒーを飲みながら由良に言った。
この服を手渡してきたのは由良だったからだ。
由良はケーキを頬張りながら答える。
「岡田に「出せ」って言ったら、あいつ簡単に出したぞ」
それを聞いてあたしと華音は、「うわ」と真っ青になった。
森尾はすぐにツッコんだ。
「簡単に出す岡田もどうかと…」
「モリヲも命令していいんだぜー? 今日1日だけこいつら貸切だし」
「テメーはあたし達をなんだと思ってんだ!!」
簡単に言うので怒鳴ったが、由良には無意味だ。
「オレ達のメイドさんだろ? なんでも命令していいんだろ?♪」
「くっ…」
あまり逆らえば、とんでもない命令をしてきそうで怖い。
由良だから。
メイドでも、下剋上を起こしたくなるものなのだろうか。
「昨日は疲れたから、肩もんでくれる?」
笑顔で言う森尾。
根に持ちやすい奴だな。
その時、上からカメラのシャッターを切る音が聞こえた。
華音と同時に上を見上げると、岡田が2階の窓から隠し撮りしていやがった。
「「撮ってんじゃね―――!!」」
ガシャァンッ!
華音はカメラを爆破し、あたしは持っていたトレーをブーメランのように投げつけ、見事岡田の顔面に命中させた。
由良と森尾はケラケラと笑っている。
あいつら今度はこのカッコでコキ使ってやる…!
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