短編:過去拍手文
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あたしの能力は、スタンガンで充電し、それを球体状にして敵にぶつけるなどして攻撃する。
だが、充電を体に溜めこんだまま放置していると、たまにこんなことがある。
その日は朝から体がだるかった。
眠いせいだろうと思ってコーヒーを淹れようと思い、キッチンへと向かう。
コーヒーメーカーのスイッチに手を触れた途端、
バチッ
「!」
スイッチを何度押しても、コーヒーメーカーは動かない。
壊れてしまったようだ。
「あー…。やっちまった…」
フラフラとした足どりでテーブルへと向かい、椅子に座ってテーブルに顔を伏せる。
あたしが来る前からリビングにいた華音と森尾が心配してこちらにやってきた。
遅れて由良がリビングに入って来たのが目の端に映る。
「具合悪そー」
「大丈夫か?」
華音と森尾が声をかけてくるが、どう答えていいのやら。
由良があたしの右脇に立って、手を伸ばす。
「バカが風邪でもひいたかー?」
あたしの額に触れた途端、
バチイッ
「痛っっってええええ!!」
由良の右手に電流が走った。
左手で右手首をつかみ、数歩あたしから離れる。
「な、なんだ!?」
思わず華音と森尾も数歩離れた。
由良は、森尾と華音に、あたしに触れたら感電したと教える。
あたしは顔を伏せたまま、だるそうな声で言った。
「電気溜めこんだまま放置してると、たまにあるんだ」
前にも1回、同じようなことがあった。
酒も飲んでないのに二日酔い並のだるさだったのは忘れていない。
あの時はドライヤーや岡田のゲーム機などを壊してしまった。
華音が自分の髪をあたしの背中に近づける。
すると、華音の髪は引き寄せられるようにあたしの背中にくっついた。
体を帯びる静電気のせいだ。
「やめとけ、髪が傷むぞ」
あたしがそう言うと、華音はさっと自分の髪を引き離す。
由良はニヤリと笑みを浮かべると、どこから取り出したのか、風船を膨らませてあたし向けて投げた。
風船は磁石に引き寄せられるようにあたしの頭にくっつく。
華音も面白がって風船を膨らませて同じように投げた。
それはあたしの背中にくっつく。
森尾は呆れた顔でそれを眺めていた。
「わー、面白ーい♪」
はしゃぐ華音と、飽きずに風船を膨らませている由良を睨みつけ、立ち上がって両腕を構えるように広げる。
「遊ぶんじゃねえ…っ。この状態でハグしてやろうか…!」
調子に乗った由良と華音が風船を持ったままたじろいだとき、リビングに勝又さんが入ってきた。
「朝からなんの騒ぎかな?」
「実は―――…」
森尾は言葉を切って由良の背後に忍び寄り、ドン、とその背中を押した。
「お!?」
由良は前のめりになり、こちらに突っ込んでくる。
あたしもあたしで、反射的に由良を抱き止めてしまった。
ビシャァッ
「「!!!」」
予想もできないほど強い電撃が由良の体を襲ったのだろう。
この時あたしは、由良を殺してしまった、と本気で思ってしまった。
慌てて由良を突き飛ばして離れさせる。
由良はよろめいたあと、壁に背をもたせかけて崩れるように座り込み、右手で両目を覆って言葉を絞り出した。
「あ…、頭の中が真っ白になった…」
死んでなくてよかった。
見せつけたあと、森尾は平然と勝又さんに言う。
「こういう体になったそうで…」
論より証拠、という形で見せたかったのだろうか。
それとも、日頃の恨みだろうか。
「モ―――リ―――ヲ―――」
由良は森尾の背中にしがみついた。
由良の体に移った少量の電撃が森尾に走る。
「痛たたたた!!」
由良をはがそうと抵抗する森尾。
そんな2人は置いといて、あたしは勝又さんに相談した。
「これじゃあ、由良達や家電製品に触れない…」
「治し方はわからないのかい?」
「前の時は、由良とトレーニングしてたとき、充電してた分、全部使い切ったんで…」
由良に視線を移す。
電撃食らったせいで、戦って発散させてくれる状態じゃない。
「モリヲのせいだ~」
会話を聞いていたのか、森尾にしがみついたまま由良が恨めしそうに言った。
森尾は由良を引きずり、困った顔をして言う。
「放電のはけ口がないと…」
「……あ、はけ口ならあるぞ」
由良はなにを見て考えが浮かんだのか、思いついたことをそのまま話した。
*****
「……なあ、いつまでこうしてればいいんだ?」
屋敷中の家電製品のコンセントが全てあたしに繋がれていた。
おとなしく椅子に座っているだけでいいらしいが、退屈だ。
のんびりとクッキーを食べながらテレビを見てる由良が答える。
「もちろん、おまえん中の電気全部使い切るまで」
「まだ切れないでねー」
華音はドライヤー中だ。
背後から、チン、というトースターの音が聞こえた。
森尾もあたしの電力を活用しているようだ。
節約になっていいし、みんなあたしのためを思ってやってくれていることだが、みるみると電気がなくなっていくに反して、心はなんだかすっきりしないし、むしろ複雑だった。
早く能力を完璧に扱えるようになりたい…。
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