短編:過去拍手文
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奈美の家の道場で、奈美に稽古をつけてもらったあと、着替えるために別室へと向かった。
「!」
引き戸を開けると、道着を着た太輔がそこにいた。
太輔はビクッとして、こちらに振り向く。
「な…、なんだ…。ナミの父ちゃんかと思った」
心の底から安堵したようだ。
あたしは呆れた顔をしながら話しかける。
「おまえ、なにやってんだ」
「いや~、道着って着たことなかったから…」
つい、と太輔は頭を掻いた。
「そろそろ奈美の父さんが来るぞ。早く脱げよ。あたしだって着替えたいし」
「あ、そっか」
そう言って、袴のヒモを解いて着替えようとする。
「外で着替えろ!」
一応、あたしも女だ。
「ごめんごめん」
太輔ははっとして顔を赤くし、袴のヒモが解けたまま別室を出て行こうとした。
あたしも早く着替えようと歩いたとき、なにかを踏んでしまった。
ズデンッ
ビイイィッ
背後で太輔が倒れると同時に、なにかが破れる音を聞いた。
おそるおそる振り返り、太輔と共に顔が真っ青になる。
袴が縦に破れてしまっていた。
あたしが袴のヒモを踏み、太輔が転んでしまったせいだ。
太輔は、顔面を床に打ちつけてしまったのか、顔を押さえながら慌てだす。
「ヤベ―――ッ、ヤベ―――よ―――!!」
「どうすんだよコレ! メチャメチャ怒られるだろ!!」
2人して酷く慌てた。
そろそろ奈美の父さんが来る頃だ。
「縫うにしても時間が足りねえ…」
破れた袴を見て、顔をしかめる。
そこで太輔が提案を出した。
「よしっ、なにか別の物で……」
*****
あたしと太輔は道場の天井からその様子を窺う。
「来たっ」
太輔は声を潜めて言った。
奈美の父さんが障子を開けて道場に入り、着替えるために問題の別室へと入る。
固唾を飲んで出てくるのを待った。
しばらくして、奈美の父さんが別室から出てきた。
ハッピにフンドシという、今にも男祭りに行ける勢いのある服だ。
本気で着て出てきた奈美の父さんの姿を見て、目を伏せたくなった。
その格好のまま、奈美の父さんは道場から出て行く。
「お…、怒ってると思う…?」
太輔が不安げに窺ってきたが、あたしは答えに苦しむ。
「い…、いやぁ…、アレは…」
ガラッ
下で音がして、はっと道場を窺った。
奈美の父さんが阿修羅の如く険しい顔で、薙刀を持って戻ってきたのだ。
「ヤベッ、武器取ってきたぞ!」
太輔の腕をつかんでさっさと退散しようとしたとき、
「そこかああああ!!?」
奈美の父さんが、持っていた薙刀を天井目掛けて飛ばした。
ドスッ
「「ギャ―――――!!?」」
薙刀の刃が、あたしと太輔の間から突き抜けた。
*****
「寝るなああああ!!」
スバァンッ!
「いっでえ!!」
隣で正坐している太輔が船を漕いだので木刀で肩をぶっ叩かれる。
あたしは足が痺れてきてそろそろ限界だ。
長時間、縁側で正坐のあと、家中の掃除を任される(指導付き)。
太輔と一緒に、長い縁側の廊下を雑巾がけする。
意外とすごく疲れるものだ。
奈美の父さんが竹刀の先を床に叩きつける。
「もっと隅々まで力入れて拭かんかああああ!!」
「精が出るな」
横を通過する際、奈美が感心するように言った。
奈美父の悪夢を見てうなされた朝、あたしと太輔は仲良く全身筋肉痛に悩まされたのだった。
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