短編:過去拍手文
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ヒマだったから、由良の部屋に向かう。
中を窺うと、予想通り、由良は絵を描いてた。
「やってるなー」
声をかけても、由良はこちらを一瞥しただけでなにも言わない。
熱心に筆を動かしている。
あたしは、由良の部屋にある一人用のソファーに腰掛けようと移動したとき、足下にあったものに気付いた。
「?」
なんの変哲もない、草だ。
そこに生えてるわけじゃない。
その草の傍には、スリコギやスリバチ、なんかの液体が入ったビンが転がっていた。
スリバチの中には黄緑に近い色をした液体が入ってる。
「草でなんか作ってたのか?」
由良は作業をしながら答えてくれた。
「絵の具切らしてたから作ったんだ。それ、若草色な」
「自分で作ったのか!?」
スリバチに入った絵の具を凝視する。
周りの床をよく見ると、他にもなにかで作ったかのような、スリバチに入った絵の具があった。
「簡単に作れるもんなんだな」
「ここは山ん中だし、材料なんて腐るほどあるぜ」
由良はそう言ってニヤリと笑みを浮かべる。
あたしは、傍に材料がない絵の具を見つけ、由良に次から次へと尋ねた。
「この紫色は?」
「ブドウ色」
「黒は?」
「炭色」
「白は?」
「小麦粉色」
「黄色は?」
「菜の花色」
「この黒に近い赤は?」
「トカゲ色」
「……………」
トカゲ色のことを追及するのはやめよう。
スルーしてスリバチに入った青い絵の具を指さした。
「こ…、この青、どうやって作ったんだ?」
青の材料が思いつかない。
「カエル色」
「……………」
「活きのいいヤツを捕まえて……」
続きを聞きたくない。
半泣きになって部屋を飛び出した。
あとになって、「本当は紫と緑混ぜただけ」と笑われた。
.