40:帰ってみる
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太輔達より一足先に日本に帰国したレンと由良。
レンはとある人物と連絡を取り、別の駐車場から取ってきた愛用の大型バイクを押し、由良を連れて空港の駐車場で落ち合った。
「レン!」
「稜ー!」
先に稜がレンの姿を見つけ、手を振って呼びかけ、レンも嬉しそうに手を振り返した。
レンが一瞬手を放したことでバイクが倒れそうになり、由良が咄嗟に右手で車体を支えてうまく安定させる。
それから稜のすぐ背後にあるデコトラに大きく目を見開いた。
(レン(こいつ)の交友関係どうなってんだ…)
疑問に思う由良の腕を引っ張り、レンは「早く」と促す。
「長旅おつかれ」
「悪いな。知らせるだけのつもりだったのに、送ってくれるって…甘えていいのか?」
「気にすんな。空港からそこまで離れてなかったし、東京くらい全然送ってやるよ。元気そうで良かった。彼氏も無事に見つかったみたいで……」
レン越しに由良の全体を目に入れた稜は言葉を止めた。
由良は「?」と首を傾げる。
「……………」
稜は黙ってポケットからレンが描いた似顔絵を取り出し、目の前の由良と見比べた。
「…………似すぎ…っ!!」
正直、似顔絵通りの人物とは思いもよらなかった。ファンタジーとさえ思っていたくらいだ。
「本当にいた」と耐え切れずその場にしゃがんで笑ってしまう。
「……………」
レンは恥ずかしくて顔が真っ赤に染まり、由良は居心地が悪そうに呆れてその様子を眺める。
「なんなんだよ、そいつといい、アンジェラといい…」
「失礼だな」と口を尖らせる由良は、初対面で似顔絵と見比べて爆笑していたアンジェラを思い出していた。
稜は「悪い悪い」と未だに笑い声を漏らしながら立ち上がり、デコトラの後ろに回ってコンテナのドアを開けた。
「バイク、こっちに載せな」
「ありがとう」
礼を言いながらバイクをコンテナまで移動させようとするレン。由良は「ふらついてんぞ」と声をかけて少し手を貸した。
「……………」
稜の目が、レンのまったく動かないマネキンの右腕から、由良の空っぽの左袖へと順番に捉える。
バイクを載せたあと、稜は運転席、レンは助手席、由良はコンテナの中に入り、出発した。
レンは「コンテナに菓子類とか積んでないよな?」と真面目な顔で確認し、怪訝そうな顔をする稜は「たぶん載せてないけど、なんで?」と聞き返す。
レンが懸念しているのは、相方である妖怪・クッキー〇ンスターが勝手に積み荷を開けないかということだった。
コンテナからくしゃみが聞こえた。
「ある程度電話で聞いたが、色々大変だったらしいな…」
「帰って来てからも大変だった…」
思い出したレンの顔に疲れがどっと滲み出る。
帰国早々待ち構えていたのは税関だった。
由良が『またかよー!』と喚きながら税関職員に連行され、持ち物検査と身体検査をされてしまう。連れのレンもついでとばかりにとばっちりを受けた。
今にも由良がキレてテロ行為をしないかとはらはらしたものだ。どこか慣れた様子の由良に対し、逆にレンがキレそうだった。『反省して、せめて対策くらいしろ。慣れんじゃねえ!』と。フォローをする身にもなってほしい。
ようやく税関を抜けたあと、空港内のカフェで休憩していた時のことだってそうだ。
奥の席を選び、由良と向かい合うように座った。
『レン』
メニューを開いた由良の瞳が輝く。
『……………』
『おりいって相談が……』
『ダメ』
『なにも言わずこのスペシャルジャンボパフェを……』
『黙れ』
『頼む…』
『どつくぞ』
『なんで…』
『節約!!』
放電したつもりはなかったが、由良は雷に打たれたようだった。
帰国するための旅費も馬鹿にならなかった。
アンジェラから援助してもらった金も由良の菓子代でだいぶ溶かされた。
レンも独自に動き回ったばかりに出費が嵩んでしまった。帰国できたことも奇跡的だった。
「そ…、そうか…」
聞いていた稜はレンの今後が心配になる。
「東京に到着したら、頼るアテはあるのか? 身内とか…」
「……身内…」
ふと、ある人物が脳裏をよぎる。
「んん…」と唸り、渋い顔をした。
「いなくはねえけど…、会いづらいんだよなあ…」
「溝があるカンジ?」
「ちょっと心配はさせてるかもしれない…。2年間音信不通だし…。……なにより、後ろの奴には会わせたくない……」
親指を背後に向けるレンに、稜は「あー」と言い淀み視線を逸らす。
(愛娘が大人になってああいう感じの男を家に連れてきたらって考えたら……)
いい顔はしない、と思った時だ。
「いや…、言いたいことはわかるけど…。…そういうのじゃなくて……」
「?」
レンはコンテナにいる由良には聞こえないように、ぼそぼそと稜の耳元に理由を囁いた。
稜は、意外そうに目を見開き、「へェ―――?」とわざとらしく言ってニヤニヤとする。
レンは予想以上のリアクションに深いため息をつき、拗ねるように頬杖をついて横の窓にそっぽを向いた。
「余計なこと言った…。絶対由良に内緒だから!」
「はいはい♪」
再び、後ろから大きなくしゃみが聞こえた。
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