36:さよなら
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屋上で、太輔の前に、D4に連れてこられた“詩人”が現れた。
マクファーソンは“詩人”の首根っこをつかみ、D4は太輔に拳銃の銃口を向けている。
「座れ! 抵抗すれば人質の命はないぞ」
マクファーソンに言われる通りに、太輔はその場に座った。
「【早くやれ、“詩人”】」
そう言って、“詩人”の背中をドンと押す。
「【ひっ!】」
「……………」
太輔は目の前の“詩人”を睨みつけるが、“詩人”は太輔より、背後で様子を眺めているマクファーソンの方が恐ろしいようだ。
“アクロの心臓”を呼び覚ますのには反対だが、それで自分の命が危険にさらされるのは一番避けたいのだろう。
「【お、おまえが悪いんだ! 負けたりするから…】」
“詩人”が太輔の頭に触れようと手を伸ばした。
太輔は目をぎゅっとつぶる。
“詩人”の指先が太輔の髪に触れた時だ。
“詩人”の手の動きが止まった。
太輔は背後から聞こえた足音に振り返り、駆けつけてきた奈美の姿を見て声を上げる。
「ナッ……」
「【うわわっ!?】」
人より臆病な“詩人”は驚いて奈美と太輔から離れた際、途中で純にぶつかり、パニックになって悲鳴を上げた。
「【ぎゃああ―――!!】」
「【―――なに!?】」
マクファーソンは我が目を疑い、駆けつけた奈美と純を交互に見る。
「ここまでね、ジェイムズ・マクファーソン!」
「……!」
本名を呼ばれ、驚いて振り返ると、人質にとっていたはずの由紀恵と葵がそこにいた。
奈美は太輔に駆け寄り、“詩人”に操作されていないか窺う。
「無事か? 頭、大丈夫か?」
「あっ、ああ! 」
太輔は奈美の水着のような格好を見てぎょっとし、「ナミ、なんつーカッコで…」と顔を赤くさせた。
それから空を見上げ、勇太の隔離を確認する。解除されていないのなら、勇太が攻撃を受けたわけでもなさそうだ。
(ユータも無事。―――よかった! みんな無事!!)
ほっとして、安堵の笑みを浮かべた。
「ワリィ、助かった!」
そこで、別の疑問がよぎる。
(じゃあ、誰? 死んだ能力者(なかま)って、誰だ…?)
ふと脳裏をよぎったのは、別行動をとると告げた、レンの顔だった。
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