35:わかってるからこそ…
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プラットホームの中心に建つ鉄塔では、D2がスナイパーライフルで由良の頭部を狙っていた。
標準を由良の頭に合わせ、このまま引き金を引けば、由良の頭部は木っ端微塵に吹き飛ぶだろう。
(【さよなら、能力者くん…】)
引き金にかけた指をゆっくりと引く。
一方、由良は先に進むために歩き出し、残された死体の横を通り過ぎようとした。
その時、常に引きずっているツナギベルトの大きめのホールが、死体のブーツについているフックに引っかかってしまった。
同時に、ベルトがびんと張り、由良は後ろに引っ張られて一歩下がる。
ドオンッ
大きな銃声とともに、由良の足下に銃弾が撃ち込まれた。
「!!」
由良は不意打ちに驚いて目を大きく見開き、足下の抉れた地面を凝視する。
先程の偶然がなければ、間違いなく銃弾は由良の頭に直撃していた。
(オレ、撃たれた!?)
まだ相手はどこかで狙ってるのかもしれない。由良は辺りを警戒して、素早く身を屈めた。
(やべっ、どっから…)
体勢を低くしたまま肩越しに振り返り、地面の弾痕を確認する。
銃弾が撃ち込まれた地面は、上から降ってきたかのように抉れていた。
(あの辺か!?)
D2のいる鉄塔を見上げ、位置を特定する。
予想外のことで銃弾を外してしまったD2は狼狽え、急いでライフルの弾を装填していた。
一発で仕留めなければ相手に位置を知られるため、狙撃手にとってはあってはならない失敗だ。
(【外した! 運のいいっ】)
スコープを覗くが、由良の姿はすでにどこにもない。
(【いない。……どこだ!? 今のでボクの位置が知れたはず。早くあいつの居場所を見つけないと、ボクが―――】)
「【!!】」
必死にスコープで捜すが、そうこうしているうちに、自身の周りにシャボン玉が浮かび、囲まれた。
(【速い!!】)
ライフルを放り出して素早く脚のホルスターから拳銃を取り出し、攻めるシャボン玉に向けて撃ちまくる。
目の前のシャボン玉を撃ち割って抜ける道をつくったあと、余波の中を突っ切った。
(【あいつは】)
その場から逃れるために、鉄塔から飛び降りる。
(【下か…?】)
D2の落下先には、由良が梁の上で待ち構えていた。
シャボン玉から逃れるために落下してくることも見越し、トドメを刺そうと、シャボン玉を自分の目の前に1個だけ浮かばせている。
(さあ、落ちてこい)
不敵な笑みを浮かべ、上唇を舐めた。
上を見上げ、落ちてくるD2を待つ。
(終わらせてやる)
落下するD2の姿が見えたかと思えば、D2はすでに拳銃を構え、由良の頭部を狙いながら落ちてきた。
「!?」
由良は、こちらに銃口を正確に向けたD2に驚き、思わず動きを止めてしまった。
「【チッ!】」
刹那、D2は引き金を引くと同時に舌打ちする。
由良の顔の前にあるシャボン玉が邪魔だった。
ドンッ
由良とD2の間にあったシャボン玉が撃たれ、どちらも顔に余波を受けてしまう。
そのままD2は由良の目の前を通過して落下する。
ドンッ
落ちてもなお、由良に狙って撃ったが、弾道は由良の頭のすぐ横を通過した。
「【う…っ】」
そのまま、D2は転落事故防止用の金網のフェンスの上に落ち、反動で床に投げ出された。
「【いたっ!】」
その際、ゴンッ、床に体を打ち付けてしまう。
梁の上で、由良はその様子を見下ろした。
(なんて奴…)
由良の頬に、冷たい汗が流れる。
これほど肝を冷やしたのはいつぶりだろうか。
(オレが殺られるとこだった…)
D2は鉄塔の内部の通路を渡っていた。
壁に沿うように歩き、その途中で、床で打ってしまった後頭部が痛み、その場に座り込む。
「はあ、はあ」
(【おっしい…】)
こちらも不敵に笑い、上を見上げる。
落下中に撃った最初の一発も、由良の顔の前にシャボン玉がなければ確実に額を撃ち抜いていたのだ。
由良は、人間相手にここまで手こずってしまうとは思わず、闘争心を燃やした。
「へっ。人間サマをなめるなってか? 上等上等。おまえらとどっちが上か、ハッキリさせてやろーじゃん」
太輔とマクファーソン、奈美とD4、レン・アンジェラとαβ兄弟、そして由良とD2。
プラットホームで繰り広げられる能力者と人間の戦いは、火蓋を切ったばかりだ。
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