34:ブッ壊せないかな
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マクファーソンの要求の通り、葵を取り戻すためと由紀恵の暴走を抑えるために単身で乗り込んだ太輔だったが、軍用ヘリに乗せられ、マクファーソン達が待ち構えるプラットホームのヘリコプターデッキに連れて来られたものの、思い通りにはいかなかった。
マクファーソンは人質の葵を解放しないどころか、太輔に“アクロの心臓”の引き上げを要求した。
“アクロの心臓”が広瀬といる限り、迂闊に引き上げることはできず、訴えたところでマクファーソンはまったく取り合おうとしない。
そこへ、由紀恵が哨戒艇の兵隊を“洗脳”の能力で操作し、支配した哨戒艇をプラットホームにぶつけた。
さらに、そのまま由紀恵は純と共に堂々とマクファーソン達の前へ現れ、洗脳した兵隊をヘリコプターデッキにいた兵隊と同士討ちさせ、プラットホームのデッキは銃声や悲鳴で騒がしくなる。
そんな中、プラットホームの建物内では、騒ぎに耳を澄ませながら、2人の男が待機していた。どちらも三十代後半だ。
ひとりは眉が太く、屈強なガタイの短髪の男で、もうひとりは華奢な体の、目に暗視ゴーグルをかけた長髪の男だ。
どちらも、金髪の白人である。
「【哨戒艇が突っ込んできたかと思えば、騒がしくなってきたな、β(ベータ)】」
短髪の男が相棒に話しかける。
長髪の男―――βは、3階の窓から、様子を窺っていた。ヘリコプターデッキは隣の建物の屋上だ。哨戒艇が突撃してきた場面と、司令である少尉が兵隊を全員引き連れて乗り込んできた場面は目撃していた。
窓から身を乗り出し、デッキから立ち昇る黒煙を眺める。
「【ヒヒヒッ。噂の能力者がなにか仕掛けてきたみたいだぜ、兄貴】」
βの目付きの悪い目がゴーグル越しから、傍にいる短髪の男に向けられる。
βはうずうずと羨ましそうに、窓から見える惨状に耳を澄ませていた。
「【暴れてる暴れてる。オレ達も参加してえなぁ…。人間殺すよりよっぽど楽しそうだぜ】」
「【バカが。指示を待て。勝手に動いて獲物を横取りしたら私がおまえを殺す】」
短髪の男があらかじめ厳しく止めておく。
2人は数時間前、ここでマクファーソンから指示を受けていた。
『【この男以外の能力者を多く仕留められれば、おまえ達兄弟がしつこくねだっていた特殊部隊の入隊を考えてやる】』
太輔の写真を2人に見せながら、マクファーソンはそう言った。
『『【本当ですか!?】』』
2人は同時に声を上げて話に飛びつき、身を乗り出す。
『【性格は難はあれど、使えるからな。しっかりと任務をこなしてもらうぞ、α(アルファ)、β】』
αとβは狂喜のあまり顔を歪ませた。
持て余していた実力を見せつける機会が来たのだ。
最近、特殊部隊のD3が殉職したため、虎視眈々と後釜を狙っていた甲斐があった。
「【いっぱい殺しまくろうぜ、兄貴! 能力者狩りだ!】」
βは今にも、携えているスナイパーライフルをところかまわず乱射しそうな勢いだ。
人間を超越した人間を撃てる、またとない経験だろう。
「【興奮するな。私は反対の様子を見てくる。おまえはここから動かず、指示を待っていろ】」
βのテンションについていけず舌打ちしたαは、その場から移動しようとβに背中を向け、窓の外を窺いながら廊下を渡った。
「【ヒヒヒッ、早くしろよ…】」
見送ったβは不気味に笑うと、窓の向こうにスナイパーライフルを向け、スコープを覗き、獲物を探す。
その際、胸ポケットから錠剤の入った小瓶を取り出し、1円サイズの錠剤をいくつか取り出して口に放り込み、ボリボリと音を立てて嚙み砕いた。
そこで、プラットホームに接近する、一隻のモーターボートを見つける。
「【……おやおや~? かわいい小鹿が…2~ひきっ】」
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