33:相変わらず
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メチャクチャになって疲れ果て、レンは眠りに落ちる寸前だった。
『レン…、オレが残したい作品(もの)が描けたら、一番におまえに見せてやるよ』
脳に染み込むほど、穏やかな声だった。
夢を見た。
場所はいつかの黄金色のアトリエだ。
大きなキャンバスの前には、ツナギの上半身を脱いで両方の袖を腰に巻いた、筆を手にした由良がいる。
キャンバスを見上げ、やり切ったように、満足げな顔で笑っていた。
夢の中のレン自身はその隣でキャンバスを見上げ、微笑んだ。
キャンバスに描かれていたものは、夢故にただのレンのイメージだが、素晴らしい作品に仕上がっていたに違いない。
もう一度由良の横顔を見ようとするレン。
しかし、そこに由良の姿はなかった。
微笑みが消えるレンは、由良が立っていた場所に落ちてあった、黄色の絵の具が付いた筆を見つけて拾う。
辺りを見回して探しても、名前を呼んでも、由良はどこにも…。
レンはそこで目を覚ました。時刻は夜明け前だった。
半身を起こすが、隣で眠っているはずの由良がいない。
窓は開け放たれたままだ。向こうの海は微かに明るい。
バルコニーに干していたツナギはなくなっている。
夢から覚め切っていない顔つきで、ゆっくりとベッドから降りた。
昨夜の無茶のせいで身体が少しだるく、ところどころに小さな痛みが走る。
部屋の床には、スケッチブックから剥ぎ取った紙が散らばっていた。
すべて、レンの絵が描かれている。
由良はずっと起きていたのだろう。
窓から入り込んだ風で、床に散らばった絵がわずかに舞った。
レンは大事そうに一枚、一枚と拾っては絵を眺め、束にまとめてテーブルに置く。
テーブルの上には、由良に預けていた、星形の缶バッジが置かれていた。
それを手に取って握りしめ、もう一度開け放たれた窓の向こうに目を向ける。
(……残したい作品(もの)を完成させたって…、その時おまえは……)
「―――あたしの傍にいないだろ…」
.To be continued