05:死ぬべきだった…
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由良とレンが屋敷に帰ってから数時間後、レンはひとり屋敷内の1階廊下の一角にある窓の向こうを眺めながら、考え事をしていた。
外は静かに雨が降り、だんだん雨脚が強くなってきたところだ。
遠くで雷の音が聞こえる。
(なんであんな奴、迎えに行ったんだろ…)
両親の顔、水樹の顔、由良の顔が順番に頭に浮かび、唯一灯りが点いている廊下の一角のランプを見上げた。
(由良は別にいなくても……)
そう思った瞬間、
「!!」
ランプの灯りが突然消えてしまった。
真っ暗な廊下、周囲からは窓を打ち付ける雨音しか聞こえない。
「なっ……」
レンの顔はみるみると強張り、冷や汗が浮かんだ。
闇の舌が身体を這うようだった。
この状況はレンの中で、嫌でも思い出してしまうことがある。
床に倒れる音、背中をぶつける音、コブシがぶつかる音、女性の悲鳴、下品な笑い声、唾を飛ばすほどの怒鳴り声、訴える泣き声…。
耳の奥から聞こえるようだった。
「あ……」
レンは目を強く瞑り、流れ込んでくる音を振り払おうとした。
(ああ…、母さん、ごめんなさい……。あたしが…死ぬべきだった……)
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