32:望み
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茂みから現れた由良は、途中で拾った奈美を肩に担いでいた。太輔のもとへ向かう道中でルドガーと戦った奈美は、腹部に傷を負わされて気絶している。
「……本物っぽいな」
まじまじとD2の銃を見つめる由良は、シャボン玉を浮かび上がらせた。
「【何者だ!?】」
それを見たD2は警戒心を露わにして声を張り上げ、素早く脚のホルスターから拳銃を取り出し、銃口を由良に向ける。
だが、D2が構えたと同時に、由良のシャボン玉がD2の拳銃の銃口を粉砕した。
D2は絶句し、弾けた部分を真っ青な顔で凝視する。
「【えっ、ウソウソ、しゃぼん玉で銃が…! 能力者!? 】」
弾けた銃口を見つめながら、ホーナーは口に両手を当て、「【メルヒェ―――ン】」と興奮した。
マクファーソンと由紀恵も、由良の存在に気付く。
由良はおどけた口調で言った。
「イエ~~~ス。だからって丸腰相手に抜くなよな。ところでおたくらも…、“心臓”目当てか?」
太輔が顔を上げると、不敵に笑っている由良を目にした。
同時に、2年前に広瀬のマンションで親しかった管理人が、由良によって殺された惨状が脳裏をよぎる。
「ア………。!!」
そこで、由良の肩に担がれている負傷した奈美に気付く。
すぐに由良に誤解の視線を向けたが、察した由良は、奈美をその場に下ろした。
「おい、勘違いすんなよ。こいつは途中で落ちてたから、拾ってきただけだ。見た顔だったしな」
そう言って、マクファーソンと太輔の方へ向き直り、口角を上げて上唇を舐める。
「んで…、争奪戦かい?」
フワッ、と地面から多くのシャボン玉を浮かばせると、マクファーソンと太輔の周りを取り囲んだ。
マクファーソンは予想外の由良の闖入に舌打ちする。
形勢逆転となってしまったのだ。
D2の銃を粉砕するほどの威力のシャボン玉に当たれば、ケガでは済まされない。由良の能力を瞬時に理解し、無闇に動くことはできなかった。
(この男の間合いは広い…。D2が使えなくなった今、こちらに分が悪い…、か。どうする…)
その時、マクファーソンのトランシーバーが雑音を立てる。
トランシーバーから聞こえてきたのは、D4の声だ。
“軍曹………を捕…………”
太輔達には内容が聞こえない。
由良から目を離さず、トランシーバーを手に取ったマクファーソンはD4の報告を聞くと、「【……よくやった、D4】」とほくそ笑んだ。
「【引き揚げるぞ!】」
「【マック―――、ファイッ。え!?】」
マクファーソンを応援しようとしたホーナーが、マクファーソンの諦めの早さに驚く。
マクファーソン達は軍用ヘリに乗ると、すぐにその場から離陸した。
由良は下手に攻撃せず、腰に手を当て、ヘリを見送る。
「退き際、知ってんね。さすがプロ」
伶と由紀恵と太輔はマクファーソン達の乗ったヘリが離陸したと同時に、気を失っている奈美のもとに駆け寄った。
「あまり動かすな。大丈夫、息はある」
奈美に触れようとした太輔を伶が止め、呼吸を確認した。
大事ないことがわかった太輔はほっと安堵のため息をつく。
「由良…」
レンに声をかけられ、由良はそちらに振り向いた。
「よう、久しぶりだな、レン」
伶はそんなレンと由良の様子を見て、「知り合い?」と片眉を吊り上げる。
小走りで由良に駆け寄るレンは、左手を伸ばして由良の右頬に触れた。
確かな皮膚の感触と人肌の温度。幻覚でないことは明らかだ。
まんざらでもない雰囲気に、由良はニヤリと笑って「そんなにオレに…」と言いかけたところで、レンは「お…」と小さく発する。
「お?」
「お、ま、え、なぁ~~~!!」
瞬間、青筋を立てて鬼の形相に変わり、右手で由良の胸倉を乱暴につかみ上げ、左手はそのまま思いっきり由良の右頬をつねった。
「生きてたんならどうにかして連絡くらいよこせボケェェ―――!!」
「いでででででッ!」
あまりの剣幕に、眺める伶と太輔は目が点だ。
「2年だぞ!! こっちはどんだけ探し回ったと思って…」
そこで、ピュゥ、とレンの右のこめかみの傷口から血が噴き出す。
「んだァ……」
興奮したせいもあり、血を流しすぎた。フッと白目を剥いて力尽き、由良に寄りかかるレン。
「おお!?」
ぎょっとする由良は咄嗟に右腕をレンの腰に回して受け止めた。
上空をホバリングする軍用ヘリのスピーカーから、マクファーソンの声が発せられる。
「叶太輔、近いうち、おまえとはまた会うことになる。その時は、ひとりで来い」
「あんたらに用なんてねえよ!!」
マクファーソンの命令口調に腹を立てた伶が、ヘリを見上げながら怒鳴り声を上げた。
「どういう意味かすぐにわかる。待っているぞ…」
その言葉を残し、マクファーソン達を乗せた軍用ヘリは去っていく。
太輔達はそれが見えなくなるまで、上空を見上げていた。
.To be continued