30:ここまで来れたのも
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勝又のもとに一本の電話が鳴った。
郵送された資料を手に、携帯電話をとって通信ボタンを押したあと、肩でおさえながら耳に当てる。
“勝又さん、あたしだよ。手紙は届いたかい?”
電話をかけてきた人物は、野太い声をした男だ。
「ああ、ハンかな? キミはよく声が変わるね」
電話をかけてきたのは、現在D3に乗り移っている者―――ハンだった。
勝又は資料を捲りながら話す。
「手紙ありがとう。そっち(軍)は、もうこの子らまでたどり着いたんだねぇ。ご苦労様」
“なんせ、“欠片持ち”が軍の情報源になってるんだ。ヒントは明快! フルネームだよ!?”
資料には“心臓の欠片”を持つ能力者、叶太輔、落合恵、広瀬雄一の写真とデータが書かれている。
“名前の感じで、日本人からあたってみることになって…。結果、その3人にいき着いたってわけさ! 自殺騒動の最中、3人同時に行方不明になったとか、日本じゃちょっとした有名人だったそうじゃないか。タイスケ・カノウの方は、偽名で出国してることまでわかった。まずは、この男から捜すことになったよ。……ついでに、その子と一緒に出国したひとりの中に、あんたの昔のお仲間がいたよ。前に写真で見たことあるから間違いないと思うけど…。茶髪の女”
その特徴で、憎しみの目でこちらを見るレンの姿が脳裏をよぎった。
一番後ろを見ると、レンの写真とデータが記載された資料があった。
(……北条君…、叶君と合流したか…)
「そうか…。お手柄だったね、ハン」
“も―――っ。肝を潰したよ、あたしゃ!“欠片持ち”に会ったら、一発で能力者とバレるところだった!”
興奮でハンの声が甲高くなる。
「そうだね。キミがいくら他人の体を借りても見抜かれる。……じゃ、また動きがあったら」
“わかったよ!”
勝又は、通話を終えて携帯電話を机に置き、キッチンで料理をしている恵を見つめた。
(……いかんな。落合さんが軍の手に渡ることはないが、問題は叶君だ)
恵は玉ねぎを切り刻みながら涙をこすっていた。
「失恋したモンナー」
「たまねぎだもん!」
「【ヘイ、ミッキー。そのミルクよこせ】」
ジャスパーは牛乳に手を伸ばす。
「ジャスパーはさっきのんだダロ」
「貴様は今、何杯目だ? 牛にでもなるのか?」
人数分の皿を運びながら、天草が呆れた目でジャスパーを見つめた。
「【いいだろー。カルシウム大事!】」
そんな言い合いがあるなか、勝又は太輔の写真に目を移す。
(軍(彼ら)は血眼になって、彼らを捜す。軍に先手を打たれる前に、こちらから始末をつけねば…)
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