29:忘れるわけねえだろ
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アメリカのとある空港の税関で、日本人の男は、男女2人の税関職員から、取り調べを受けていた。
目の前のテーブルには、男の持ち物が並べられている。
日本の千円札、小銭、アメといった菓子類ばかり。
その中に、星形の缶バッジも置かれていた。
「【持ち物は、これで全部か? 薬(クスリ)は本当に、やってないだろうな!】」
男の税関職員が、身形から判断して怪訝そうに尋ねた。
何度も繰り返される詰問に対し、裸足で椅子に胡坐をかきながら、男はうんざりして答える。
「【だから、やってねーつってんだろが、この××××!】」
「【靴はどうしたんだね!?】」
あまりにも品のない言葉に不快感を覚えた男の税関職員は、突っかかるように尋ねる。
男はさらに下品なワードを混ぜながら答えた。
「【裸足は日本の××文化なんだよ。おまえら×××は、ホント××××だな!】」
品のない言葉を連呼され、頭にきた男の税関職員は顔を真っ赤にしながらテーブルを叩いて怒鳴る。
「【下半身通さんと喋れんのかキミは! 入国させんぞ!!】」
その隣で女の税関職員は、男のパスポートを怪訝そうに見つめていた。
「【このパスポート、本物…?】」
パスポートに書かれてある、名前を口にする。
「【タクミ・ユラ。仕事? 観光? ……観光よね】」
やはり、外見で判断されたが、あながち間違ってもいない。
日本人の男―――由良は薄笑いを浮かべて答えた。
「【ああ。すげーイイモノを見に来たんだ】」
*****
アメリカの地を踏んでまだ日が浅い。
とある昼下がり、由良は公園のベンチに胡坐をかいて座り、近くのゴミ籠から捨てられた使用済みの新聞を引っ張り出し、その表の記事を見て目を疑った。
「ありゃ…?」
記事には、大きな穴が空いた“心臓”を載せていた海上の空母の写真が載っていた。
「……空母大破!?」
記事を読んで声を上げ、新聞に顔を寄せながら焦る。
「待て待て。船には“心臓”が載ってたハズだろ? ここには来ねえのか…!?」
しばらく、「やっちゃったよ」と遠くの空を見上げた。
「………………」
傍にいたハトが飛び去り、由良の視界に映る。
「なにしに来たんだ、オレ…」
宙に零したその呟きは、見上げた空へと消えていった。
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