28:殺さなくてよかった
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成田国際空港のロビーでは、すでに他のメンバーが集まっていた。
メンバーはレンを含め、遅れてやってきた勇太と葵、なぜか和服姿の太輔に、奈美、伶の6人。
「よっ」
「おっ、ユータ!」
勇太は空港内を見渡した。
「まさか、海外とはな~」
「な―――、オレも飛行機なんて初めてでさぁ」
扇子を片手にはしゃぐ太輔に対し、「そこじゃねえ!」と勇太はツッコんだ。
レンも初めての海外旅行に、ソワソワとしている。
伶は腰掛けていた待合席から立ち上がると、勇太にパスポートを渡した。
「そろったな。はい、パスポート」
勇太は見覚えのないパスポートに戸惑った。
手続きした覚えはない。
「これって、偽……」
「大丈夫。杏の頼むトコはウデがいい」
伶は遮るように言った。
勇太はげんなりとした面持ちで、「だから、そこじゃねえって」とパスポートを見つめる。
「平気ヨ―――」と葵が横から声をかけた。
「さすがに、偽名は使ってるな」
レンは渡されたパスポートを開いて、自分の氏名が偽名になっていることを確認する。
「念には念をな」
伶は言い切り、自分の首にかかった笛を吹いてメンバーを注目させる。
「はい、みんな注目―――」
片手に、“Heart wagon”と書かれた旗を持った。
「手塚観光主催、探検vツアーへようこそ―――。なお、このツアーは危険を伴いますので、命の保障は致しかねま―――す」
調子のいい口調で、ツアーコンダクターのマネをする。
扇子を広げる太輔は、伶の様子に引いていた。
「おやおや、どーしちゃったよレイ兄…。旗まで作っちゃって」
伶はピピ―――ッと笛を鳴らし、旗先を太輔に突きつける。
「ヘイ、そこのうかれた日本人! テメーだけには言われたくねえ!! カモネギが」
太輔の背後には、唐草模様の風呂敷に包まれた荷物と、番傘があり、太輔本人は和服を着ていて、扇子を片手に、首にはカメラがかかっていた。
明らかに、太輔の方が浮かれているため、伶は歯を剥いてがなる。
「こーでもしねーと、やってらんねーんだよ!」
気分を少しでも楽しくさせようとしてくれている様子だ。
傍では、奈美と勇太が「母が色々持たせてね」「かわいがられてんね」と並んで話していた。
「…そりゃ、相手は“心臓”(広瀬)だもんな。それでも一緒に来てくれるのか?」
太輔の言葉に、勇太と奈美は迷いもなく同時に頷いた。
伶は「ここまで来たらなぁ……」と口を尖らせて言い、葵はやる気満々で「お手伝いする!」とコブシをあげる。
「イヤと言われてもついてくからな」
レンも小さな笑みを浮かべながら答えた。
全員の答えを聞いた太輔はジーンとした顔を浮かべ、「いざ、参ろ―――!」と扇子を掲げる。
「オレが仕切りだっ」と伶は旗を掲げた。
全員のコブシが上がり、空港の人間が、レン達に注目する。
(ああ、なんか…目立ってるし…)
恥ずかしくて、レンだけコブシがやや低めに上がっていた。
緊張感のなさに脱力しかけるが、この先、伶の言う通り、命の危険を伴う旅になるだろう。
しばらく日本には帰って来られない。
結局、由良の行方はつかめないままだ。
それでもレンは、少しでも前向きに考えることにした。
(勝又が日本にいなかったみたいに、あいつも日本を離れてるだけかもしれないし……。いやでも、そもそもだ…。あちらさんが入国させてくれるかな…)
自分が税関なら出国も入国もさせたくない、と思った。
気落ちしかけたが、「レン、行くぞ―――」と太輔達に声をかけられ、前に向き直り、小走りで追いかける。
(いつか…、太輔達の話をしてやろっかな…)
会えない分、話したい話題ばかりが募っていく。
.To be continued