24:あと少し…
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横須賀基地の地下通路で4人分の足音が響き渡る。
駆ける足音がだんだん通用門にまで迫っていた。
「【!?】」
通用門を警備していた3人の兵士が、近付いてきた足音に振り向く。
ドゴッ!
同時に、太輔は飛び蹴り、奈美は膝蹴り、レンは回し蹴りを3人の兵士の頭部に食らわせた。
「【うっ】」「【ぐ!】」「【がっ】」
兵士達はほとんど同時にその場に倒れて気絶する。
「ほら、終わったぞ、レイ兄(大声)!」
地下通路に太輔の声が響き渡った。
離れたところから、伶は待ったをかけようとした腕を伸ばしたまま固まっている。その顔は怒って引きつっていた。
*****
不機嫌な顔の伶は、レン達が気絶させた兵士達をミイラのようにガムテープでグルグル巻きにしながらぶちぶちと文句を言う。
「……ひょっとしておまえら、自分達が潜入班ってこと、忘れてねえか…? 自由行動だわ、うるさいわ」
奈美は、兵士達が所持していたアサルトライフルを両手に持ち、ズシリと手に伝わる本物の重さと、その形状を確かめていた。
「そう言われても。まず奈美の格好目立つし…。そんなモン、触んなって」
「!」
太輔にそう言われた奈美は、銃を置いて太輔を不服そうに睨みつける。
「こうなったのは叶のせいだ」
「だから、わざと持ってきたんじゃないって。元はといえば、ユキエママのせいだ」
「そうじゃなくて!」
「じゃあ、どんなコスプレならいいんだ!?」
「そ、そういう意味でもない!」
太輔と奈美の言い争いは、十分に地下通路に響いている。
「……………」
「誰かあの2人を黙らせろ…」
レンは顔を赤くしながら、両手で耳を塞いだ。傍から聞けばまるで痴話喧嘩だ。
コスプレコスプレ、と反響する場に、伶も居たたまれなさそうに唇を噛みしめ、バンダナを目元まで引っ張る。
(帰りてぇ…)
しばらくして、レン達は通用門の奥を窺った。通路の古びた電灯がチカチカと点滅している。
人の気配がないことを確認したところで、伶は説明した。
「……ここに通用門があるってことは―――、ラボ(研究室)はもう目の前だ。この先にはラボ専用の駐車場があるはず。そこに“心臓”を運搬する車両も、停まってるはずだ。出発前の車両に乗り込めば、運転手を脅して車両ごと“心臓”を盗める。正面ゲートを突破して、基地から脱出したところで、勇太の能力(ちから)で車ごと隔離。ほとぼりが冷めるまで、じっと待つ…」
レンは一度間を置いて考え込み、眉を顰めて口にする。
「……具体的で…聞いているだけだと完璧にみえる計画だけど―――」
「そんなにうまくいくだろうか…」
奈美がレンの言葉を継いだ。
レンと伶と奈美はその場にしゃがみこむ。
レンと奈美だけでなく、計画した伶も同じ気持ちだ。
「やるしかねえんだよ。国外に持ち出されたら、いつまたチャンスが来るか…。今だって、純達は大部隊の兵を引きつけている。一番危険なのは、あいつらなんだ」
「……………」
レンはその話を聞き、妙に焦る気持ちに襲われ、すぐに立ち上がった。
「じゃあ、さっさと終わらせるか」
伶と奈美も続いて立ち上がる。
「ああ。オレ達が怖じ気づいてるヒマは―――」
伶が言ってる途中で、レンはあることに気付いた。先程まで一緒にいたはずの太輔の姿がない。
「! おい、あいつどこ行った?」
伶と奈美も太輔がいないことに気付き、伶は慌てて辺りを見回した。
「!? 太輔は…!?」
太輔は、奥にある駐車場に足を踏み入れ、誘われるかのように、あるトラックの前で立ち止まり、そのコンテナを見つめた。
共鳴するように、鼓動が聞こえる。
「!」
その時、レン達は駐車場で立ち尽くしている太輔を見つけた。
トラックを見上げている太輔に駆け寄り、伶は太輔の腕を乱暴に引っ張った。
「―――んのバカ、てめえ、なにやって……」
「いるんだ!」
太輔はトラックから目を離さず叫んだ。
「あの中に、広瀬がいる…!」
ドクン…
「……………」
レンは、確かに“アクロの心臓”の鼓動をトラックから感じ取った。
ゾッと肌が粟立つ。だが、待ちわびていたような目でトラックを見つめた。
(……このトラックに、“心臓”があるんだ…。仲間(みんな)を奪ったモノが……。―――“心臓”を使えば……)
脳裏に、由良・森尾・華音と過ごした日々が巡る。
今にもトラックを開けて“アクロの心臓”をつかみ取りたい衝動を、コブシを握りしめて必死に耐えた。
伶は緊張しながら、覆面をしようとする。
「よ…、よし…、じゃあこいつに忍び込んで……」
(おかしい…。出払ってるとはいえ、ここに誰もいないなんてことは……)
無人に違和感を感じた瞬間、
ガゴン
何かが起動した音とともに、駐車場の大きな出入口が閉まろうとした。
「!!」
レン達は慌てて入口に駆け寄ったが、間に合わず、完全に閉ざされる。
「くそっ、ハメられた!」
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