24:あと少し…
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「【お?】」
見張りの兵士3人の内のひとりが、こちらに駆け寄ってくる人影を見つけた。
「ヘ、ヘルプ、ヘルプミ―――!」
兵士に向かって走ってきたのは、奈美だ。表情に照れが出ている。
まず、奈美に気付いた兵士のひとりの鼻の下が伸びた。
「【おやおや~~、どうしたんだい?】」
「「【!?】」」
残りの兵士2人は突然現れた奈美に驚くが、内のひとりも奈美の姿を見て鼻の下を伸ばす。
「……チ、チカンにあって…。え、え―――ん(棒読み)」
奈美は泣くフリをしたつもりだったが、目が潤んでいないどころか、言葉も棒読みだ。
近くのコンテナの陰から窺うレンと太輔と伶は、その様子を見て真っ青になっていた。
「ひ…、酷いモンだな…! オレは目を潤ませろと言ったんだ」と伶。
「見てられない…」とレン。
「だから言ったろ、ナミにはムリだって! かえって怪しいぞ」と太輔。
伶はレンに振り向いて、「レンにしとくべきだったか……」と呟く。
それを聞いたレンは首をぶんぶんと横に振った。
「セーラー服着て気を引けって? 絶対ヤダ」
伶は視線を奈美に戻すと、飛び出す準備に入る。
「でも、なんだかんだで気い引いてんぞ」
「中身は野獣なんだけどね…」と太輔はボソリと呟いた。
奈美が囮になっている隙に、3人の兵士を気絶させようと、伶は長いバールを手に、レンと太輔はコブシを構え、じりじりとチャンスを窺っていた。
(早く来い!)
奈美は後ろに目を配り、レン達を急かす。
兵士達との距離は近く、その中のひとりが必要以上に肩や腕を触ってきた。
「【おい! なんで日本の学生がここに―――】」
突如現れた奈美を警戒したひとりの兵士が2人に怒鳴るが、「【まあまあ、ちょっとだけ!】」と一蹴される。
奈美に最初に気付いた兵士は、奈美の体をベタベタと触りながら人気のない倉庫の中へと連れて行こうとした。
「【ここは危ないから、ちょっと中、入ろっか! ねっ】」
その兵士は押してはならないスイッチを押してしまった。
奈美の尻を、撫でたのだ。
ゴッ!
奈美の強烈なアッパーカットが、尻を撫でた兵士のアゴに炸裂した。
ドッ!
「【ガッ】」
続いて、うしろ蹴りで背後にいたひとりの兵士の腹を蹴り、その背後にいた兵士が巻き添えを食らって吹っ飛ばされる。
ほとんど同時に、3人の兵士は地面に倒れた。
「「……………」」
奈美が攻撃する前に飛び出しかけていた太輔と伶は、レンを残して、再び元の位置に隠れる。
「早く来い!」
奈美はそんな2人に怒鳴った。
「野獣…」
レンは太輔が言った言葉の意味を理解する。
「【ぐ…】」
「!」
下敷きになった兵士の意識はまだ残っていた。
小さく呻きながら、自分の太ももにあるレッグホルスターから拳銃を取り出そうとする。
その前に、兵士の傍でしゃがんだレンは、人差し指をその首に当て、バチッ、とスタンガン程度の電流を流して気絶させた。
「レン…」
火花のようなわずかな電撃の音に、最初に気絶した兵士を引きずって運ぼうとしていた太輔が気付く。
「スタンガンくらいだから。目立たないし死んでない」
そう言いながらレンは、「これじゃ、重たいか…」とアサルトライフを一度手に取って重さを確認したあと、自分が気絶させた兵士のレッグホルスターから拳銃を抜き取り、「伶」とこちらに振り向かせて投げた。
弾倉は入ったままだ。
伶は拳銃の銃弾数を数えたあと、「使える」と口角を上げた。
太輔と伶は、3人の兵士達を先程自分たちが隠れていたコンテナの物陰まで運び、シートで覆い隠した。
「ふ~~~」
太輔は額の汗を拭い、「おそるべし…!」とこぼす。
「やっぱ強ぇなぁ、ナミ! 軍人を3人も…」と太輔。
「おかげで、銃も手に入ったし……」と伶。
少し離れたところで、奈美はレンに交渉していた。
「北条、やっぱり…交換してほしい…」
「奈美の方が似合うから…」
遠回しにセーラー服を拒否するレン。
「!」
その時、太輔は奈美の背後の人影に気付いた。
「ナミ、後ろ……」
「「!」」
奈美の背後の壁際に、ひとりの兵士が隠れていた。
気付いたレンもすぐに構えようとしたが、その前に壁から飛び出した兵士が、奈美の後頭部にアサルトライフルの銃口を向けながら怒鳴る。
「【動くな、テロリストどもめ!!】」
(もう1人いたのか!)
伶は咄嗟に手に入れたばかりの拳銃を構えた。
レンも手に電流を走らせるが、兵士はさらに声を張り上げる。
「【動くな! 銃を捨てろ!】」
人質となった奈美は氷の爪を作り出そうとしたが、銃を向けられているため、攻撃する隙が見つからない。
「【両手を頭の上に乗せ、地面に伏せるんだ!】」
「奈美…!」
奈美の向かいに立つレンは兵士を睨んだまま身動きが取れない。下手に刺激して引き金を引かせるわけにはいかなかった。
全員の焦る気持ちに構わず、兵士が声を荒げる。
「【早くしろ!!】」
そこで、太輔が瞬時に動いた。
兵士の頭上を越えるほど大きく跳躍し、明らかに人間離れしたジャンプ力に唖然とする兵士のすぐ傍の壁に一瞬足をつけ、そのまま下へ着地と同時に兵士が持っているアサルトライフルを素早く取り上げる。
「【!?】」
「ふぬお――!!」
「HAAA――!?」
銃を取り上げた太輔は、銃身を素手でひん曲げた。
兵士は信じられない出来事を前に、驚きのあまり泡を吹いて気絶する。
「こんなモン、人に向けんな! だいたいな、おまえの言ってることはオレにはさっぱりだ。アイムジャパン(私は日本です)! 覚えとけ!!」
気絶している兵士に、太輔は間違った英語で怒鳴った。
伶は呆気にとられながら「太輔…、正しくはJapaneseだ」と訂正する。
(英語理解できなかったから、飛び出したのか…。危ねえ奴だな…。やっぱり大事だな、英語)
太輔の英語力の皆無に、レンは呆れるほかなかった。2年前まではほとんど同じくらいの英語力だったというのに。
英語が通じなかったからこそ太輔は躊躇なく行動出来たわけだが、一歩間違えればどちらもケガを負っていただろう。
伶は太輔達に向かって説教交じりに念を押す。
「今回はたまたまうまくいったが…、いいか、次は勝手に動くな! 3人とも殺されてたぞ、バカヤロウ!」
太輔は申し訳なさそうに、頭を掻いた。
レンは3人の背中を見つめ、薄くほくそ笑む。
(いける…! こいつらと一緒なら、“アレ”を……!)
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