04:苦手だ
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時刻は夕方、町は濃いオレンジ色に包まれていた。
レンの目には、踏みしめる地面が夕焼けの明かりのせいか普段より赤色に見える。
「着いたぞ」
由良の声に伴い視線を上げると、捻じ曲げた言い方ではなく本当に警察署に来てしまった。
「ガチの警察署じゃねーか」
「んじゃ、行くか」
狼狽するレンをよそに、由良はなんの躊躇いもなく中に入っていく。
「ま、待てよ!」
レンの躊躇は当然だった。
誰から見ても不審者に見える男が堂々と警察署に入れば怪しまれるのは必至だ。
何もかも説明不足の由良。その目的は見えないが、レンは放っておけず遅れてあとを追いかけた。
そして、自動扉を抜けて中に入ると、
「!!」
真っ先に目に飛び込んできたのは、床、壁、いたるところに飛び散った血液だった。瞬間的に鼻をつくのは鉄臭い血の匂いだ。
受付やロビーには無残な姿となった警官も転がっている。
学校で披露した状況と同じ、由良の仕業なのは明白だ。
耳を澄ましてみるが、悲鳴もなにも聞こえない。
全員、そうする間もなく殺されてしまったのだと察する。
「……あれ?」
レンは違和感を覚えた。
(……なぜだろう…。怖くない…。死体を見ても、気持ち悪いとか思わないのは…なんで……)
背筋がわずかに寒くなり、この惨劇を起こした張本人を探す。
正常な感性ならば、むしろ背中を向けて逃げ出したくなるような事態だろう。
辺りを見回したが、姿が見当たらなかった。
ひとりで好き勝手に動き回ってる様子だ。
血痕を辿ろうかと考えたが、辺り一面血だらけでどちらへ行ったかわからない。この状況で迷子は避けたいところだ。
ふと、天井を見上げると、レンの目に監視カメラが入る。
「チッ」
面倒なものを見つけてしまった、と舌を打ち、人差し指を監視カメラに向け、勝手な由良に対して苛立つ気持ちのままに指先から電流を飛ばした。
「あ゛―――、あいつに向けてやりたい…ッ」
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